なぜ柏木陽介の契約延長発表はACL決勝前だったのか 本人が明かしたその理由とは?

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ACL決勝の3日前、浦和の公式サイトで柏木との契約延長合意を発表

 J1浦和レッズのMF柏木陽介は、来季以降も浦和と契約延長したことが先日発表されたが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第1戦のサウジアラビア遠征から帰国すると、改めて自身の立場ついて思いを語った。

 浦和はアル・ヒラルと対戦した18日の第1戦で、前半から押し込まれる時間が長く続いた。同7分という早い時間帯にFWラファエル・シルバの先制ゴールが決まったことも一因にあるが、嵩に掛かって攻撃してくる相手に耐える時間が増えた。それでもインサイドハーフで出場した柏木は果敢にセカンドボールを回収するために走り、カウンターの起点にもなって走り抜いた。

 試合の3日前にあたる15日、浦和の公式サイトでは柏木と契約延長に合意したことが発表されていた。チームはすでにサウジアラビアの隣国UAEでの直前キャンプに旅立った後であり、まさに決戦の直前に去就をハッキリさせることになった。柏木はそのタイミングについて、ACL決勝という存在が大きかったことを明かしている。

「ACLの決勝までに自分の気持ちをしっかり整理しておきたいという気持ちもあった。浦和に来て8年目になりますけど、浦和で得たものは自分にとって財産になっていることが多かったと思っている。それをみなさんに返したい思いがあったので、しっかり浦和のために戦って、浦和の一員として笑って過ごせるようにやっていきたい」

第2戦に向け「やる意味がない」の真意は?

 サッカー選手には様々なタイプがいるが、比較的に柏木は自分の感じたことを率直に言葉にするタイプだ。それによって、熱狂的で知られる浦和サポーターから厳しい視線を向けられたこともある。来季を巡っては、出身地のクラブであるヴィッセル神戸が獲得に乗り出したという報道もあった。

 そうしたなかで、すでにキャリアの最長期間を過ごしているクラブになっている浦和で戦い続けることを選んだ。ACL決勝というビッグゲームを前に、メンタル面での引っ掛かりは何もなくなっている。

 柏木は初戦を振り返り「内容がどうこうではなく、良い引き分けで帰ることができた」と話す。そして「全体に上手くて能力も高いけど、こちらがボールを持って動かす時間を作れば、相手も疲れていく」と、25日に控えるホームの第2戦に向けてのポイントを話す。そして「いけるという手応えがなければ、やる意味がない」と眼光も鋭い。

 敵地では“6万人の完全アウェー”だったが、今度は全く逆の“6万人の完全ホーム”が待っている。ここまでラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)、準々決勝の川崎フロンターレとの対戦カードでは、初戦のビハインドをホームで跳ね返してきた。柏木はそれを「このACLで何度も逆転できたのは、みなさんの力があったからこそ」と感謝。さらに「またその力を借りて、最高の笑顔で終われるように頑張りたい」と後押しを呼び掛けた。

 アル・ヒラルは激しいハイプレッシャーを掛ける一方、そこを突破さえすれば中盤から後方のディフェンスにはルーズさが目に付く。柏木の左足が放つ一撃必殺のラストパスは、愛着のある浦和を10年ぶりのアジア王者に導くものになるはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images