2016年10月に業務提携に向けた検討開始を発表した豊田章男トヨタ社長(左)と鈴木修スズキ会長

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 トヨタ自動車とスズキは2020年ごろにインド市場で協力して電気自動車(EV)を投入する。2月に業務提携に向けて検討を始めた両社による協業の一つだ。スズキは、トヨタがマツダ、デンソーと3社で9月に設立したEVの技術開発を担う新会社への合流にも前向きだ。業務提携の具体化を通じ、資本提携にまで発展するかも注目される。

 スズキから提供できる強みは、やはり50%近いシェアを誇るインドでの協力だった。トヨタは、スズキがインドで20年ごろに生産するEVにコネクテッドカー(つながる車)などの技術支援で協力し、そのEVを供給してもらいトヨタブランドでも販売する意向だ。

 生産する車種や規模などは明らかにしていないが、トヨタとスズキがインドでのEV事業計画を公表するのはそれぞれ初めて。充電ステーションの整備や販売網のサービス技術者の教育、使用済み電池の適切な処理体制などインドでEVが普及するための活動を総合的に進めるという。

 スズキは2月に工場を稼働したグジャラート州で、東芝やデンソーとの合弁工場で20年をめどにハイブリッド車(HV)向けなどのリチウムイオン電池の生産計画も進めている。EVでは電池やモーターなどの主要部品を現地調達するとしており、合弁工場の電池も対象に入りそうだ。

 「販売協力をしないというスタンスは変わらない」。スズキの鈴木修会長は今月上旬、トヨタとのインドでの販売協力について改めて否定していた。ただ、30年以上かけて開拓した「聖域」のインドでトヨタとEVの開発と生産で協力するのは、独フォルクスワーゲンとの資本提携解消後、鈴木会長が豊田章一郎トヨタ名誉会長にじきじきに提携を頼み込んだ恩があるからではないか。トヨタという強力な後ろ盾を得て、不安材料だった先進技術の開発も解決へと大きく前進する。

 インド政府は30年までに自動車の国内販売をEVのみにする政策を掲げた。電力供給や充電インフラの問題で実現を疑問視する声も多いが、圧倒的なシェアのスズキが寄り添うことで援護射撃となる。

 トヨタは17日に開幕した広州モーターショーで、19年にも導入される新エネルギー車(NEV)規制を踏まえて20年に中国でトヨタブランドのEVを販売すると公表した。中国の合弁ブランドのEV投入にも意欲を示しており、当面は強まる環境規制への対応を急ぐ。