北米に投入する大型SUV「アセント」のコンセプトモデル

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 SUBARU(スバル)の米国事業が正念場を迎えている。得意のスポーツ多目的車(SUV)で他社との競争激化を背景に、2017年度の米販売計画を前回計画比2・9%減の66万8000台に下方修正したからだ。スバルは屋台骨の米国でブランド力を維持していけるのか。カギは18年に新規投入する3列シートの大型SUV「ASCENT(アセント)」が握っている。

 「正直、無資格検査問題の影響より米国の事業の先行きのほうが気になる」。スバルとの取引が多いあるサプライヤーは本音を漏らす。米国で売れ筋のSUV「フォレスター」の販売が8月から3カ月連続で2ケタ減になったからだ。同車種は発売から5年を経過したモデル末期でありながら今年に入っても前年超えが続く人気ぶりで在庫が少ない車種の一つだった。

 米国ではガソリン安の影響でセダンからSUVを含む小型トラックに人気がシフトし、完成車各社が販売強化策を打ち出している。

 こうしたあおりを受けスバルはセダン「レガシィ」の落ち込みに加え、主力SUVのフォレスターや「アウトバック」の販売が足元で減少。小型車「インプレッサ」、SUV「クロストレック(日本名XV)」など新型車の販売は好調で通期の販売台数は前年比でプラスを見込むものの、前回予想からは約2万台下げざるを得なくなった。

 「月5000台じゃ全然足りない。この車は売れるんだから、もっと作ってもらわないと困る」。スバルの幹部陣は夏に米国で開いたミーティングで現地のディーラーから注文をつけられた。18年に新規投入するアセントの販売計画のことだ。

 アセントはスバルが北米のみに投入する新規車種で3列シート搭載、7人乗りの大型SUV。今月下旬に量産モデルを米国で世界初公開する。

 販売が伸び悩み14年に生産を終了した大型SUV「トライベッカ」の反省を生かし、より広々とした室内空間を実現。これまで取り込めなかった多人数乗りSUVを求めるユーザーの獲得を狙う。同SUV市場が拡大していることや現地ディーラーからの要望を総合的に判断し、当初想定していた販売目標を引き上げる計画だ。

 「販売台数の規模を追わず1台、1台を大切に届ける」(吉永泰之社長)。スバルは車を安売りせず、車の付加価値向上を追求する戦略で成功してきた。今後もこの方針は変えない。ただSUVを巡る他社との競争が激しくなる中、これまでの好循環を維持するには米国で支持される強い商品の投入が必要な局面にきている。
(文=下氏香菜子)