ACL“日本人最多得点FW”が切望する王者の称号 「そろそろ嬉しい思いをしたい」

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アジア制覇へ静かに闘志を燃やす興梠 「誰が決めても良いので勝ちたい」

 浦和レッズのエースストライカーが、何よりも切望してきたタイトルまで、あと一歩のところまで来た。

 浦和のFW興梠慎三は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦を控え、「そろそろ嬉しい思いをしたいのでね」と優勝への思いを語っている。

 興梠は前所属の鹿島アントラーズと現在の浦和を合計して、ACLで日本人最多の18得点を記録している。鹿島時代に国内三冠を制し、浦和でもルヴァンカップを制覇している。しかし、最も思い入れを強く持っているのが、未経験のACL優勝だ。

 シーズン前など、言葉は悪いが非常によくある質問に「どれか一つタイトルを選ぶなら、どれが良いか?」というものがある。多くの選手は結果的に「取れるものは全て取りたい」という答えを返すのだが、興梠の場合はそれを「ACLですね」と明言してきた。浦和に加入した2013年から数えると5シーズン目で4回目の出場となっているが、鹿島時代から含めて準決勝以上の舞台に立つのは初めての経験となっている。

 悲願のACLタイトルに向け、敵地での初戦は価値あるアウェーゴールを含む1-1のドローで乗り切った。興梠は「相手の圧力が強く、なかなか自分たちのプレーはできなかったけど、1-1という結果は良かったと思います。正直、1-0で帰ってくるよりも引き分けのほうが戦いやすいかな」と、過度なアドバンテージがないほうが良いとの認識を示している。

「正直、悔しい思いのほうが多かったから…」

 興梠は決勝第1戦の前に、日本代表に選出されて欧州遠征に参加していた。結局、ブラジルとベルギーを相手にした2試合で出番はなく、ベルギーからドイツ経由でサウジアラビア入りする強行軍になった。それでも後半終了間際までプレーし、チームのために死力を尽くした。

 興梠が浦和に来て5シーズン目が終わろうとしている。その間、昨季のルヴァンカップ優勝はあるものの、国内三大タイトルでは全大会で2位を経験してきた。それだけに「正直、悔しい思いのほうが多かったから。そろそろ嬉しい思いをしたいのでね」と、少し照れ屋な面があるエースらしく静かな闘志を表現した。

 今季はリーグ戦で得点ランキング首位に並ぶ20得点をマークするなど、そのゴールハンターぶりが際立つシーズンになっている。しかし、元来の興梠はチームが点を取るために全力を尽くすというスタンスであり、それは変化がない。決戦まで1週間を切っても「サポーターの期待に応えられるように頑張りたいですけど、誰が決めても良いので勝ちたい」と、あくまでも勝利とタイトルを望んでいる。

 前線での万能性を武器に浦和の攻撃のキーマンとして過ごした5シーズン、自身のキャリアで最大の目標とも言えるACL制覇に向けて、エースは自然体かつタイトルへの渇望を胸に運命の一戦に臨もうとしている。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images