銃乱射犯iPhoneのハックにFBIが失敗か。保存データへのアクセス求めアップルに捜査令状
今年11月5日午前(日本時間6日未明)にアメリカ・テキサス州で26人が死亡した銃乱射事件につき、テキサス・レンジャー(同州独自の法執行官)がアップルに対してiPhone SE内のデータとiCloudアカウントにアクセスを要求する捜査令状を出していたことが明らかになりました。

アップルは当初、テキサス当局と共同で捜査しているFBIに協力を申し出たものの、FBIはこれに応じず、自力でのロック解除を試みたものの、失敗したようです。

本件のデビン・ケリー容疑者(26)は犯行後、逃走中の車内で死亡。裁判所の記録によると、現場では血まみれのiPhone SEとLG328BG(格安の携帯電話)が見つかったとのこと。

捜査に当たったFBIはアップルの協力申し出を受けず、iPhone SEをバージニア州の法医学研究所に送って独自に解析。それから程ない11月9日付けで、アップルに同端末内のデータとiCloudアカウントへのアクセスを求める捜査令状を出したといういきさつ。自力でのロック解除は失敗したようです。

iPhone SEのTouch IDは、「生体認証」であるiPhone XのFace IDと違って、実は死体の指でもロック解除が可能です。ただし、過去48時間以内にユーザーが使用していない場合はパスコード入力が求められる仕様。FBIは、このタイムリミットに間に合わなかったのかもしれません。

FBIとアップルの軋轢といえば、思い出されるのが2015年にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件において、自殺した容疑者のiPhone 5cのロック解除をめぐる全面対決でしょう。

FBI、iPhone ロック破り内部へのアクセスに成功か。アップルへの要請は取り下げへ

アップルは2008年から2015年の間に、70回以上もロック解除に応じたことが明らかにされています。が、サンバーナーディーノ事件の際はFBIからの「iPhoneのロックを解除できるソフトウェアツールを作って提供して欲しい」、つまりバックドアを作ってくれという要請を拒否しました。

もしFBIの要請に応じれば、iPhoneセキュリティの根幹や、ひいては企業そのものの信頼を揺るがしかねません。そのためGoogleやマイクロソフトなども、アップルが拒否した対応を支持すると表明していました。

その後、司法省が「iPhoneの中身を取り出すことに成功した」と裁判所に報告したため、アップルへの協力要請は取り下げ。一度は成功した体験が、FBIの自信を強めて頑なにしたのかもしれません。

アップルが早い段階での協力を申し出たのも、iOSへのバックドア作成が検討されるほどの事態に至る前に、FBIとの緊張関係を和らげておく配慮があったとも思われます。が、再びiPhone SEのデータ取り出しについては振り出しに戻り、アップルは厳しい対応を迫られそうです。