日本代表の欧州遠征では出番がなかった車屋。それだけに今後の奮起に期待したい。(C) SOCCER DIGEST

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[J1リーグ32節]川崎 1-0 G大阪/11月18日/等々力
 
 川崎にとって32節のG大阪戦を前にしたシチュエーションは、シビアなものとなっていた。黒星を喫したその瞬間に1試合多く消化している鹿島の優勝が決まる。ただし、残された3試合すべてに勝利すれば、鹿島の結果次第で川崎にもまだ逆転優勝の可能性が残る。
 

 そんな中で迎えたG大阪戦で川崎はひたすら攻め込み、82分のエウシーニョの得点で勝利を手にし、最悪の事態を回避。25本ものシュートを浴びせて得た結果が1-0というのは少々寂しいが、もはや内容を嘆く時期でも状況でもない。
 
“ワンサイドゲーム“という言葉も弱く見えるほど圧倒的に攻め立てた試合だったが、そのなかで先日行なわれた日本代表の欧州遠征に、川崎から唯一選出された車屋紳太郎は、際立って存在感があった訳ではなかった。持ち前のスピードと突破力で左サイドを崩していくシーンはいくつかあれど、得点に絡めず90分を終えた。
 
「何度もクロスのチャンスはありましたけど、得点に繋がらなかった。そこはトレーニングからしっかりとゴール前の選手に合わせていかないといけない」
 
 間違いなく彼の魅力はその攻撃力なのだが、それを出しきれなかったことに本人としても不甲斐なさを強く感じていたようだ。「欧州帰りの疲れもあるのでは?」と聞いてみると、「アップのところで身体がそんなに重い感じではなかったので、全然問題なかった」と言う。出場機会もなかったので、納得できる言い分でもある。
 
 ただし、出場できなかったとはいえ、得られたものがなかった訳ではない。実際、彼にとって欧州遠征は非常に大きな意味があったようだ。
「あれだけ代表の選手が何もできずに負けてしまっているので、(自分は)まず代表の試合に出られるレベルまでの力を見せないといけないなと。欧州遠征には行きましたけど、試合に出ることができなかった。海外チームの凄さというのを自分は身をもって感じてはいないので、(代表で)試合に出るにはJリーグで結果を出すしかない。こういうところでもっともっと頑張らなければいけないと思いました」
 
 日の丸を背負ってチームを離れた2週間で、国内では突出した存在にならなければいけないと強く感じたのである。ただ、その一方で、この日の出来については彼が自身で設けた新たな基準には達しなかったようだ。今シーズンに残された試合はわずか2試合であるが、観る者が“車屋は変わった”と感じさせるプレーを見せてもらいたいものだ。
 
 思い起こせば2015年の3月。プロ入りしてまだ間もない時に、車屋は日本代表のバックアップメンバーとして選出されたのだが、その時に彼は開口一番にこう言っていた。
「まだ嬉しいとはいえない」
 
 その後、正式に代表に選ばれて初キャップも記録した。だが、それでもまだ彼の中で嬉しさや喜びはないだろう。その感情を言葉にする時が来るのを待ちたい。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)