インターネットドキュメンタリー「僕がここに住む理由」で監督を務め、南京に暮らして5年になるディレクターの竹内亮さんをインタビューした。

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「今は交通機関が発達し、人の流れも激しい時代。一人の人間が一つの場所に暮らしていることには、必ず深い理由があるもの」。これは、インターネットドキュメンタリー「僕がここに住む理由」の冒頭の言葉。その理由を知りたいと思い、同ドキュメンタリーで監督を務め、南京に暮らして5年になるディレクターの竹内亮さんをインタビューした。

▽竹内さんが「南京に住む理由」

「僕がここに住む理由」は現在までにすでに90話近く配信されており、その主人公として北京で日本の漫才に相当する「相声」を学ぶ日本人男性、2人の子持ちながら東京でロリータファッションのデザインをしている中国人女性、湖北省武漢市でカレーを売っている日本人高齢男性、忍者になりたくて真剣に修行を積む山東省の男性などが登場してきた。同作品は視聴者の視点からごく普通の人が異国の地で暮らすさまざまな様子を記録し、彼らが「そこに住む理由」に迫っている。

「南京に住む理由」を竹内さんに質問してみたところ、すぐに「妻」という答えが返ってきた。

インタビューでは一貫して、中国語だけを使って答えてくれた竹内さん。やや日本人らしいなまりのある、ゆっくりとした話し方だったが、コミュニケーションに支障はない。竹内さんは、「中国語の勉強を始めたのは南京出身の女性にアプローチするため。その女性は今や僕の妻」と明かしてくれた。5年前、「僕がここに住む理由」を製作するため、妻と子供と共に南京に「戻って」きたのだという。「これは中国人に見てもらうためのドキュメンタリー。中国に来ないと、彼らが一体何が好きなのかわからないから」と語る。

キンモクセイの香りが漂う9月の南京。竹内さんは自転車に乗って、わざと城壁遺跡公園の中を通って通勤し、昼には会社近くの食堂で南京名物の鴨血粉絲湯(鴨の血を固めた「鴨血」と春雨入りのスープ)を食べるのが好きなのだという。竹内さんは、「南京で暮らしているのは、妻が南京出身であるのと、僕自身がこの街が好きだから。北京・上海・広州のような大都市はあまり好きでない。生活リズムがゆっくりとしていて、自然にあふれた場所が好き。もちろん、あまりに辺鄙で、自然しかない場所では仕事ができない。その点、南京はちょうどいい場所」と語ってくれた。

同作品では監督を務める竹内さんだが、しばしば出演しており、最近はゲスト司会者としても出演している。作品の中での竹内さんは、見知らぬ人に話しかけ、若い女性に声をかけるのが大好きなように見えるが、普段の生活では、仕事人間で子煩悩なのだという。出張でない場合は、朝はまず息子を学校へ送り、夜も息子の宿題を見て一日を終える。そして、それ以外の時間は全て仕事で、年中無休。インタビューの合間にも、娘が何度も駆け寄ってきては「パパ抱っこ」とせがみ、そんな娘に対する竹内さんの言葉や表情には愛情が満ちあふれていた。

▽「無心」で製作することで、コアなファンをゲット

「僕がここに住む理由」の製作のきっかけは2010年にまで遡ることができる。当時、竹内さんはNHKのドキュメンタリー「長江・天と地の大紀行」の監督を務め、旅人役の阿部力さんと共に、1年かけて長江の源流から上海まで6300キロを旅し、長江に沿って人々の生活をカメラに収めた。竹内さんはその当時、「高倉健や山口百恵はまだ元気なのか」とよく聞かれたのだという。

そして、「2010年なのに、中国の人々がいまだ高倉健と山口百恵しか知らないことに本当にびっくりした。その時、中国人に今の日本を紹介しなければと思い立った」のだという。

しかし実際に「僕がここに住む理由」の製作を始めてみると、実はこうした中国に対する理解は、中国の地域差にもよる誤解だったということを竹内さんは発見することになる。しかしこの「美しい誤解」ゆえ、同作品は中国のモバイルネットワーク技術がもたらしたネット動画配信ブームと日本旅行人気の高まりと共に勢いづいた旅行関連番組ブームの波に乗り、真実を記録するドキュメンタリー番組という形でコアなファンの心を掴んでいくことになった。