負ければ鹿島の優勝が決まるなか、G大阪に勝利。逆転Vへ可能性を残した。(C)SOCCER DIGEST

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[J1リーグ32節]川崎 1-0 G大阪/11月18日/等々力
 
 今度こそ――その想いで臨んだ2週間前のルヴァンカップ決勝はC大阪に0-2で敗れ、念願のタイトル獲得はならなかった。

 
「自分自身、凄く悔しかった。キャプテンだけど人に気を配るほどの余裕はなかった」
 
 小林悠はあの運命の一戦から立ち直るのは容易でなかったと話す。しかし、川崎の選手たちを奮い立たせたのはリーグ優勝への強い思いだった。
 
「次に試合がくるということが大きかった。まして自分たちが負けたら終わりという痺れるゲームができる。そこに向かって頭を切り替えられたのが良かった。あのままシーズンが終わったら失意のオフになっていた」
 
 中村憲剛はしみじみとこの2週間を振り返り、谷口彰悟も「ルヴァンでひとつ区切りっぽい雰囲気が出ちゃいましたが、まだ終わりでないですし、可能性が残っている限り、全力を尽くさないといけないとみんな分かっていた」と答える。
 
 前を向いて自分たちのサッカーを貫く――その想いはチーム全体で共有されており、負ければ鹿島の優勝が決まる32節のG大阪戦でもぶれることはなかった。スコアは1-0と大勝を収められたわけではない。だが、序盤から川崎らしいテンポの良いパス回しで相手を攪乱し、2人、3人と絡む魅惑的な崩しでG大阪の守備を攻略した。
 
 多くのチャンスは相手GK、東口順昭のファインセーブに阻まれたが、「久しぶりに強いフロンターレを見せられた」という小林の言葉には大きく頷ける内容だった。終盤にはセットプレーからエウシーニョが決勝ゴールを奪うしたたかさも見せた。
 
「(プレッシャーよりも)自分たちが等々力のピッチで相手を攻守に圧倒しようという意識のほうが強かったと思う。負けたらどうしようと考えている選手は誰もいなかったはず。練習で良い準備ができていたし、鬼さん(鬼木達監督)も攻守で圧倒しようという話をしていた。焦れずにチーム一体となって戦うことができた」と、中村も胸を張った。
 
 小林も中村と同じ感覚を抱いていたという。
 
「プレッシャーはあまりなかったですね。今日はいろんな攻めができましたし、それは素晴らしい準備ができたからこそ。良いイメージで試合に臨めたのが良かったです」
 
 さらに谷口はルヴァンカップ決勝でともに涙を流したサポーターのためにも戦いたかったと話す。
 
「悔しい想いを晴らすのはサッカーでしかできません。サポーターの方も応援してくれると思いましたし、自分たちが情けないプレーをしていると皆さんに申し訳ない。そこはプロとしてしっかりやらなくちゃいけないとみんな分かっていました。そこを実践できたからこそ勝てたと思います」
 
 残り2戦で鹿島との勝点差は4だ。再び目標に届かない可能性もある。それでも自分たちのスタイルを信じ挑戦し続けることに意味がある――この日の川崎のパフォーマンスからはそんな力強いメッセージが感じられた。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)