前回『嫦娥奔月(じょうがほんげつ)』のコラムをまとめていたときのこと。ふと「竹取物語と共通点多いな」と思いました。嫦娥とかぐや姫、月と関わりのある二人の美女の物語。この二つには何か繋がりがあるのでしょうか。資料写真。

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前回『嫦娥奔月(じょうがほんげつ)』のコラムをまとめていたときのこと。ふと「竹取物語と共通点多いな」と思いました。嫦娥とかぐや姫、月と関わりのある二人の美女の物語。この二つには何か繋がりがあるのでしょうか。

『嫦娥奔月』の物語は前回のコラムを参照していただくとして、まずは改めて『竹取物語』とはどんなお話か見てみましょう。

野山で竹を取って色々な物を作っていたので「竹取の翁」と呼ばれていた讃岐造麿(さるきのみやつこ※読み方には諸説あります)が、ある日のこと光る竹を見つけます。その竹を見ると、中に3寸(9センチ)ほどの大きさをした綺麗な人がおり、翁は連れて帰って自分の子どもとして育てます。それからというもの、翁は竹林で金の入った竹を見つけるようになり、彼はたちまち裕福になりしました。

翁が連れて帰った小さな人は、わずか3カ月で成人の儀を行えるほど(12、3歳ぐらい?)に大きくなります。その後、さらに大きくなったので「三室戸齋部秋田(みむろどいんべのあきた)」という人に「なよ竹のかぐや姫」という名前を付けてもらい、人を招いて3日にわたってお披露目をします。

その美しさが評判になったかぐや姫には求婚者が相次ぎますが、彼女は全く相手にしません。多くの人があきらめる中で、5人の貴公子が求婚者として残りました。翁はかぐや姫に「自分はもう“70歳”で老い先短いから、早く結婚して安心させてくれ」と頼みますが、かぐや姫は「“こころざし”のない結婚はできない」とためらいます。

そこでかぐや姫は5人の貴公子に「仏の御石(みいし)の鉢」など、それぞれに「ゆかしき物(世にも珍しい宝物)」を手に入れるように命じます。そして彼女は「ゆかしき物」を手に入れた者=“こころざし”を見せた者と結婚すると言いました。

しかし、このチャレンジは全て失敗に終わります。中でも「燕(つばくらめ)のもたる子安貝」を持ってくるように命じられた石上中納言(いそかみのちゅうなごん)は、高いところにあったツバメの巣から子安貝を捕るのに失敗して腰の骨を折り、それが元で亡くなってしまいます。

次に、噂を聞きつけた帝(みかど)がかぐや姫を求めますが、姫は人外のパワーを発揮してこれを拒否します。そして帝とは「文通」という清いお付き合いをする仲に。その文通が3年ほど続いたあと、かぐや姫の様子がおかしくなります。

月を見て悲しむ状態が数カ月続いたあと、8月のある日、かぐや姫は翁に言いました。彼女はもともと月の都の人間で、昔の因縁によりこの地に来たこと、そして今月の15日(満月)の夜に月に帰らなければならないということを。かぐや姫が月へ戻るという話が帝にも伝わると、彼は翁の家に使者を使わします。翁と会った使者は、翁が嘆き悲しむあまりに“50歳”の見た目以上に老け込んでしまったことに驚きました。

そして8月15日の夜、帝が派遣した軍が翁の屋敷を守る中で、月からの迎え―天人(あまびと)たちがやってきます。天人たちは翁の家の守りをやすやすと突破すると、彼らの中にいた“王”が翁を呼びつけます。

王は翁に、かぐや姫は罪を犯してこの地に流されたこと、少しの間翁のもとにいたが期限が来たから帰らねばならないこと、金の入った竹は彼らが下賜したもので、そのおかげで翁は裕福になったことなどを告げます。

翁は20年もの間かぐや姫を養ってきたので「少しの間」なら別人だとか、「我が家のかぐや姫」は体調を崩しているので出てくることはできないなどと訴えましたが、結局、姫は月へ帰ることになりました。

帰り際、かぐや姫は天人から天の羽衣と壺に入った不死の薬を受け取ります。かぐや姫は地上の物を食べていたせいで体に穢れ(けがれ)がたまっており、不死の薬を服用しないと月へ戻れないからです。しかしかぐや姫は薬をちょっとだけ舐めると、残りは形見として帝に渡そうと考えます。さらに羽衣を着て記憶がなくなる前にと、帝への手紙を書きはじめます。