大前氏の仕事ダイエット法は?

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「働き方改革」は、政府だけの命題ではない。働く人すべてにとって必要なことだ。経営コンサルタントの大前研一氏が、すべての働く人にとってオススメの働き方改革、仕事のダイエットについて解説する。

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 私はこれまで、ビジネスの現場を知らない政治家と役人が進める安倍政権の「働き方改革」は、むしろ効率の悪い人材の温存を謳っているだけで実効性がない、と批判してきた。

 とはいえ、自分なりに「働き方」を改革していくことは極めて重要だ。とくに40歳を過ぎたら、今後の身の処し方も含め、自分の仕事のやり方を根本的に見直すべきである。たとえ定年が65歳や70歳に延びたとしても、40歳以降の20年以上も漫然と同じことをやっていたら、自分にも会社にもプラスにはならないからだ。

 まず取り組むべきは自分の時間を有効活用するための仕事の“ダイエット”だ。

 生身の肉体の場合、30代までは何をどれだけ食べても胃もたれはしないし、さほど体脂肪も増えないので、なるべくいろいろなものを食べて栄養を摂取すべきである。それが血となり、肉となるからだ。しかし、40歳を過ぎると、次第に代謝が悪くなり、どんどん脂肪や贅肉がつくようになる。

 仕事もそれと同じで、40代以上は知らず知らずのうちに脂肪や贅肉(=無駄な仕事)が増えているから、ダイエットが必要なのである。

 手っ取り早いのは、会議や打ち合わせなどミーティングの削減だ。会議については、私が以前から何度も提案している方法だが、過去1年間のスケジュール帳を見て、その会議で意思決定や情報共有がなされたのか、それ以降の成果にどれほど影響を与えたのか、ということを克明に調べ、何も得るものがなかった会議には×をつけて出ないようにするのだ。そうすると、少なくとも会議の3分の1以上、人によってはすべて削減できるはずである。

 会議に出なかったら上司に叱られると言うかもしれないが、その場合は自分が分析した結果、何も得るものがなかったという証拠を突き付けて反論すればよい。それに逆上して「お前はクビだ!」と宣告できるような勇気のある上司はいないと思う。むろん、その上司には嫌われるだろうが、非効率的で自分のためにも会社のためにもならない働き方をするより、人に嫌われても効率的で自分のためにも会社のためにもなる働き方をすべきである。

 打ち合わせや会合や会食も、削る基準は会議と同様だ。その人との対話が自分の仕事や人生にとってプラスになっていなければ、会う回数を減らしたり、同じ人には会わないようにしたりする。そういう仕分けをすれば、打ち合わせなども大幅にカットできるはずである。それで空いた時間を新たな人脈づくりに使うべきなのだ。過去の人間関係に執着せず、新しい人脈を築き続けるためには大変な労力が必要だが、意識してそうしていかないと無駄な打ち合わせや会合や会食を削ることはできない。

 無駄なミーティングを惰性で続けていると、頭が無駄なものに対して鈍感になってしまう。それは間違いなく脳の退化につながる。いわば“脳の盲腸化”だ。そうならないためにも自分なりの基準を作って無駄なミーティングを削っていく必要があるのだ。

※週刊ポスト2017年12月1日号