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 ターンの仕方でプレゼンの表現力が格段に高まることは前回説明した。では、プレゼン会場のどこに立って、プレゼンをしたら、聞き手を最も引き付けることができるだろうか。

 実は、ターンの仕方を体得すると、自然と、会場の片隅の演台で直立不動で話したり、PCを凝視して話すことがなくなる。演台に立ち続けるな、会場を動き回れと解説するプレゼンテキストは多いが、そのように解説するだけで、会場を動き回れる人は少ない。

 ターンという行動を体得すれば、自然と、演台から離れることができるのだ。ターンの動きにより、スクリーンを背にして、聞き手と向かい合って話すことがしやすくなる。自然と、スクリーンと、聞き手との間の正面に立ちやすくなるのだ。そうすることで、堂々とした印象を聞き手に与えることができる。

◆スクリーン正面が基本的立ち位置

 スクリーンと聞き手の間の正面に、聞き手に向かい合って立つことが基本的な立ち位置だ。これを基本に、聞き手からみて、正面の右側、正面の左側に立つ動作を身に付けるとなおよい。

 聞き手から見て、スクリーンの左側の内容を示したい時には左側に立つ、スクリーンの右側の内容を示したい時には右側に立つということを、次に試してみるとよい。

 次に試してほしいことは、聞き手から見てスクリーンの左側の内容を示したい時に、聞き手から見てスクリーンの右側に立つ、スクリーンの右側の内容を示したい時に左側に立つ方法だ。こちらの方が、大きい動きになる。いずれにしてもレーザーポインタが不可欠だ。

◆正面左と正面右に移動する

 ここまで出来るようになったら、会場を歩き回ろう。お薦めは、左右両サイドに動く方法だ。これには2種類の方法がある。一つ目の方法は、前記の聞き手から見て正面の左右に立つ方法の延長線上で、両サイドまで移動して、スクリーンをレーザーポインタで示す方法だ。

 この方法は、聞き手の視線を横から正面に動かしたい時に使う方法だ。聞き手の集中力が途切れてきた時のカンフル剤として、聞き手の体を動かしてしまう方法だ。もし、聞き手の動きが鈍ければ、話し手が会場の左右から正面へ移動してしまえばよい。

 もうひとつの方法は、会場の正面左右ではなく、あえて両サイドに、ホワイトボードを一台ずつ置く方法だ。こうすれば、話し手は、スクリーンを背にして正面から聞き手に向かい合うこともできれば、両サイドに移動した場合はホワイトボードを背にして聞き手に向かい合うことができる。

 話し手がスクリーンを用いて話している時は、聞き手は正面を向き、話し手がホワイトボードを用いて話している時は、聞き手は左右のいずれかを向くということになる。このように聞き手に動いていただきながら、聞き手の集中力の低下を防ぐ方法だ。

 そもそもスクリーンやホワイトボードは、話し手の訴求力を高めるツールだ。その効果を享受するためには、スクリーンやホワイトボードを背にするということが基本なのだ。

◆基本的立ち位置に戻ることが基本

 正面左右から、会場の左右へ移動する動きができるようになると、今度は、会場の中央の座席の合間に入る込む動きをしたくなるものだ。会場の中央に入りこむ際は、スクリーンやホワイトボードを背にして話すということにはできない。

 その場合は、聞き手と対話するということを行うと、対話する相手のみならず、聞き手の相当範囲を引き付けることができる。話し手が聞き手に意見や感想を聞く、聞き手の質問を受けるというな場面で、会場の中央の座席の合間に入るという動作をする。

 ここまで演習していると、よくある質問が、スクリーンがある正面とは逆方向の「聞き手から見て後ろのスペースはどのように使用するか」というものだ。私は、よほど、聞き手を大きく動かしたい時(聞き手を目覚めさせたい時)以外は、基本的には後ろのスペースは使わない。

 正面左右、会場の左右、会場の中央の座席の合間に動いた場合でも、正面のスクリーンを背にした正面の基本的な立ち位置に一度戻るということをお勧めする。

 会場の左に移動し正面に戻る、会場の右に移動し正面に戻る、会場の中央の咲きの合間に動き正面に戻るという具合だ。経験的には、そうすることで、聞き手を落ち着かせて、話し手の話に集中していただく度合がより高まる。是非試していただきたい。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第58回】

<文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。