職場を蝕む「歴史修正主義おじさん」のリスク
自分の都合のいいように「歴史を修正」するおじさん、いますよね……(イラスト:ずんずん)
会社がつらい、辞めたい……。そう思う人は、仕事そのものというより、職場の人間関係で行き詰まっていることも多いかもしれません。
自分自身に原因があるとは限りません。会社のあちこちに生息する「困ったおじさん、おばさん」に追い詰められていることも。
そんな恐るべき現場を数多く見てきたのが、元外資系OLでコラムニストのずんずんさん。この連載では、そんな彼らの生態を解き明かし、対策も考えていきます。
オフィスに生息する困ったおじさん、おばさん
あなたのオフィスにも、困ったおじさん、おばさんはいませんか? どこにだって困った人はいますよね。長い間社会人をしていれば、必ず1人や2人は出会うはずです。
ずんずんさんによる新連載、今回が初回です
こういった人たちって遠目で眺めている分にはいいんですが、運悪くかかわることになってしまったら、さあ大変。ひどい目にあわされたりして、
覚えてろよ〜!!! このXXX!
と某議員のような、呪いの言葉を心の中で叫んでしまうこともしばしば……。
この困ったおじさんやおばさん、実はいろいろ種類がありまして、全国の善良なビジネスパーソンを困らせているというのです。
どんな困ったおじさん、おばさんがいるかと言いますと、今日ご紹介したいのは……、
困ったおじさん エントリーナンバー1番、
「歴史修正主義おじさん」
です。
歴史修正主義おじさんはその名のとおり、歴史を修正してしまう恐るべきおじさんです。「あのプロジェクトはね、俺がやったんだよ」と、社内で成功したプロジェクト、企画などをさも自分の手柄のように吹聴して回ります。が、実際のところ、このおじさんは何もしていません。
もう一度いいます。そう……このおじさんは何もしていないのです……。何もしていないというのに自分の手柄と言いふらしているとはこれいかに? 歴史修正主義おじさんは、歴史を自分の都合のいいように修正してしまう困った人なのです。
私のオフィスにもこんな歴史修正主義おじさんがおりました。このおじさんの話を周囲の人に話したところ、次々とほかのオフィスでも歴史修正主義おじさんの存在が確認されたのです。あなたのオフィスにもいませんか? そんなおじさん……。
猛反対し、丸投げしたはずなのに…
はてさて、私のオフィスでシステム統合のプロジェクトがありまして、プロジェクトリーダーとしてその歴史修正主義者のおじさんが任命されました。
しかしながら、このおじさん、任命されたプロジェクトに対して「生産性がない」とか「時間の無駄」だと猛反対。結局自分では担当せず、私のチームに丸投げしてきたのです。
結局、わがチームが血の汗、血の涙を流し、なんとかプロジェクトを完成させたのです。プロジェクトは無事成功し、社内の生産性は向上、社長から社長賞的なものをもらうことになったのですが、その授賞式で、壇上にあったのは、その歴史修正主義おじさんの姿だったのです……。
どういうこと!?
あいにく、その日は私が休みだったので、チームメイトが代わりに賞を受けるところだったのですが、
おじさんが華麗にカットイン
社長からの賞状的なものを受けとっておりました。
お、お前何もやってないじゃーん!!!
と突っ込みたいところですが、プロジェクトを担当した人以外はそんなことは知りません。おじさんは、あたかも自分がプロジェクトをリードして成功させた印象を社内ならびに偉い人にも印象付けることを成功させたのです。恐るべきハイエナ的精神です。
しかも、このおじさん、
「いや〜あれは大変だったね!」
みたいなこと言いふらし、気づいたころには社内の事情の知らない人、全員が、プロジェクトの成功は歴史修正主義おじさんのおかげだと信じ込んでしまいました……。
おじさんは、見事に人が汗水流した成果を、横からかっさらっていったのです(吐血)。
罪悪感のない、純粋な悪の存在
歴史修正主義おじさんは、ピュアなソウルの持ち主なんです。
楽しておいしいところだけ欲しいという、普通の人だったら思っていてもできないようなことを、するっとやってのけるすごいおじさんなのです。
このおじさんは、困ったことに罪悪感がありません。まさに純粋な悪の存在です。こんなおじさんの被害にあってしまったら大変ですよね。
歴史修正主義おじさんは、言い返せなそうな気の弱い人間をターゲットにします。
私のオフィスの歴史修正主義おじさんは、その後も人の手柄をかすめ取り、出世までしやがりました。
マネジメントは何を見てるんだー!!
と怒り大爆発ですが、偉い人は下々のことなど見てる時間はないのです……。だって偉いから……。
こんなふうに自分の手柄がかすめ取られたときはどうするか、
泣き寝入るか
闘うか
のどちらかですよね。
泣き寝入ってしまって、何も言わないままだとますますおじさんは調子にのってしまいます。いいんだ、俺なんて……わかってくれる人はいるさ……。などとふてくされている場合ではないのです。
そのわかってくれる人は、おじさんが修正してしまった歴史を信じてしまっているんですよ……。
この歴史修正主義おじさんは、なかなかの政治力の持ち主で、上の人間に好かれていることが多々あります。相手が権威の力を持ち出してくるならば、こっちが勝つ方法は、
チームプレー
しかありません。
社内にはおじさんの被害者が何人もいるはずです。この被害者たちと、被害者の会を結成し、おじさん包囲網をつくりましょう。
ウソは真実に弱い
実際のところ、ウソって真実には弱いんですね。
そんな私も被害者の会を発足しましたが、会員の1人がおじさんがいかに仕事をしていないかの行動記録を取り始め、上に直訴しておりました。なんて恐ろしいんだ……。
形として残ってしまったら、もうおじさんも逃げ切れません。しかも、この直訴を複数人でやり始めたため、おじさんは上の人に呼び出され、居心地が悪くなったのでしょうか、会社を辞めていきました……。
何がおじさんを駆り立てるのか、われわれには知る由もありません。
しかし、自分を守るためにもおじさんとは戦い続けましょう。
といったところで今日は失礼します☆