焼死した息子に母親は悲しみのあまり…(画像は『Metro 2017年11月16日付「Mother took own life because she couldn’t forgive herself for son’s death in house fire」(Picture: Cavendish Press)』のスクリーンショット)

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たった一人の愛する息子を火事で失い、悲嘆に暮れた母親が自ら命を絶った。イギリスで昨年、あまりにも悲しすぎる出来事が起こっていたことを『Mirror』『The Sun』などが伝えている。

英チェシャー州サンドバックで2016年10月30日(報道によっては29日とも)の午後7時頃、火災が発生した。現場に駆けつけた消防隊員が目撃したのは、自宅の外で重度の火傷を負いながらも家の中に向かって叫んでいる女性の姿だった。

火災が起こった時、ケリー=アン・カーターさん(35歳)は一人息子のルーカス君が子供部屋にいたため救出しようとしたが、激しく立ち上る炎には勝てなかった。消防署員らがルーカス君を救出し2人をすぐに病院へ搬送したが、ルーカス君は翌日の午前5時頃に息を引き取った。

自身も激しい火傷を負っていたケリーさんは一命を取り留めたものの、愛する息子を救うことができなかったことに深く悩み、退院して数日後に自らの命を絶った。この悲劇の死因審問がこのほど行われ、内容が明らかになった。

ケリーさんは同州にあるウィゼンショウウ病院に入院し治療を受けていたが、火事のショックと息子の死に苦しみ、院内スタッフに「退院しても薬物を過剰摂取するか首を吊って死ぬ」などと自殺をほのめかす発言をしていたようだ。

11月7日、ケリーさんはマックスフィールド病院に転院となり、Mental Health Act(精神保健法)の保護下に置かれることとなった。しかしケリーさんの自殺願望による発言の記録は、ITシステムの変更により医療スタッフらには伝えられていなかったのだ。8日に精神科医が面会した時には自殺をほのめかすような発言はなく、ケリーさんは医師に「キャンドルに火をつけて消さなかった自分のせいで息子が死んだ。息子の死に責任を感じる」と話していたものの「前向きに生きる」とも口にしていたようで、医師は「家族と一緒に過ごさせるのが適切」と判断し、9日にケリーさんを退院させた。

その3日後の12日、ケリーさんは同州クルーにあるパートナーのアンドリュー・ヒューさんの自宅で首を吊った。アンドリューさんが警察に話した内容によると午前5時頃、2階で寝ていたアンドリューさんは階下のソファで寝てしまっていたケリーさんを起こした。しかしその4時間後の午前9時40分頃、アンドリューさんは変わり果てた姿になったケリーさんを発見したという。

ケリーさんの親友だったサラ・ブレイキーさんはこのように話している。

「ケリーは息子を救うことができなかった自分を許すことができなかったようです。彼女にとってルーカス君は全てでした。息子のことを何よりも大切にし、ルーカス君はケリーさんにとってかけがえのない存在でした。ルーカス君がいない生活には耐えられなかったのでしょう。」

サラさんが、ケリーさんに会いに行ったのは11月9日だった。サラさんによるとケリーさんはブランデーを飲んでおり、痛みがひどいようで鎮痛薬を欲しがっていた。しかし自殺の兆候は全く感じられなかったという。ただ、退院後もルーカス君を失ったショックと深い悲しみで、気持ちが相当不安定だったようだ。

審問でクレア・ウェルチ検死官は「ケリーさんにとって一人息子の死は耐え難いものであったことは明らかで、火災後の彼女のトラウマや苦痛は想像を絶するものである」と述べた。

火災の原因については、いまだ判明しておらず現在も調査が行われている。ケリーさんのいとこのピーター・ケントさんは「ケリーは模範的な母親で、ルーカスを思いやりある子供に育てたとても素晴らしい人でした。ケリーは社交的で友人もたくさんいましたから、今回の悲劇は多くの人にショックを与えました。特にケリーは姉のジェマとも仲が良く、パートナーのアンドリューやジェマの深い悲しみを思うといたたまれません」と話している。

またルーカス君の通っていたオフリー小学校でも、二重の悲劇にショックを隠せない。「不幸な事故でルーカス君が命を落としただけでなく、母親も帰らぬ人となってしまったことに非常に心を痛めている」と追悼の意を寄せた。

ルーカス君の葬儀は11月18日に執り行われたが、自ら命を絶ち愛する息子のもとへと旅立ってしまったケリーさんの葬儀もほどなくして行われたという。

このニュースを知った人からは「悲しすぎる。でも子供を思う母の想いは理解できる。私も我が子が同じ目に遭ったら耐えられない」「乗り越えることが辛すぎたんだろうね。本当にお気の毒」「読んで涙が出た。どうか天国で2人で幸せになってほしい」といった声があがっている。

画像は『Metro 2017年11月16日付「Mother took own life because she couldn’t forgive herself for son’s death in house fire」(Picture: Cavendish Press)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)