シンポジウムの企画者である現代美術家の亜鶴。背中の刺青を施術したのは、登壇者でもあるタトゥーアーティストの大島托

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「タトゥー裁判とマイノリティの表現」 をテーマにしたシンポジウムが12月10日(日)、沖縄・那覇市の共同制作スペース・BARRAK 大道で開催される。

【「タトゥー裁判」から考えるマイノリティと表現の自由 沖縄でシンポジウムの画像・動画をすべて見る】

本シンポジウムは、9月末にいわゆるタトゥー裁判※が大阪地裁判決で「有罪」と結論付けられたことを受けての実施となる。

全3部からなるシンポジウムでは、「医療とタトゥーと琉球ハジチ」や「タトゥーアーティストの実情」、「マイノリティの表現」といったテーマが話し合われる。

※タトゥー裁判:医師免許なく客にタトゥーを入れたとして、医師法違反の罪に問われた彫り師に対し、大阪地裁が罰金15万円の有罪判決を言い渡した裁判。タトゥーはアートか医療かをめぐって争われ、地裁は医行為と認定(関連記事)。一方、弁護側は閉廷後、「医師でなければタトゥーを入れられないのであれば、日本から彫師という職業がなくなる」と語っている(関連記事)。

タトゥー裁判の主任弁護人やタトゥーアーティストら

登壇者は4人。

タトゥー裁判の主任弁護人を務めた亀石倫子をはじめ、ダンス営業規制の問題を追いかけた元朝日新聞記者で、現在はBuzzFeedにてジャーナリストとして活躍する神庭亮介。

世界各地に残る民族タトゥーを現地に赴いてリサーチ、現代的なタトゥーデザインに取り入れて高く評価されるタトゥーアーティストの大島托、サブカルチャー・対抗文化を媒介とした「カルチュアル・セラピー」を治療に取り入れるなど、マイノリティの表現に詳しい精神科医の遠迫憲英。

司会進行は、刺青をはじめとするストリートカルチャーにインスピレーションを受け活動を開始した現代美術家・亜鶴がつとめる。

琉球列島の刺青文化「ハジチ」を通じて考える表現の自由

今回のタトゥー裁判をきっかけとしたマイノリティの表現のシンポジウム開催において、重要な文脈の1つに「ハジチ」と呼ばれる琉球列島の刺青文化がある。

かつて琉球列島では既婚の女性の手に施されていた「ハジチ」だが、後継者不足と刺青の法的な扱いなども影響し、その文化は現在、存亡の危機に瀕している。

シンポジウムでは「ハジチ」の技術継承をフィールドワークとする大島托による、現地・那覇で伝統手法により実施された施術の報告も行われる。

少数派の権利や自由が認められる未来への布石

ここ数年の「表現の自由」に関連する問題を前にして、「マイノリティは、いま、何をすべきなのか?」「現状のマイノリティに対する社会的圧力を前にして、当事者および支援者は、どのように振る舞うべきか?」──タトゥー問題だけに限らず、より広範囲の少数派の権利や自由が当たり前に認められる未来への布石。

そんなシンポジウムは今回、6月に那覇市大道にオープンした同会場で12月3日(日)から17日(日)まで開催される、"移民と観光"をテーマとした現代美術展「自営と共在」の関連プログラムとして企画されている。

直接的に政治的な言及を行うのではなく、移民や観光という現象を日本各地から沖縄に集合する作家が経験や思考を行いながら深め、それらを作品や展示全体へフィードバックしようとする本展示も合わせて注目したい。