2015年12月期に約110億円あった現預金が、わずか1年9カ月で約20億円に――。
 今年7月、(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、江東区、大塚久美子社長)は、2017年12月期業績予想を売上高530億1,900万円から428億1,600万円に、当期純利益を3億6,700万円の黒字から63億2,000万円の赤字に、それぞれ下方修正した。
 業績不振から抜け出すきっかけを見出せないまま提携や統合の話が出ては消えていたが、11月6日に貸会議室運営の(株)ティーケーピー(TSR企業コード:296456853、新宿区、河野貴輝社長、東証マザーズ、以下TKP)との業務・資本提携を正式発表した。
 世の中は大塚家具が得意の「まとめ買い」から「単品買い」に変わり、価格競争やインターネットとの競合も厳しさを増している。大塚家具はTKPとの提携でこの難局を乗り越えられるか。大塚家具の現状を取材した。


大塚家具銀座本店

大塚家具の現状と変革

 大塚家具のイメージは「高級」だ。2014年に表面化した大塚久美子社長と当時の会長で久美子社長の父親である大塚勝久氏との経営権を巡る、今時珍しい派手な「父娘喧嘩」は新聞、テレビ、雑誌で連日大きく扱われ、ブランドイメージは著しく毀損した。
 経営権を掌握した久美子社長は父親が成長の礎とした会員制を廃止。さらに、「大感謝祭」などのセールで「禁断」の低価格路線にも踏み込んだ。だが、長引く消費低迷やインターネット通販など物流変化にも嵌り込み、思い描くような業績回復ができていない。
 2016年12月期(連結)の売上高は463億784万円と、前期比で116億9,687万円も減少した。当期純利益は45億6,710万円の赤字に転落し、現預金は前期の109億7,182万円から38億5,379万円まで減少した。
 その後もビジネスモデルの再構築やイメージ回復を目指すものの業績は改善しないまま。大型店舗の売上落ち込みが大きく、2017年12月期第3四半期は売上高312億3,545万円と減収、当期利益も58億4,713万円の赤字。現預金は20億3,556万円に減った。大塚家具の月商は約35億円。小売業の上場企業で現預金が月商を下回るのは異常だ。

無借金経営の裏側

 大塚家具は無借金経営で知られる。これだけ現預金が急減しても、無借金を維持している。それを可能にしているのが資金負担の重い店舗不動産のリースだ。
 一部はオペレーティング・リース取引で、解約不能のものに係る未経過リース料を2016年12月期は117億9,685万円計上している。これがオフバランス化されているため、貸借対照表は無借金になっているのだ。
 大塚家具の担当者によると、この未経過リース料の大半は大型店舗などの「賃料」という。ただ、解約不能の契約で、思い切った減床や統廃合が進まない要因にもなっている。
 今回の提携で、オペレーティング・リース取引の店舗不動産をTKPに貸し出すのか尋ねると、「まだ具体的に決定していない」(担当者)という。ただ、TKP側の業務提携リリースでは、「大塚家具が所有又は賃借する物件におけるTKPによるイベントスペース、貸会議室の運営」と言及している。いわゆる「また貸し」にも相当する可能性もあり、オーナーやリース会社との調整が必要とみられるが、将来的にはオペレーティング・リース取引の不動産をTKPに貸し出す可能性もみえてくる。
 2017年12月期の赤字見込みの一部は、19億4,800万円の事業構造改善引当金の計上がある。大塚家具では「引当金も基本的に賃料」(同)と話すが、詳細な資料公開は拒否する。
 巨額の未経過リース料が利益改善のカギになるだけに、TKPとの提携をどう生かすか注目される。

減少が続く現預金

 2017年第3四半期の現預金は20億3,556万円。商品在庫は同四半期で132億2,280万円を計上している。資産合計299億2,092万円の44.1%が商品で、現預金の6.4倍。かなり歪な財務バランスだ。
 荒っぽい財務分析だが、大塚家具の商品は仕入から販売まで半年近くを要する計算だ。
 一方で、手元資金にプラス材料もある。TKPとの提携で第三者割当を実施し自己株式の処分で10億3,135万円の現金を得られる。
 残る金脈は、投資有価証券だ。2017年12月期第3四半期で、投資有価証券売却の特別利益10億6,711万円を計上。同期の資産に投資有価証券は現預金を上回る26億8,345万円を計上している。
 大塚家具は2017年第3四半期で総額43億円のコミットメントライン契約(借入枠)を4社と締結していた。第3四半期提出時までにこの4社のコミットメントライン契約を解除し、別の金融機関1社と10億円枠を契約した。現時点でコミットメントラインは活用しておらず、10億円に枠が減少しても直接の影響はない。担当者は「金融機関から支援の意思を確認している」とコメントしている。
 とはいえ本業での手元資金の急激な減少に歯止めはかからず、資金繰り改善までの猶予期間は多く残されていない。


 TKPとの提携は、一定のアナウンス効果が期待される。ただ、消費者の購入チャンネルが多様化し、「高級」イメージ維持と来店客の増加は容易でない。現預金が今の水準を下回ると、商品仕入に影響も危惧される。
 業績と財務の改善には投資も必要だ。強力なライバルとしのぎを削りながら大塚家具は復活を果たすことができるのか。難しい経営の舵取りは最終盤を迎えている。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年11月21日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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