タイ工場におけるCFRP加工品の積層作業

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 東レ・カーボンマジック(滋賀県米原市、奥明栄社長)は、航空機の機体に使う1次構造部品の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形加工品の納入を10月に開始した。従来より航空機の内装材や非破壊検査不要の航空機部品は手がけていたが、より厳しい品質管理が求められる1次構造部品は今回が初めて。本社工場での生産を手始めに、2020年にタイ工場での量産開始も目指す。

 同社の前身は、レーシングカーを開発する童夢(滋賀県米原市)のCFRP部品製造子会社。13年に東レが買収した。レーシングカー向けで蓄えた開発力を武器に、自動車部品でのCFRP採用拡大を目指してきた。

 ただ、レーシングカーではCFRP採用が当たり前でも、量産品の自動車ではまだまだ発展途上。自動車業界に対し、「“使えそう”ではなく、“使える”材料」(奥社長)であることを証明する必要があった。そこで目を付けたのが航空機の1次構造部品だった。

 「航空宇宙分野から学ぶことが必ず役に立つ」と、奥社長は断言する。航空宇宙産業は複合材料を用いてきた歴史が、他産業よりも長く、複合材料の実用例も豊富だ。CFRPを使った1次構造部品の生産に必要な認証は自動車部品でも品質保証の“紋所”になる。

 16年に航空宇宙分野の特殊工程に関する認証「Nadcap」を取得。17年に米ボーイングからサプライヤー認定も取得した。ここにたどり着くまで要した月日はおよそ10年。奥社長は計画当初から携わっており、10月からスタートした1次構造部品の納入開始を感慨深げに見守る。一方で、航空機業界の要求品質は厳しい。「まずは顧客の求める品質に応えていかなければならない」(奥社長)と気を引き締めるのも忘れない。

 今後は「1次構造部品の売り上げで、年率10%の成長を目指す」(同)。航空機で実績を重ねながら、自動車部品についても開発を加速していく。
(日刊工業新聞大阪支社・日下宗大)