ソウルフルなサウンドや歌唱を意識した、全曲オリジナルのクリスマスAL『エブリデイ・イズ・クリスマス』シーア(Album Review)

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 クリスマス・アルバムといえば、「恋人たちのクリスマス」でおなじみのマライア・キャリーを筆頭に、ケリー・クラークソンやアリアナ・グランデなど、高い歌唱力を誇るいわゆるディーヴァ系や、ボーイズ?メン、ペンタトニックスなどコーラス・グループの作品を真っ先に思い浮かべる。エレクトロ・ポップのヒットで知られるシーアが、まさかクリスマス・アルバムをリリースするとは思わなかった。クリスマス“らしさ”を演出することはできるのか、と……。

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 しかし、先行シングルの「サンタズ・カミング・フォー・アス」で、その不安は解消された。キャッチーなメロディやレゲエ調のリズムなど、オリジナルの良質な部分は残しつつも、「シャンデリア」や「チープ・スリルズ」など、これまでのヒット曲とは明確な違いを示した、正真正銘のクリスマス・ソングに仕上がっているからだ。聴き手をハッピーな気分にさせてくれる、歌い方の変化にもご注目。

 「サンタズ・カミング・フォー・アス」の他にも、スプリームスの「ベイビー・ラブ」や「涙のお願い」など、60年代のモータウン・サウンドを意識したキュートなポップ・ソング「キャンディー・ケーン・レーン」や、何度も繰り返すサビが印象的な「ホー・ホー・ホー」、60年代のカントリーやブルースを彷彿させるオールディーズ・タッチの「サンシャイン」、本作中最もアップテンポな「パピーズ・アー・フォエヴァー」など、聴いた誰もがテンション上がる、ハッピーなポップ・ソングが満載。“これまでのシーアの曲”に一番近い、マイナー調のタイトル曲「エブリデイ・イズ・クリスマス」も、シングル候補として挙がりそうな高クオリティだ。

 一方、ピアノの3連が美しい、6/8拍子のメロウ・チューン「スノーマン」や、鈴の音とピアノのバックサウンドがホリデー・シーズンを演出する、讃美歌のようなクリスマス・バラード「スノーフレーク」、暖かい家の中でも、雪の降る町にも、ヤドリギの下でも、どこで聴いてもその情景が浮かびそうな、ミッド・テンポの「アンダニース・ザー・ミスルトー」など、ホット・チョコレートでも飲みながらゆっくり聴きたいスロウ〜バラードも充実。中でも、ほぼアカペラに近いピアノ・バラード「アンダニース・ザ・クリスマス・ライツ」は、すばらしいの一言。シーアのファルセットが、こんなに美しいとは思わなかった。彼女のキャリアの中でも“意義ある一曲”になったのではないだろうか。

 本作『エブリデイ・イズ・クリスマス』は全曲がオリジナル・ソングで、制作・プロデュースは、シーアと彼女の作品を数多く手掛けてきた人気プロデューサー、グレッグ・カースティンが担当。グレッグは、シーアの他にもアデルやラナ・デル・レイなど、実力派シンガーを多数手がけている。

 シーアは、本作からレーベルをRCAからアトランティックに移籍。10月に発売されたケリー・クラークソンの新作『ミーニング・オブ・ライフ』もそうだったが、ソウルフルなサウンドや歌唱をイメージしたのは、“R&Bの名門”を意識してのことかもしれない。

 ちなみに、グリーン・レッド・ホワイトの3色で統一されたアルバム・ジャケットに写っているのは、「シャンデリア」や「エラスティック・ハート」のミュージック・ビデオに出演した、ダンサー/女優のマディ・ジーグラー。大注目された当時12歳だった彼女も、もう15歳に……。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『エブリデイ・イズ・クリスマス』
シーア
2017/11/17 RELEASE