日本代表の控え選手・槙野智章さんの「バース・デイ」は、もうイイやと途中で密着を打ちきった中途半端放送だった件。
年末のVTR在庫処分のコーナー!
僕の大好きなスポーツドキュメンタリーの二大巨頭、「情熱大陸」と「バース・デイ」。基本的に同じ番組である両者には明確な違いがあります。情熱は「成功している人」を採り上げる番組であり、バース・デイは「失敗している人」を採り上げる番組であるということ。
情熱はスゴい人のスゴい日常(※「朝が早い」など)を見て、スゴいなーと思う視聴者向け。だから、日曜の深夜にやり「明日、俺もやってやる」と奮い立つような連中の共感を得ています。一方、バース・デイは土曜の夕方という「キミ、週末何の予定もないん?」というダラダラしている人の見やすい時間に設定。「人生上手くいかないよなー」という共感を得て、寂しい夕飯に突っ込むという立ち位置です。
そんなバース・デイが18日の放送で採り上げてきたのは、サッカー日本代表・槙野智章さん。しかし、その内容は「VTRの在庫処分」とも言うべき、スッカスカのものでした。今年の1月から密着を開始したと胸を張るなかで、肝心のところには一切カメラが密着していない構成。ワールドカップまで待つ気はサラサラない、中途半端な時期での放送。
「うわ、大したこと起きないから密着やめた…」
「今までの取材費の精算のため無理やり放送した…」
「山口蛍の情熱大陸以下のインチキ…」
確かに、槙野さんはバリューとしてはパッとしないかもしれない。しかし、一度密着を始めたなら、決着がつくまで密着をするのが筋というものなのではないか。ダイオウイカを撮ると決めたら、撮れるまで諦めないのがプロでしょう。「槙野でイケるかと思ったが」「ダメだったな…」という諦めの早さ。いくら槙野さん案件だとしても、これではあんまりです。僕は高梨臨さんにかわって、断固抗議するものであります!
ということで、14日放送のTBS「バース・デイ」をじっくりと見て、密着してない感を堪能していきましょう。
◆大体この手の密着って「4日間」くらいで終わりです!
番組は欧州遠征に臨むハリルホジッチ監督の会見からスタートします。本田・香川・岡崎という日本のスターが落選する厳しい競争にあって、番組は「ひとりの控え選手に密着していた」とのっそりと切り出してきました。「いきなり控え選手呼ばわりってナチュラルに失礼…」と視聴者がドキッとするなか告げられた密着対象の名前、それは槙野智章さんでした。
↓ナレーションも「ロシアワールドカップ最終予選ですべての試合に呼ばれながら一度も出場していない男」と煽り気味に紹介!
「日本代表の控え選手」って、その通りなんだけどハマるなぁwwwww
「永遠の控え選手」って感じがクルwwww
自分が代表選手として崖っぷちにあるのは意識していると語る槙野さん。基本的に「そもそも崖下かも?」という発想はまったくないポジティブマインドの持ち主です。だからこそ番組も、いつか花咲く日がくるかもしれないと思ったのでしょう。面白い場面も撮れそうですし。
ところが、肝心のワールドカップ予選では出場ゼロ。情熱大陸が山口蛍さんでやってしまったときは、撮れ高の低い取材対象に苦しみながらも、ワールドカップ予選で貴重なゴールをあげた瞬間に「放送決定!」と慌てて番組に仕立てあげたもの。しかし、出場ゼロではそんな間に合わせすらできません。おまけに所属チームも今季はリーグ戦で低迷中。
やがて、番組は放送時期を見失ったのでしょう。「もう密着はしたくないが、取材費も使っちゃったし放送しないわけにはいかない」「でも、ここぞという場面がない」という葛藤。そんな彼らに訪れた小さな好機、それが「浦和がACL決勝に進出」と「欧州遠征のメンバー入りが決定」というこのタイミングでした。
欧州遠征で最悪出番がなくても、ACL準決勝でフッキをおさえた映像を出せばイケる。そんな好判断が、結果的に「ブラジル戦、ベルギー戦でフル出場し、ライバルのヨシダがやらかすなかブラジルからゴール奪取」というラッキーを呼び込んだ。きっと番組サイドもガッツポーズしたに違いありません。「よっしゃ、恰好がついたで!」と…。
密着がスタートしたのは今年1月のことだったと言います。国際武道大学での自主トレで身体を鍛える槙野さんの姿をおさえ、「上手くなりたい」という槙野さんの意欲的なコメントをもらいます。密着スタートとしてはこんなものでしょう。
すると、時間は一気にとんで今年の4月に。代理人とサッカーに関する愚痴を言いあう場面に変わります。槙野さんは焼肉をつまみながら「去年吉田はチームで出ていなくて、森重もパフォーマンスを落としていた」けれども、「吉田・森重で固まってしまった」から、「マキは今の立ち位置(控え)というのをわかってほしい」と代表スタッフに説明されたことなどを語ります。
↓そして槙野さんは代理人に対して自身の目標を熱く語った!
世間:「目標、低っ!」
世間:「出るのが目標じゃ」
世間:「出たら終わっちゃうじゃん」
世間:「出て、勝つことだろ」
世間:「出て、勝つって意識がないと」
世間:「本番で使えないんだよ」
世間:「それを世間では」
世間:「出たがりと言う…」
なるほど、この低い意識が変わって、成長するっていう展開をイメージしていたのか!
まさか、ここからワールドカップ予選に一回も出ないとは夢にも思わずに!
↓恒例のクルマに乗りながらインタビューで、落選への恐怖を語る槙野さん!
ほかの選手が発表の前の晩だけ見る夢を、半年前から見る男!
なるほど、呼ばれないワケだ!
槙野さんはこれまで2大会、新聞で名前を挙げられながら最終メンバー入りを逃してきています。新聞でも「落選濃厚」と書いていたとは思いますが、本人的にはそれは紙一重であり、屈辱であった。だからこそ、今度は絶対に出たい。そんな気持ちが行動となって槙野さんを変えていく…という話に番組としては仕立てたい。そういう感じでまとめたい。番組は密着VTRから、それっぽいところをつまんで出していきます。
その第一の場面として紹介されたのが、渋谷区のトレーニングスタジオ「ハイアルチ」でのトレーニング風景でした。こちらのスタジオには高地の環境を再現した特別な部屋があり、そこでランニングマシンなどをやることによって、高地トレーニングの効果が得られるのだとか。槙野さんはこのトレーニングを7月から始めているとのこと。
なお、施設のサイトを見ると「酸素濃度は高地設定」だけれども「気圧は変わっていない」とのこと。ということは、高地トレーニングのメリットである低気圧環境下での酸素分圧の低さに適応することによる「血中の酸素運搬量を高める効果」は得られず、単に「マスクをして運動している」のと同じような施設であるもよう。なるほど、槙野さんらしいカジュアルな追い込みです。
↓槙野さんはカジュアルな追い込みで自信を高めていく!
30分で2時間の運動効果なら、平地を走っている人の4倍の効果があるかもしれんね!
基本的には忙しい人が「時短」で使うスタジオみたいだけど!
↓7月から始めたトレーニングの成果を9月にはガンガン感じている槙野さんと代理人の会話!
7月から9月でそんなに変わるとしたら、今までの追い込みが足りなかったんじゃないですかね!
もしくは変わった気がする「気分」とか!
さらに槙野さんは肉体以外の部分にも手をつけているとのこと。ハリルホジッチ監督から受けた強烈なダメ出しをノートにしたためているといいます。自宅を訪問した取材スタッフに槙野さんが示した一冊のノート。そこにはハリル監督からのダメ出しの一覧が並んでいました。これを修正したことによって、槙野さんは新たなチカラに覚醒した…という感じでまとめたい。番組サイドのそんな意志がビンビンに見えてくる場面です。
↓槙野ノートにはこんな指摘が並んでいた…!
と、特にスゴい指摘もない…!
そして、何回も何回も「熱くなるな」「ファールするな」「手で殴るな」と言われている、が、特段直ってない…!
代表に呼ぶたびに同じことを言うハリルも、結構大変な仕事なんだな…!
番組では「こういう指摘を受けて改善しました!」ということを示すように、過去の荒っぽい場面と、最近の冷静な場面をそれっぽく並べて出してきました。もちろん、後付けの実況で「ここで手が出てしまったぁ!(過去)」「冷静なプレーです!(最近)」という誘導尋問みたいな言葉のマジックを入れることも忘れません。
そこに槙野さんがいかに反省し、自分を変えてきたかを自ら語るコメントをかぶせてくる。なるほど、これだと何だかすごくスポーツドキュメンタリーっぽい感じです。「その指摘はデビューからずっと言われていたことばかりじゃん」「気づくの遅い」などと横槍を入れる人は、視聴者の家にはいないのですから。
そして、満を持して投入されたACL準決勝のVTR。
フッキをおさえ、チームを決勝に導いた活躍は「トレーニングや自己改革で成長してきたから」に俄然見えてきます。「槙野がノーファールでボールを奪いましたぁ!」などの後付け実況マジックがあわさって、槙野さんはこの密着期間で急成長したみたいな感じにしか見えません。
たとえ、このくだりが「借りてきた試合映像のダイジェスト」「公式のインタビュー映像」「新聞に載っていたハリルホジッチのコメント」という番組スタッフが一切密着してない素材で構成されていたとしても、そんなことは視聴者にはわかりませんから大丈夫。
さらに番組では予定外に飛び込んできたブラジル戦・ベルギー戦の活躍のもようも入れ込んできます。もちろんコチラも密着スタッフは現地に行っていませんので、「借りてきた試合映像のダイジェスト」だけで構成されており、本人のコメントなどまるで入っていませんが、番組的にはもういいのです。
「本当はもう密着したくない」という現実を、ACL準決勝の活躍で払拭できそうなチャンスがきたので、そこに合わせるようにVTRを切り貼りしただけなのですから。密着を延長するつもりもサラサラなく、ましてや上海だのフランスだのに行く気も、その予算もない。「1月の自主トレ」「4月の代理人との焼肉」「7月頃のカジュアル高地トレ」「9月の代理人とのメシ」「時期不明の自宅訪問」の5回も密着したら十分なのです。
もしも、ワールドカップのメンバー発表というゴールまで見届ける気持ちがあれば、ACL準決勝後の密着コメントや、ブラジル戦後の密着コメントも含めて、もっといい密着になっていたでしょう。あるいは、「槙野代表入り」という喜びを受けて、この1年の苦悩を密着紹介できたかもしれません。
しかし、もういいのです。
バース・デイ的には「槙野はもうナイ」と判断したのですから。
お蔵入り寸前だったVTRを、一応番組にできただけでヨシとしなくては。
番組の終盤、シメのコメントで登場した槙野さんは、「俺の立ち位置、控え」と愚痴っていた4月の焼肉屋での槙野さんでした。数々の成長を経たあとに撮ったコメントではなく、焼肉屋で愚痴っていた半年前の槙野さんが言ったコメントをシメに使う。もはや密着の意味すらないというか、ダマされたような気分です。成長する前のコメントがシメに使えるのだとしたら、「この人、基本的に何も変わっていない」ってことじゃないですか。まぁ実際、何も変わってないんですけど…。
↓シメの言葉、これは今年の4月に代理人と焼肉したときに槙野さんがしゃべっていた言葉です!
同じ話を放送のタイミングでもう一回してもらうってのが、密着ならではなんじゃないですかね!
これでいいなら別に密着しなくても作れそう!
↓予告にあった「日本代表を巡るサバイバル」って煽り、結局まるで決着ついてないまま放送だけ終わった!
視聴者がこのテーマで本当に見たいのは、「落ちて泣く顔」なんです!
そこまで密着して、家族に電話して謝ってるところとかを放映してこその密着ドキュメンタリー!
撮れ高が低くても、途中で諦めてはいけない!
密着は、決着がつくまでしてこそ意味があります!
本番でも「控え選手」として入る公算は十分にあると思いますし!
僕の大好きなスポーツドキュメンタリーの二大巨頭、「情熱大陸」と「バース・デイ」。基本的に同じ番組である両者には明確な違いがあります。情熱は「成功している人」を採り上げる番組であり、バース・デイは「失敗している人」を採り上げる番組であるということ。
情熱はスゴい人のスゴい日常(※「朝が早い」など)を見て、スゴいなーと思う視聴者向け。だから、日曜の深夜にやり「明日、俺もやってやる」と奮い立つような連中の共感を得ています。一方、バース・デイは土曜の夕方という「キミ、週末何の予定もないん?」というダラダラしている人の見やすい時間に設定。「人生上手くいかないよなー」という共感を得て、寂しい夕飯に突っ込むという立ち位置です。
「うわ、大したこと起きないから密着やめた…」
「今までの取材費の精算のため無理やり放送した…」
「山口蛍の情熱大陸以下のインチキ…」
確かに、槙野さんはバリューとしてはパッとしないかもしれない。しかし、一度密着を始めたなら、決着がつくまで密着をするのが筋というものなのではないか。ダイオウイカを撮ると決めたら、撮れるまで諦めないのがプロでしょう。「槙野でイケるかと思ったが」「ダメだったな…」という諦めの早さ。いくら槙野さん案件だとしても、これではあんまりです。僕は高梨臨さんにかわって、断固抗議するものであります!
ということで、14日放送のTBS「バース・デイ」をじっくりと見て、密着してない感を堪能していきましょう。
◆大体この手の密着って「4日間」くらいで終わりです!
番組は欧州遠征に臨むハリルホジッチ監督の会見からスタートします。本田・香川・岡崎という日本のスターが落選する厳しい競争にあって、番組は「ひとりの控え選手に密着していた」とのっそりと切り出してきました。「いきなり控え選手呼ばわりってナチュラルに失礼…」と視聴者がドキッとするなか告げられた密着対象の名前、それは槙野智章さんでした。
↓ナレーションも「ロシアワールドカップ最終予選ですべての試合に呼ばれながら一度も出場していない男」と煽り気味に紹介!
おそらく日本代表のCBに固定だから槙野に密着して良かったね⚽️ #バースデイ pic.twitter.com/mUstV62x37
- dnbdottie (@dnbdottie) 2017年11月18日
「日本代表の控え選手」って、その通りなんだけどハマるなぁwwwww
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自分が代表選手として崖っぷちにあるのは意識していると語る槙野さん。基本的に「そもそも崖下かも?」という発想はまったくないポジティブマインドの持ち主です。だからこそ番組も、いつか花咲く日がくるかもしれないと思ったのでしょう。面白い場面も撮れそうですし。
ところが、肝心のワールドカップ予選では出場ゼロ。情熱大陸が山口蛍さんでやってしまったときは、撮れ高の低い取材対象に苦しみながらも、ワールドカップ予選で貴重なゴールをあげた瞬間に「放送決定!」と慌てて番組に仕立てあげたもの。しかし、出場ゼロではそんな間に合わせすらできません。おまけに所属チームも今季はリーグ戦で低迷中。
やがて、番組は放送時期を見失ったのでしょう。「もう密着はしたくないが、取材費も使っちゃったし放送しないわけにはいかない」「でも、ここぞという場面がない」という葛藤。そんな彼らに訪れた小さな好機、それが「浦和がACL決勝に進出」と「欧州遠征のメンバー入りが決定」というこのタイミングでした。
欧州遠征で最悪出番がなくても、ACL準決勝でフッキをおさえた映像を出せばイケる。そんな好判断が、結果的に「ブラジル戦、ベルギー戦でフル出場し、ライバルのヨシダがやらかすなかブラジルからゴール奪取」というラッキーを呼び込んだ。きっと番組サイドもガッツポーズしたに違いありません。「よっしゃ、恰好がついたで!」と…。
密着がスタートしたのは今年1月のことだったと言います。国際武道大学での自主トレで身体を鍛える槙野さんの姿をおさえ、「上手くなりたい」という槙野さんの意欲的なコメントをもらいます。密着スタートとしてはこんなものでしょう。
すると、時間は一気にとんで今年の4月に。代理人とサッカーに関する愚痴を言いあう場面に変わります。槙野さんは焼肉をつまみながら「去年吉田はチームで出ていなくて、森重もパフォーマンスを落としていた」けれども、「吉田・森重で固まってしまった」から、「マキは今の立ち位置(控え)というのをわかってほしい」と代表スタッフに説明されたことなどを語ります。
↓そして槙野さんは代理人に対して自身の目標を熱く語った!
代理人:「目標はどうなの?」
槙野:「俺の目標?ワールドカップ出ることです」
代理人:「出ることだよね」
代理人:「レギュラーとして出場」
代理人:「そこを達成するのは絶対したい」
世間:「目標、低っ!」
世間:「出るのが目標じゃ」
世間:「出たら終わっちゃうじゃん」
世間:「出て、勝つことだろ」
世間:「出て、勝つって意識がないと」
世間:「本番で使えないんだよ」
世間:「それを世間では」
世間:「出たがりと言う…」
なるほど、この低い意識が変わって、成長するっていう展開をイメージしていたのか!
まさか、ここからワールドカップ予選に一回も出ないとは夢にも思わずに!
↓恒例のクルマに乗りながらインタビューで、落選への恐怖を語る槙野さん!
槙野:「昨日寝てるときに」
槙野:「(代表に)入ってない夢を見たんですよ」
槙野:「入ってないって告げられたのが」
槙野:「2、3回あって」
槙野:「ちょっとホント」
槙野:「汗かいて起きましたもん」
槙野:「僕みたいな立場っていうのは」
槙野:「試合に出てないぶん」
槙野:「毎回毎回呼ばれたときの」
槙野:「トレーニングでの姿勢だったり」
槙野:「代表終わったあとの」
槙野:「クラブでのパフォーマンスの結果が」
槙野:「代表にも左右されるんで」
槙野:「どれをとっても気の抜けない時間ですよね」
ほかの選手が発表の前の晩だけ見る夢を、半年前から見る男!
なるほど、呼ばれないワケだ!
槙野さんはこれまで2大会、新聞で名前を挙げられながら最終メンバー入りを逃してきています。新聞でも「落選濃厚」と書いていたとは思いますが、本人的にはそれは紙一重であり、屈辱であった。だからこそ、今度は絶対に出たい。そんな気持ちが行動となって槙野さんを変えていく…という話に番組としては仕立てたい。そういう感じでまとめたい。番組は密着VTRから、それっぽいところをつまんで出していきます。
その第一の場面として紹介されたのが、渋谷区のトレーニングスタジオ「ハイアルチ」でのトレーニング風景でした。こちらのスタジオには高地の環境を再現した特別な部屋があり、そこでランニングマシンなどをやることによって、高地トレーニングの効果が得られるのだとか。槙野さんはこのトレーニングを7月から始めているとのこと。
なお、施設のサイトを見ると「酸素濃度は高地設定」だけれども「気圧は変わっていない」とのこと。ということは、高地トレーニングのメリットである低気圧環境下での酸素分圧の低さに適応することによる「血中の酸素運搬量を高める効果」は得られず、単に「マスクをして運動している」のと同じような施設であるもよう。なるほど、槙野さんらしいカジュアルな追い込みです。
↓槙野さんはカジュアルな追い込みで自信を高めていく!
槙野:「自分の置かれている現状、環境のなかで」
槙野:「もっとパフォーマンスを上げていくためには」
槙野:「普段の練習以外のところでの」
槙野:「プラスアルファという部分で」
槙野:「ここが一番適している」
槙野:「同じようなトレーニングを周りの人たちとしているようだったら置いていかれてしまう」
槙野:「人よりも2倍・3倍とやらないといけない」
<ちなみに、施設の触れ込みでは「30分で2時間の運動効果」「お手頃価格」などのキーワードが並ぶ>【やってみた】室内でお手ごろ高地トレーニング?専用スタジオ「ハイアルチ」で体験! https://t.co/yzwCWELEIe
- 寺田的陸上競技WEB (@rikujouterada) 2016年12月8日
30分で2時間の運動効果なら、平地を走っている人の4倍の効果があるかもしれんね!
基本的には忙しい人が「時短」で使うスタジオみたいだけど!
↓7月から始めたトレーニングの成果を9月にはガンガン感じている槙野さんと代理人の会話!
槙野:「走行距離がかなり上がってる」
代理人:「今何キロくらい?」
槙野:「こないだで10キロ後半」
代理人:「その面でも幅が広がってるよね」
7月から9月でそんなに変わるとしたら、今までの追い込みが足りなかったんじゃないですかね!
もしくは変わった気がする「気分」とか!
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さらに槙野さんは肉体以外の部分にも手をつけているとのこと。ハリルホジッチ監督から受けた強烈なダメ出しをノートにしたためているといいます。自宅を訪問した取材スタッフに槙野さんが示した一冊のノート。そこにはハリル監督からのダメ出しの一覧が並んでいました。これを修正したことによって、槙野さんは新たなチカラに覚醒した…という感じでまとめたい。番組サイドのそんな意志がビンビンに見えてくる場面です。
↓槙野ノートにはこんな指摘が並んでいた…!
【守備】
・ファールをしない守備
・ラインをスプリントで上げる
・キーパーが持てばスプリントでラインを押し上げる
・前に出る守備
・ボールを早く動かし前に当てる
・コミュニケーション、声を出し周りも動かす
・相手の裏へのボールの供給
・ヘディングの競り合い時の手の使い方
・自分のポジションから出て行った際にファールを犯さない
【新しく指摘された点】
・感情を出しすぎている。相手FWやレフリーに対してもう少し落ちついてプレイする事
・無駄なファールやカードはもらわない
・真面目に規律を守りプレイする事
・攻めている時に残っているFWの選手のマークの仕方
・ヘディング時の競り方、ヒジや手の使い方
と、特にスゴい指摘もない…!
そして、何回も何回も「熱くなるな」「ファールするな」「手で殴るな」と言われている、が、特段直ってない…!
代表に呼ぶたびに同じことを言うハリルも、結構大変な仕事なんだな…!
番組では「こういう指摘を受けて改善しました!」ということを示すように、過去の荒っぽい場面と、最近の冷静な場面をそれっぽく並べて出してきました。もちろん、後付けの実況で「ここで手が出てしまったぁ!(過去)」「冷静なプレーです!(最近)」という誘導尋問みたいな言葉のマジックを入れることも忘れません。
そこに槙野さんがいかに反省し、自分を変えてきたかを自ら語るコメントをかぶせてくる。なるほど、これだと何だかすごくスポーツドキュメンタリーっぽい感じです。「その指摘はデビューからずっと言われていたことばかりじゃん」「気づくの遅い」などと横槍を入れる人は、視聴者の家にはいないのですから。
そして、満を持して投入されたACL準決勝のVTR。
フッキをおさえ、チームを決勝に導いた活躍は「トレーニングや自己改革で成長してきたから」に俄然見えてきます。「槙野がノーファールでボールを奪いましたぁ!」などの後付け実況マジックがあわさって、槙野さんはこの密着期間で急成長したみたいな感じにしか見えません。
たとえ、このくだりが「借りてきた試合映像のダイジェスト」「公式のインタビュー映像」「新聞に載っていたハリルホジッチのコメント」という番組スタッフが一切密着してない素材で構成されていたとしても、そんなことは視聴者にはわかりませんから大丈夫。
さらに番組では予定外に飛び込んできたブラジル戦・ベルギー戦の活躍のもようも入れ込んできます。もちろんコチラも密着スタッフは現地に行っていませんので、「借りてきた試合映像のダイジェスト」だけで構成されており、本人のコメントなどまるで入っていませんが、番組的にはもういいのです。
「本当はもう密着したくない」という現実を、ACL準決勝の活躍で払拭できそうなチャンスがきたので、そこに合わせるようにVTRを切り貼りしただけなのですから。密着を延長するつもりもサラサラなく、ましてや上海だのフランスだのに行く気も、その予算もない。「1月の自主トレ」「4月の代理人との焼肉」「7月頃のカジュアル高地トレ」「9月の代理人とのメシ」「時期不明の自宅訪問」の5回も密着したら十分なのです。
もしも、ワールドカップのメンバー発表というゴールまで見届ける気持ちがあれば、ACL準決勝後の密着コメントや、ブラジル戦後の密着コメントも含めて、もっといい密着になっていたでしょう。あるいは、「槙野代表入り」という喜びを受けて、この1年の苦悩を密着紹介できたかもしれません。
しかし、もういいのです。
バース・デイ的には「槙野はもうナイ」と判断したのですから。
お蔵入り寸前だったVTRを、一応番組にできただけでヨシとしなくては。
番組の終盤、シメのコメントで登場した槙野さんは、「俺の立ち位置、控え」と愚痴っていた4月の焼肉屋での槙野さんでした。数々の成長を経たあとに撮ったコメントではなく、焼肉屋で愚痴っていた半年前の槙野さんが言ったコメントをシメに使う。もはや密着の意味すらないというか、ダマされたような気分です。成長する前のコメントがシメに使えるのだとしたら、「この人、基本的に何も変わっていない」ってことじゃないですか。まぁ実際、何も変わってないんですけど…。
↓シメの言葉、これは今年の4月に代理人と焼肉したときに槙野さんがしゃべっていた言葉です!
槙野:「試合に出ないときの悔しさとか」
槙野:「試合に出たいときの気持ちは」
槙野:「絶対に忘れちゃいけないし」
槙野:「日の丸背負ってワールドカップに出たい」
槙野:「活躍したい」
槙野:「選ばれたい」
槙野:「っていうのはありますけどね」
槙野:「小さいときからの夢ですからね」
同じ話を放送のタイミングでもう一回してもらうってのが、密着ならではなんじゃないですかね!
これでいいなら別に密着しなくても作れそう!
↓予告にあった「日本代表を巡るサバイバル」って煽り、結局まるで決着ついてないまま放送だけ終わった!
視聴者がこのテーマで本当に見たいのは、「落ちて泣く顔」なんです!
そこまで密着して、家族に電話して謝ってるところとかを放映してこその密着ドキュメンタリー!
撮れ高が低くても、途中で諦めてはいけない!
密着は、決着がつくまでしてこそ意味があります!
価格:2,700円 |
本番でも「控え選手」として入る公算は十分にあると思いますし!
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