いびつな親子関係がもたらした狂気 『明日の約束』今なお進行する母と子の苦悶

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 ヒューマンミステリードラマ『明日の約束』(関西テレビ・フジテレビ系)に登場する親子は皆、何かしらの問題を抱えている。その根本的な悩みの種は“毒母”にあると描かれてはいるが、それはもしかしたら、父親や兄弟も含めた家族全員の問題なのかもしれない。11月21日に放送された第6話では、藍沢日向(井上真央)&母・尚子(手塚理美)、吉岡圭吾(遠藤健慎)&母・真紀子(仲間由紀恵)のほかに、圭吾の幼馴染である香澄(佐久間由衣)、日向の恋人である本庄和彦(工藤阿須加)もまた、家族の問題を抱えていることが明らかになった。

(参考:『明日の約束』最大の容疑者は及川光博演じる担任・霧島か? “不審な表情”にかけられる疑い

 和彦が、はじめに異変を見せていたのは第4話。これまで見せていた人の良さそうな表情から一変、素に戻ったかのように悪意のある表情をしながら「話したいことがある」と母親に電話をするシーンだ。この瞬間の和彦には、ネット上が騒然となり「裏があるのでは」との憶測が飛んだ。第5話でも、ひとり実家に戻った和彦が日向のことを伝えると両親は喜びを露わにした。だが、「兄に遠慮しなくていい」「生きてれば孫を抱いていたのかもしれない」と言われ、亡くなった兄の仏壇を見つめる和彦の表情は強張っていた。第6話で無理に日向を実家に誘い実家を訪れた際に、再び兄の話題になると、俯き顔で、目を大きくした瞳の裏にはどこか怯えるような表情を見せていた。日向に「兄が嫌いだったのでは?」と言い当てられると、長男だからと親に期待されて荒れた兄、そして次男だった和彦は「自由にってことで、のびのびやれてた。けど……」と言葉を濁す。

 この和彦とひとり、重なる人物がいる。それは、圭吾の妹の英美里(竹内愛紗)だ。兄である圭吾が、母親からの異常な愛、プレッシャーをかけられている反面、英美里は自由に、言い変えれば“ほったらかし”にされて、ひとりで家にいる姿はこれまで何度も描かれてきた。圭吾がかつて通っていた中学でも、何かあるたびに真紀子が学校に飛び込んできていた。現在、その学校には英美里が通っているが、教師が「あと3年は続くと思っていた」という母親の極端な行動は一切見られないという。期待され、自由になりたいともがき荒れた和彦の兄は、英美里がいう「自由になりたかったから」兎を殺した圭吾と重なり、結果としてどちらも死を選んでいる。

 バスケ部の顧問・辻哲哉(神尾有)とキャプテン・大翔(金子大地)を、圭吾を苦しめた犯人として襲ったのは香澄だった。香澄が自殺未遂を起こした際、父親は入院中で、血の繋がらない母親と折り合いがつかず、いじめ以外にも家庭内に問題を抱えていた。さらには、教室内で起こした自殺未遂さえ、両親の意向で公にはされなかった。それは明らかに、香澄が世に向けたSOSのサインだったのに。

「親子」は父母と子の関係を意味する言葉だ。父と子、母と子の関係に限定する際には、それぞれ父子、母子という言葉を用いる。本作でいびつな親子が描かれる場面では、いつも、だれかが欠けている気がする。日向と尚子の関係には父親、圭吾と真紀子の関係には妹の英美里と父・正孝(近衛谷太朗)、和彦の兄と両親の関係にはもうひとりの子である和彦。未だ止まらない、行き過ぎてしまった尚子と真紀子の毒母としての暴走ぶりは、今後どのようにヒートアップするのだろうか。先行きはまだ見えない。

(大和田茉椰)