薩摩情緒感じる昭和酒場「薩摩おごじょ」…今宵のアテはきびなごとさつま揚げ

写真拡大 (全14枚)

こんにちは。梯子酒大好き、一日5軒は飲み歩く酒場案内人の塩見なゆです。

ライター紹介

塩見なゆ
酒場案内人/フリーランス。作家で飲兵衛の両親に育てられた生粋のお酒好き。毎日5軒以上はハシゴ酒、年間2,000軒の酒場を飲み歩いています。Web・TV等で酒場情報を発信中。 ブログ Twitter

前回の新宿歌舞伎町「大陸」に続き、新宿の老舗をご紹介します。

あまり新宿で飲みなれていらっしゃらない方には「新宿は怖い街」とか、「良いお店がわからない」というイメージをお持ちではないですか。そんなことはありません。

新宿は元祖・芸能と文化の街で、江戸時代以降〜現在に至るまで、あらゆる場面において、新宿に集う黒帯ノンベエたちが文化を発信してきました。

そこで、ただ飲む場所というよりも、人々の想いがつまった玉手箱のような新宿の老舗を覗いてみてはいかがでしょう。

新宿三丁目を代表する芸能の発信地、「新宿末広亭」の斜向いにある「薩摩おごじょ」が今回ご案内するお店

創業48年目を迎えた老舗。地階へ降りるとまるでタイムスリップ、そこには薩摩情緒と昭和酒場が交じる素敵な飲み空間が広がります。

「薩摩おごじょ」は鹿児島弁で気立てが良い美人という意味。

鹿児島出身の赤羽礼子さんが創業し、現在は息子さんが後を継いでいます。昔からの常連さんの他、評判を聞きつけたお酒好きの若いカップルなど幅広い客層で賑わいます。

お酒はビールが“サッポロ”。

実はサッポロビールの創業者は鹿児島出身。あの星マークは、薩摩藩から英国留学する人々のシンボルからきています。

そして、薩摩おごじょに来たならば、やっぱりメインは薩摩の芋焼酎。
100種類を越える薩摩焼酎が揃うほか、芋焼酎霧島をソーダで割った「鹿児島ハイボール」も人気です。

独特なしゃもじ型のメニューには、東京ではあまり見かけることも少ない本格的な薩摩料理の数々。

鹿児島枕崎港などから直送の魚介類。とくに看板料理である「きびなご」は朝どれ直送で、売り切れ御免の人気料理です。定番のお刺身はもちろん、「なめろう」など少し手を加えたものも、お酒のおつまみに最高です。

もうひとつ、忘れてはいけないおつまみに「つけ揚げ」があります。

全国的にはさつま揚げの名で知られる鹿児島名物。
揚げたてほかほかでふっくらとした仕上がり。豆腐をつかっているので表面はサクっとしているのに中はとろけるよう。

これを九州らしく甘い醤油につけて頬張れば、もう焼酎を飲まずにはいられません。

ここで頼むのが、寒い季節にぴったり。「じょか」で燗にしたお湯割りです。

一般的なお湯割りは、その場で焼酎とお湯をまぜて出来上がるのに対して、鹿児島の前割りは事前に焼酎を水で割って一晩寝かします。

これを「じょか」と呼ばれるお湯割りを温める専用に酒器にいれて燗にしたのが、ここのお湯割り。マイルドな味で焼酎の独特の刺激が苦手な方でも、もちろんお酒が大好きな方にもおすすめの飲み物です。

きびなごやカツオなどの海産物の他、鹿児島は陸の食材も豊富。
新鮮な鶏料理や「とんこつ」という名の豚の角煮など、お肉で飲みたい人も満足させられる顔ぶれが揃います。お肉料理の中でもとくに焼酎を進ませるのが「豚みそ」で、これも鹿児島の定番酒の肴。

味噌と一緒に甘辛く煮込まれた豚は、濃厚なコクと旨味で、濃い目の味もあって焼酎との相性は言うまでもなく抜群。

土地のお酒には土地の料理、同じ風土で育ったものがおいしいのは当たり前ですね。

薩摩おごじょは、もともと鹿児島・知覧町に戦時中からあった食堂が原点。店主の祖母・鳥濱トメさんが営んでいたお店です。特攻隊を見守っていた「知覧の母」としても知られ、お店には様々な物語が残されています。

代々のバトンをつなぐ店主にも、慕って通う常連さんにも想いが詰まった酒場です。

ごちそうさま。

【本日のお会計】

今日のお会計
サッポロ黒ラベル中びん600円
お湯割り(じょか2合)700円
きびなごなめろう600円
つけ揚げ450円
豚みそ450円
合計 2,800円(税別)