日本と中国の間で関係改善の兆しが見えてきた。しかし、尖閣諸島問題などで対立する日中両国の溝は深く、中国メディアも「中日関係は近い将来、1970〜80年代の友好水準に戻ることはない」と冷徹にみている。資料写真。

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2017年11月18日、日本と中国の間で関係改善の兆しが見えてきた。しかし、尖閣諸島問題や歴史認識などで対立する日中両国の溝は深く、雲間から薄日が差してきただけ。中国メディアも「中日関係は近い将来、1970〜80年代の友好水準に戻ることはない。双方はこれを認識する必要がある」と冷徹にみている。

安倍晋三首相と中国の習近平国家主席は11日にベトナム・ダナンで会談。安倍首相は「新たな時代の日中関係の基礎をつくりたい」と提案し、習主席も「中日関係の新たなスタートとなる会談だった」と語り、関係改善に意欲を示した。安倍首相は首脳往来の復活なども働き掛け、習氏から「首脳往来を重視する」との発言を引き出した。

その後、安倍首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が開かれたフィリピン・マニラで李克強首相とも会談。今年が日中国交正常化45周年で、来年が日中平和友好条約締結40周年に当たることを踏まえ、関係改善の動きを加速させる考えで一致した。

日中両国首脳が関係改善に舵(かじ)を切ったのは、それぞれの事情がある。日本にとっては北朝鮮の核・ミサイル開発を止めるためには中国の協力が欠かせない。中国も環境、高齢化、福祉医療などの課題が山積する中、投資や技術開発などで協力を求めている。

こうした環境の変化について、中国網は中国共産党中央委員会機関紙・人民日報系の環球時報の記事を引用。「安倍首相は現在、中日関係というと前向きな発言ばかりをする。この変化は日本側の対中関係の新たな雰囲気を醸成している」と報じた。

記事は「日本側の動きを見ると、中日関係改善を急ぐ一方で、明らかに中国を念頭に置く米日豪印対話枠組みを構築しようとしている」と指摘。「日本政府はこの矛盾をうまく調整し、中国への態度の二面性の問題を解消しなければならない。中国側は日本のこの外交面の矛盾した認識を見据え、複雑な状況に置かれている中日関係に改善の余地を与えるべきだ」と提言している。

さらに「両国民間の相手国への悪感情は根深く、一時的には両国関係に政治的な動力を提供しがたい。極端なナショナリズムは両国関係の改善を妨げる」と説明。「両国政府は一定期間にわたりエンジンとしての力を発揮し、両国民間の感情改善にさまざまなチャンスと理由を与えなければならない」としている。

その上で「世界に新たな構造的変化が生じない限り、中日関係は近い将来、1970〜80年代の友好水準に戻ることはない。双方はこれを認識する必要がある」とも強調。「両国は複雑なアジア太平洋の現実において新しい友好関係を構築するべきだ。この関係は両国の交流における相互消耗を最大限に減らし、これをウィンウィンに変えなければならない。これはさまざまな食い違いともつれを残す友好関係であるが、過去数年間の中日関係よりはましと言えよう」と論評している。(編集/日向)