先制弾を決め、仲間と喜びを分かち合う高嶋修也(中央)は決定機を見逃さなかった。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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 守っては完封、攻めては先制点を奪ったうえに、2点目の起点にもなった。攻守に輝きを放ち、明秀日立を選手権出場に導いたのは高嶋修也(2年)だった。
 
 2年ぶりの大舞台を目指し、挑んだ茨城決勝の水戸啓明戦。「予想はしていたのですが、それ以上に勢いがあった」と萬場努監督が振り返ったように、相手のロングボール攻勢に手を焼く展開となった。
 
 しかし、ここで立ちはだかったのが高嶋だ。180センチの体躯を生かしたエアバトルの強さで相手をことごとく迎撃した。「空中戦には自信がある」という守りでほとんど競り負けず、ゴール前で安定感のあるプレーを披露。これで守備陣も落ち着きを取り戻し、チームがペースを取り戻す要因となった。
 
 すると、前半のアディショナルタイム。高嶋が今度は攻撃で魅せた。明秀日立はペナルティエリア手前でFKを獲得すると、二瓶優太(2年)が直接ゴールを狙う。これは惜しくもGKに阻まれたが、こぼれ球をつなぐと背番号19が得意のヘッドを叩き込んだ。ネットを揺らして勢いに乗った高嶋は、後半開始早々の5分にもFKからチャンスメイク。ゴール前の密集地帯で良い状態を保てなかったが、身を捩りながら頭で味方につなぐ。最後は荒井彗伊大(3年)が押し込み、チームの勝利を引き寄せる2点目をもたらした。
 
 その後も躍動した高嶋は空中戦と対人プレーの強さを守備面で披露。攻撃では2点のリードもあってセットプレーに加わることがなかったが、正確なフィードで速攻の起点となった。このまま逃げ切って完封勝利を収めた明秀日立において、高嶋の貢献度が攻守で群を抜いていたのは確かだ。
 
「決勝が厳しい戦いになることは分かっていて、自分はDFなので今大会をこのまま無失点で終わりたいと思っていた。攻撃でも準決勝に自分が得点して安定した試合ができたことが頭にあったので、守備をしつつ、攻撃も絡んでゴールを決められたら良いと思っていた」

 試合後はほっとしたような表情を見せながら戦いを振り返った守備の要人だが、CBとして存在感を見せ始めたのは今年から。飛躍のきっかけは1年前の選手権予選だった。

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 もともと、CBを本職としていた高嶋。中学時代は鹿島アントラーズJrユースノルテでプレーしており、その才能はクラブからも高く評価されていた。高校入学後も「持っているものは良い。高さとキックがある」と萬場監督が大きな期待を掛けており、昨年は1年生ながら選手権予選に出場。ただ、与えられたポジションは最前線。対空能力を買われての起用で昨年の決勝もピッチに立ったが、あと一歩のところで全国行きを逃した。

 しかし、この経験がのちに大きく生きたと高嶋は言う。

「FWの嫌がることも分かるようになり、攻撃でもセットプレーで相手のDFが嫌だなと思うところも分かるようになった。いろんなポジションをやってきたので、相手の気持ちとかも読めるようになった。そこは本当に良かった」
 
 そして、迎えた今季は本職のCBに再コンバート。持ち前の身体の強さを活かした守りにクレバーさが加わり、一気にチームの主軸へと成長を遂げた。1年前の体験がなければ、大一番で千両役者と呼ぶに相応しい働きを見せることもなかっただろう。

 ただ、これで終わりではない。選手権が待っている。目標とするプロ入りを果たし、憧れのセルヒオ・ラモス(レアル・マドリ―)に近づくためにも、最高の舞台で高嶋は県決勝のような輝きを放つことを誓う。
 
取材・文 松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)