子供が見違える「短い声かけフレーズ10」

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「難関中学・高校・大学に合格」「高倍率の大企業に内定」。自分の子供を“成功者”に導く親には共通点がある。それは子供が「うれしい」と思うような言葉を繰り返し口に出していることだ。そうした言葉には、子供の「生きる力」を伸ばす効果がある。一体どんな言葉なのか。10個のフレーズを紹介しよう――。

■子育てに迷走する親ほど「口やかましい」

筆者は長年、子育てに悩む思春期の子を持つ母親から相談を受けているが、よくこんな相談が飛び込んでくる。

「子供がどうしようもないので、どうにかしようと思って頑張るけれど、やればやるほど悪循環。私が死ねば、子供もようやく気づくのではないでしょうか? もう、母が死ぬしかないですよね?」

子育てに迷走し、自分を見失った母親は、ここまで思い詰めることがある。だが、私の経験則では、そうした母親はわが子に対して「口やかましいだけ」である。

子育てという「戦場」では、親が子供の前面に出て「盾」になるのではなく「後方支援」に徹しなければならない。それなのに、迷走している親は家庭が「心と体の栄養補給基地」であることを忘れ、われ先に前線に出てしまう。その結果、何をするべきだったかを見失ってしまうのだ。

例えば、こんな悩みを口にする母親は少なくない。

「ウチの子、やる気がないんです!」

▼やる気を育てるのも削ぎ取るのも、親の言葉

私は過去の自分への反省も踏まえ、こう思っている(編注:筆者の鳥居りんこさんは娘と息子の中学受験を支え、2人の子供は大学を卒業し、現在社会人)。

「子供のやる気を削り取っているのは、あなたのその『口撃』だ」

ほとんどの子供は何をやらなければいけないかはわかっている。ただ、それに立ち向かうエネルギー(やる気)が不足しているだけなのだ。つまり「子供のやる気」という問題を解決するには、外で戦えるだけのエネルギーを家庭でいかに貯められるかにかかっている。

だが、家庭不和や母の不機嫌などが蔓延している「基地」では、子供はやる気をチャージできない。もし「子育てが迷走してきた」という自覚を持ったならば、一度、自分にこう問いかけてみてほしい。

「自分は、過去の後悔、未来への不安、そして現在の不満を、ただ子供にぶつけているだけなのでは?」

■東大生曰く「親は何も言わずに自分の話を聞いてくれた」

無意識のうちに、わが子をストレス解消の手段としている家庭は、明るい未来からはドンドンと遠ざかる。戦場では必ず作戦が必要で、やみくもに動いても勝機は訪れないのだ。そして、「後方支援基地」なくして「戦い」は続けられない。そのことに気付いた親は、子育ての好循環を体験できるようになる。

それでは、どのように工夫すれば、そうした「支援」ができるようになるのか。『プレジデントファミリー2017年秋号』の特集記事「東大生173人アンケート 学力を伸ばすたったひとつの親の習慣」には、そのコツとしてこう書かれていた。

「子供の話を聞くこと」

学力を伸ばすたったひとつの親の習慣。それは、親が子供の話に耳を傾けること。これには全く同意だ。話を聞くことの重要性は、私も学校や生徒、親への取材を通して頻繁に感じることである。

たとえば自己肯定感が高い(=自分が好き。家族が好き。未来は明るいと思う)という大学生に話を聞くと、彼らの多くはこう証言する。

「自分の親はあれこれ言わずに、自分の話を聞いてくれた」

▼東大生の親は子供を「言葉で育てる」

人間には「承認欲求」があり、それが満たされることは何よりも重要だ。こうした大学生の家庭は、意識していたかどうかはわからないが、「承認欲求」を満たす子育てをしてきたのだろう。その手段はいろいろあるが、今回は「言葉で育てる」ということにフォーカスしてみたい。

取材を重ねていると「親は自分の話をよく聞いてくれた」と証言する大学生の親は、「結果」を褒めるのではなく、子供の「能力」を褒めていることがわかる。

例えば、絵画コンクールで優秀賞を取った場合に、「賞を取ってすごいね」ではなく、「色彩感覚がすごいね」と褒めているのだ。

賞を取れるかどうかは運に左右される。そうした「結果」よりも、自身が持っている「能力」を褒められることで、子供は自信を持ち、さらに「頑張るぞ!」というモチベーションを獲得していく。「結果」よりも、「能力」を身につける過程を評価しているように感じるのだ。

■子供がやる気を失う言葉3、やる気が出る言葉10

しばしば日本人は、「加点法」で他人を褒めることが苦手で、「減点法」で他人に文句を付けやすいと言われる。

親は子供を自分の所有物だと考えてしまいがちだ。そのため、他人の子供には絶対にしないような声かけを、自分の子供にしてしまうことがある。その結果、そうした言葉は子供の意欲を丁寧かつ確実にそいでいくことになる。

具体的に「子供のやる気をみるみる吸い取る言葉」の3大要素をご紹介しよう。

1:「勉強しなさい」といった強要
2:「お兄ちゃんはできたのに、ホントにアンタはグズね」といった誰かとの比較
3:「お前なんかにはどうせできっこない」といった否定

この3大要素が含まれる言葉の使用頻度が上がれば上がるほど、子供はやる気を失っていく。

▼繰り返し言ったほうがいい、魔法の「短い言葉」

では、反対に「子供に繰り返し言ったほうがいい言葉」を挙げてみよう。これは私が過去に中学受験を経験した中学生100人に「親に言われてうれしかった言葉」を聞いた結果から導き出したものだ。

1:大好きだよ
2:ありがとう
3:へぇ〜? そうなんだ?(その話、もっと聞きたいな)
4:やったね!
5:すごいね!
6:頑張ったな! または 頑張ってるな!
7:ドンマイ!(次、行こう!)
8:オマエならやれる!
9:(結果は気にせず)楽しめ!
10:ナイストライ!(いい経験になったね!)

多くの子供たちは、こうした言葉に対して聞く耳を持たないような振りをする。しかし実は、しっかり親の言葉を聞いていて、それを記憶しているのだ。中学生たちに話を聞いて、そのことをあらためて実感した。

■「短い褒め言葉」をかけ続けると生きる力が育つ

これにプラスして私は「褒め言葉」というものが持つ「威力」に驚いている。募集もされていない職種、あるいは難関と呼ばれる企業・職種の門戸を自力でこじ開けて、夢をかなえた子供を持つ母たちに子育ての極意を聞くと、このようなことを異口同音に言うからだ。

「まずは『楽しい!』という気持ちを持たせ、そして『自信』を持たせる。この繰り返し」

要は「言葉の魔力」で「生きる力」を育てているのだと思っている。

子育ては一筋縄ではいかない難しいものである。だが、自己肯定感が高い子供の家庭を見ると、必ずしも子供にずっと張り付いているわけではないのに、「自信」を持たせる瞬間を見逃していないことに気付く。

叱るにしても褒めるにしても、その瞬間に、子供自身の人格ではなく、起こった出来事を短い言葉で表現しているように感じる。この「短い言葉」というものが、功を奏すのかもしれない。

結局、子育ては、赤ちゃんの頃は「手をかけ」、幼少期には「目をかけ」、そして思春期に入ると「心かけ」ということに尽きるのだろう。

この「心かけ」の時期に、わが子そのものを認める姿勢を持ち、それを言葉に出すことが、子育ての肝なのだと思っている。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ)