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オウム真理教の麻原彰晃こと、松本智津夫死刑囚の四女(28)が申し立てた家事審判で、横浜家裁が、松本死刑囚ら父母を四女の推定相続人から廃除する決定を下したことがわかった。決定は10月31日付で、すでに確定している。四女が11月21日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて発表した。四女は会見で「自分の中の見えない縛り、障害が初めて消えた。生きるためにどうしても必要だった」と心境を明かした。

●「父の命令で死にそうになった」

民法には、遺留分を有する推定相続人から、あらかじめ相続権を奪うことできる制度が定められている(推定相続人の廃除)。今回のケースでいえば、仮に四女が交通事故などで早く亡くなった場合、父母がその遺産を相続できないようになる。四女の代理人をつとめる滝本太郎弁護士によると、子が父母を相手取って申し立てるケースは珍しいという。

決定文によると、横浜家裁は、四女が松本死刑囚らから(1)暴力をふるわれるなど適切な養育を受けられなかった、(2)重大な犯罪によって、安定した環境の下で十分な教育を受けることができなかった――などと判断。松本死刑囚ら父母を四女の推定相続人から廃除することが「相当」と結論づけた。

四女は現在、教団から離れて生活しており、連絡もとっていないという。この日の会見で、子どものころ、父・松本死刑囚から暴力を受けたり、寒い時期に薄着で放置されるなどの虐待を受けていたと告白。「父の命令で死にそうになった」「現代の日本とは思えない環境だった。戦場にいるかのような緊張だった」と振り返った。さらに「問題がある親と縁が切れる制度が必要だ」と訴えた。

●「死刑執行以外に責任をとる方法はない」

会見の質疑応答では「松本死刑囚らをどう思っているのか?」という質問があった。

四女は、父母について「生んでもらった恩はあるが、育ててもらった恩はない」「(松本死刑囚の)死刑執行は望んでいるわけではないが、死刑執行以外に責任をとる方法はない。執行されるべきだ」と述べた。松本死刑囚に対する愛情を示している三女に対しては、「父のことを大事にしすぎていると思う。三女には三女の人生を歩んでほしい」と話した。

今後の活動について、四女は「すごく複雑な立場で、いろいろな人にお世話になっている。その分、社会貢献というか、人の役に立てる仕事ができたらと思う」「一人の人間として生きていきたい」と述べた。現在の職業などについてはノーコメントとした。

(弁護士ドットコムニュース)