アリーナ・ザギトワ【写真:Getty Images】

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ともに逆転VでGP連勝、恩師が認めた素質「この年齢で、あの技術を保つのは至極困難」

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦・フランス杯で優勝を飾ったアリーナ・ザギトワ(ロシア)。ショートプログラム(SP)5位と出遅れながら、フリーで自己ベスト世界歴代2位の151.34点で中国杯に続く逆転Vを果たした。シニア1年目、今やフィギュア界で最も勢いに乗る15歳。天才少女の素質を指導する名コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏も「この年齢で、あのテクニックを保ち続けるのは至極、困難なこと」と認めている。米スケート専門メディア「icenetwork」が伝えている。

 世界に衝撃が駆け巡った。18日(日本時間19日)に行われたフリー。赤いチュチュの衣装をまとってリンクを舞ったザギトワは、いつものように前半はキレのあるステップ、スピンで魅了。そして、3連続を含めジャンプを固めた後半はノーミスで着氷し、完璧に演じ切った。得点は151.34点。女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)に次ぐ自己ベスト世界歴代2位を叩き出した。

 転倒などミスが出たSP5位から圧巻の逆転V。記事によれば、ザギトワは優勝後の開口一番に「昨日のショートプログラムには一切、満足していません」とコメント。その上で「うまく滑りたかったけど、頭の中で何かが起きていた。だから、今日のフリーは本当に心機一転、クリーンに演技したかった」と振り返ったという。

 中国杯もSPでミスが出ていたザギトワ。技術は乱れても心は見出さず、まさにイメージ通りの巻き返しで年上のライバルたちを一蹴してしまったから恐れ入る。そんな15歳の非凡な素質について、指導する名コーチも認めている。

トゥトベリーゼコーチが明かした「彼女に対してのモットー」とは

「この年齢で、あのテクニックを保ち続けるのは至極、困難なこと」

 こう語ったのは、トゥトベリーゼ氏だ。ソチ五輪団体金メダルのリプニツカヤを筆頭に、世界選手権2連覇の女王メドベージェワら、数々の名選手を育て上げ、強国ロシアを築き上げた名コーチ。そんなトゥトベリーゼ氏でも、期待の新星のテクニックに関しては目を見張るものがあるようだ。

 なぜ、15歳にして底知れぬ強さを発揮できるのか。記事では、ザギトワの指導における信念を明かしている。

「いつも彼女に言っているのは『なんとなく、うまくやれ』ということ。そして、決して止まらず、戦いが一日だけだと考えるな、ということです。(年齢的に)体に変化が生まれ、そして、心にも変化が生まれる。リラックスできる時期ではないのです。だから励まし、話し合わなければいけない。励ましと話し合い。これが、彼女に対してのモットーです」

 肉体的、精神的に難しい時期にあたる15歳。だからこそ、寄り添い、理解することを貫き、ハイパフォーマンスを引き出しているようだ。

リラックマを胸に抱いたザギトワに見せた細やかな恩師の気配り

 今大会のフリーの演技を終えた際には、こんなシーンがあった。

 ザギトワはリンクに投げ込まれたリラックマを喜んで拾い、キスアンドクライで得点を待っている間も胸に抱えていた。しかし、ジャージ左胸のスポンサーのマークが隠れたしまったのを見ると、パッとぬいぐるみを受け取り、しっかりと見えるように配慮していた。教え子の一挙一動に対する細やかな気配りは事欠かない。

 ザギトワは2002年生まれ。今年3月のジュニア世界選手権では1歳上の本田真凜(関大高)を破り、世界女王に輝いていた。しかし、シニアデビューとなった今季も結果を残し、非凡な才能を見せつけている。GP2戦はいずれもSPでミスが出ながら優勝し、伸びしろという点でも魅力的だ。

 2月の平昌五輪でも一躍、メダル候補に浮上。金メダル大本命メドベージェワを脅かす勢いすら感じさせる。次戦は、その女王と激突するGPファイナル。15歳は初の大舞台でどんな演技を見せるのか。決戦の地は名古屋。前哨戦として、見逃せない一戦になる。