北山の意気を消沈させたソツの無い沖縄尚学の猛打2年ぶり6度目の優勝を決めた沖縄尚学

 1年生大会決勝は、打撃力が高いチーム同士の決戦となった。準決勝までの3試合、チーム打率が.350を超えた北山と、チーム打率4割越えの沖縄尚学の一戦。戦前の予想では、打ち合いになるのかそれとも守りの凌ぎ合いになるのか。予想するのが難しいレベルの高さを見せてきた両雄の頂上決戦がコザしんきんスタジアムにて始まった。

 初回、沖縄尚学は二死から2つの四球とヒットで満塁と攻め立てプレッシャーをかける。ここはマウンドの北山・金城 洸汰が凌いだが、今までのようにはいかないぞ、との過度の思いがよぎってもおかしくないような攻撃だった。

 その裏、北山も二死から反撃する。クリーンアップの三連打が飛び出し先制点を奪う。初優勝へ向けて決して悪くないスタートだった。しかし、その流れを一気に変えてしまうのが、沖縄尚学の名門たる所以だ。

 2回、沖縄尚学は先頭打者が四球を選ぶと続く岡野 真翔にバントの指令が出る。失敗。だがその直後だった。快音を残し打球はセンター前へ。「カウントを考えてストライクを取りに来ると読んで」。一年生大会の指揮を執る伊志嶺 大吾監督の読みに岡野が応えた一打。これが北山野手の歯車を微妙に狂わせ、その後の大量点に繋がる効果的なヒットであった。

 9番・比嘉 大智に同点タイムリーが出ると一死後四球で満塁。そして3番・奥原 海斗がレフトを襲う痛烈な打球を放つ。ダイビングキャッチを試みたレフトだが届かず。誰もいないフィールドを転々とする間に、奥原が三塁を回って満塁ランニングホームラン。大きな5点が燦々と輝きながらボードに刻まれた。

 その後も沖縄尚学は手を緩めず、4回、5回、6回と中押し、ダメ押し点で14安打8得点。2年振り6度目の優勝を飾った。

 敗れた北山だが、予選から準決勝まで9試合負けなし。平良 拳太朗たちが成し遂げた4強の最高位を越える大きな勲章は、失せることはない。この自信と決勝での悔しさをバネに、さらなる飛躍を見せてくれることを楽しみに待っていたい。

(文=當山 雅通)

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