安倍首相が出演を熱望する『報道特注』(YouTube「文化人TV」より)

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 ネット右翼から熱い支持を受けているネット番組『報道特注』をご存知だろうか。

 司会の生田よしかつ氏(築地市場のマグロ仲卸三代目)のもと、自民党広報副本部長の和田政宗参院議員、最近も「朝日新聞、死ね」ツイートや「犯罪者」発言で話題の日本維新の会・足立康史衆院議員、経済評論家の上念司氏というレギュラー陣が、しばしばアルコールと見られるグラスを傾けつつ、デマと陰謀論丸出しでマスコミや野党をバッシングしまくっている番組だ。

 さらに準レギュラーには、作家の百田尚樹氏やレイプ告発を受けている安倍官邸御用ジャーナリスト・山口敬之氏もいる。本サイトでも伝えたように、レイプ問題で雲隠れしていた山口氏は、10月28日に放送された『報道特注』の「第一回ファンクラブ公開収録」に参加。そこで、「もし(レイプ問題を)知らない方がいたらネットなど検索しないでおいていただけると(助かる)」などとネタにし、会場のグロテスクな笑いを誘っていた。

 とにかく、出演者をみても、内容をみても、知性や品格の欠片もない内容なのだが、そんなどうしょうもない番組に、日本の首相である安倍晋三が出演を熱望しているらしい。

 いや、さすがにそれはないだろう、と思うかもしれないが、事実、安倍首相自らがそう語っているのだ。

 10月21日の選挙期間最終日、安倍首相は秋葉原での演説後、自民党本部に向かい、党のネット番組「Café Sta」に生出演した。もともと「Café Sta」では、5年ほどまえからJ-NSC(通称ネトサポ)を統括する自民党ネットメディア局長・平将明衆院議員とともに、『報道特注』の司会である生田氏がMCをやってきた。

 そして、この日の放送で安倍首相は、スタジオに到着し、マイクをつけて着席するや否やいきなりうれしそうに「報道特注、報道特注」という単語を繰り替えしたのだ。

 これに平議員は「総理、知ってるんですか、『報道特注』!」と驚き顔。生田氏も大声で「恐れ入ります!」と感激していた。

●デマ、ヘイト、セクハラだらけの番組に、安倍首相は自分から...

 開口一番に『報道特注』って......。これだけでも行くところまで行ってしまったハイレベルなネトウヨみたいだが、続いて安倍首相は「(『報道特注』を)見ました。うちの女房が見せてくれてね」。これにスタジオは大盛り上がりで、平議員が「もし総理、よかったら『報道特注』出てもらって」と言いだし、生田氏も「ありがとうございます!」と渇望。すると安倍首相は笑いながら、画面外を指差して、こう言うのだ。

「ちょっと、ちょっと秘書官がね、難しい顔するんです(笑)」

 ちなみに、この秘書官とは片腕中の片腕である今井尚哉首相秘書官のことらしいが、さすがに『報道特注』のような極度のネトウヨ番組には出る気はないということか......と思いきや、そういうわけではなかった。平議員らが「(今井秘書官が)首を横に振ってますよ!」などとガヤガヤ言うのを静止するように、安倍首相はこう声を張り上げたのである。

「私は、私は、私は! 『報道特注』出たいんだけど!(でも今井が)ちょっととか言ってね(笑)」

 ようするに、やっぱり安倍首相自身は『報道特注』に出演したくしたくてたらまらないらしいのだ。

 もちろん、安倍首相がネトウヨ気質であることはよく知っていたつもりだが、ここまでとは恐れ入る。

 繰り返すが、あの『報道特注』である。念のため過去の放送での発言を取り上げておくと、こんな感じだ。

 足立議員「蓮舫さんがね、日本人じゃないとは言わないけど、日本人じゃないと思うんだけど(笑)。彼女たちの言ってる言動の中身は、あたかもね、外国政府の言っていることとほぼ符号してますからね」
 和田議員「(沖縄の基地反対派の)テントに行くと、辺野古のところは辺野古の人ひとりもいないですからね!」

 他にも、「蓮舫は戸籍を見せろ」とか「辻元生コン祭り」とか「加計問題はマスコミの偏向」とか、そういう紹介する価値すらないヘイトやデマ、陰謀論を毎回飽きずに垂れ流している。

 誹謗中傷やセクハラ発言も全開だ。たとえば、テレビ朝日の『朝まで生テレビ!』について「田原総一朗ってやばくね? 入れ歯フガフガしてる」(生田)、「まあ(三浦)瑠麗ちゃんはカワイイからいいですよ」(足立)、「アレ(=三浦瑠麗)も育てていかなきゃいけない」(和田)とか、笑いながら散々下品なミソジニー的言辞を連発していた。

 そして、きわめつきは、冒頭で紹介したように、レイプ問題の渦中にありながら、開き直り、卑劣なセカンドレイプ発言を連発している御用ジャーナリスト・山口敬之氏をいち早く復帰させたことだ。

 こんな番組に一国の首相が出演を熱望しているとは、全く世も末ではないか。

●「秘書官や閣僚、安倍政権のすべての人が『報道特注』を見ている」

 しかし、これは安倍首相のことを「民主主義国家の総理大臣」と考えるからそう思うだけで、これまでの言動や体質を振り返ると、『報道特注』への出演熱望はある意味、当然の流れといえるかもしれない。地上波で『そこまで言って委員会NP』や『情報ライブ!ミヤネ屋』(共に読売テレビ)への出演もそうだが、先の選挙でもAbemaTVの見城徹・幻冬舎社長の番組『徹の部屋』に出て、さんざんヨイショされて心地よくなっていたように、安倍首相はもともと、真面目な政策議論よりも、ネトウヨ丸出しのお友だちや安倍応援団にチヤホヤされるのが大好きなのである。

 そして、安倍首相は自らが不祥事や失策を引き起こし、メディアに批判されればされるほど、そのことに反省するのではなく、逆にこうした応援団にすがり、慰撫され、開き直ろうとする傾向がある。そういう意味では、安倍首相の開き直りはとうとうここまできた、ということだろう。

 ちなみに、この安倍首相が『報道特注』への出演を熱望しているという話は、前述の山口氏が復帰した「第一回ファンクラブ公開収録」なかでも話題になったのだが、そこで和田議員はこんなことを言っていた。

「今井さんですとか官邸の秘書官も、ほとんどすべての人が『報道特注』見てますし。で、主要閣僚も『報道特注』見てますよ」

 もちろん、ネット番組には放送法は適用されないし、出演者がそこでなにを言おうが、規制することはできない。しかしネトウヨ出演者がデマやヘイト、セクハラ発言を垂れ流し、安倍応援団というだけでレイプ事件を引き起こした人物を平気で出演させるような番組に、一国の総理、安倍首相が出演したがっていること、官邸の人間や大臣たちが熱心に視聴している事実は徹底して批判する必要がある。
(編集部)