Q:マラソンが趣味です。休日には2キロぐらいは走るし、時々、大会にも出ます。自己記録の更新が励みになります。しかし、友達から「そんなに走っていると腎臓によくない」と言われました。本当でしょうか。また、腎臓を傷めない方法はありませんか。アドバイスをお願いします。
(38歳・福祉団体勤務)

 A:マラソン大会は各地でたくさん開かれ、市民ランナーが多数参加します。人気がありますが、医学的にはいくつものリスクがあります。
 心臓に負担がかかり、急性心筋梗塞などの心疾患で突然死することがあるのは、ご存じでしょう。しかし、問題は心臓だけではありません。腎臓にも問題が生じます。

●腎機能が25%も低下
 ドイツのベルリン大学病院が、ベルリンマラソンの参加者167人を対象に、走る前と走った後の腎機能検査を行ったところ、走行後には腎機能が25%も低下していたと報告されています。これは、急性腎不全の軽度から中度に判定される数値ですから、マラソンが腎臓に与えるダメージはかなり大きいといえます。
 マラソンによって腎機能が低下するのは、激しい運動で筋肉から尿素などの老廃物が大量に出るため、腎臓の濾過能力が追いつかなくなるからです。さらに、運動で汗をかいて血中の水分が失われ、腎臓への血流量が減ってしまうために、腎臓の細胞が破壊されて腎機能が低下します。
 頻繁に長距離を走る生活を長年続けると、慢性的に腎機能が低下する恐れもあるでしょう。マラソンを続けながら腎機能を正常に保つという、虫のいい方法はありません。
 心臓との関係では、米国の心臓専門医が30年にわたり、5万2600人を対象に調査を行った結果、週に32〜40キロのランニングをしている人は、それ以下の人と比べて死亡率が高かったと報告されています。
 特に、自転車と同じ時速13キロのスピードでランニングをする人は死亡率が高かったとのことでした。
 健康であるから走ることができます。以上のようなリスクをわきまえ、ジョギング程度のように、少し控えめにしたほうがいいといえます。

中原英臣氏(山野医療専門学校副校長)
東京慈恵会医科大学卒業。山梨医科大学助教授、新渡戸文化短期大学学長等を歴任。専門はウイルス学、衛生学。テレビ出演も多く、幅広い知識、深い見解を駆使した分かりやすい解説が好評。