給湯室でひんしゅくを買うようなことをしていませんか?(写真:Ushico / PIXTA)

「給湯室の流しがカップラーメンの汁でギトギト! 捨てたらちゃんと流して!」「歯磨きのうがいの位置が高すぎ! 周辺に水が飛び散ってるよ!」「個室にこもってゲーム? LINE? なんでもいいけど、長居するのはやめて!」……。

給湯室やお手洗いでの非常識な行為の数々。オフィスの水回りに関する先輩たちの不満は爆発寸前だ。そこで、今回は、オフィスの水回りのマナーについてまとめた。若手社員の中にも無意識に粗相をしている人がいるかもしれない。これから挙げる意見の数々に身に覚えがないか、確認したほうがいいだろう。

給湯室や洗面所を家と同じ感覚で使ってはいけない


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「まず、意識してほしいことは、給湯室や洗面所はみんなで使うパブリックスペースだということ」と話すのは、元ANAの客室乗務員で、現在はパソナ キャリアカレッジ認定講師の大蔵あかね氏。

残飯捨て、歯磨き、食器洗いなど、給湯室や洗面所での行為は自宅でもやっていることなので、油断していると自宅での振る舞いがストレートに出てしまう。人それぞれ生活観は違うので、各自が自分のやり方を持ち込むと、不愉快な思いをする人が出てくる。

「食器洗いで使ったスポンジはちゃんとゆすいでおいてほしい」(アパレル勤務・40歳)

「冷蔵庫の中に飲み残しのPETボトルが、いつまでもあるとイラッとします」(メーカー・29歳)

「流し場にごはん粒がポロポロ落ちていることがよくある。お弁当箱を洗ってもいいけど、汚したらちゃんと片付けてほしい」(サービス・30歳)

また、家とオフィスの設備の差でマナー違反をしてしまうケースもある。

「気をつけたいのが、トイレの流し忘れ。自動洗浄のトイレに慣れて、流し忘れてしまう方がいます」(大蔵氏)

また、ディスポーザー(排水溝のゴミ処理装置)がついている家庭で育った人は、無意識のうちにゴミを流しに捨ててしまうかもしれない。

一つひとつは小さなことでも、毎日となれば、大きな不満に発展する可能性もある。そうしたことから人間関係が悪化し、仕事でも影響が出てくるだろう。それを防ぐために、まずはどうすればいいのだろうか。

水回りのルールは、会社やビルごとに違う

給湯室や洗面所を1社で利用するところもあれば、数社共同で利用するところもある。管理担当者についても、総務だったり、事務の女性だったり、ビルメンテナンス会社だったりする。オフィスの環境に応じて、水回りのルールもさまざまだ。

「まずは、会社の給湯室の使い方のルールを確認しましょう。自己判断はいけません」(大蔵氏)

たとえば水切りカゴ。個人のカップを置きっぱなしでOKのところもあれば、NGのところもある。このようなルールは人に聞かなくてはわからない。自分のやり方を当たり前だと思っていれば、そもそも、水切りカゴの使い方に決まりがあるということすら気づかないかもしれない。必ず、どんなルールが存在するのか確認しておこう。

また、ふきんは誰が洗うのか。漂白の頻度は? 洗剤など備品がなくなったら、どこに連絡して、誰が買いに行くのかといった給湯室の運営についての取り決めもあるはずだ。気が利かない若手と思われないためにも、自分の役割があるのかどうかも確認すべきだろう。

「洗剤が切れたら管理室に連絡してください」「ここにコップを置かないでください」「茶葉を流しに捨てないでください」といったルールについての張り紙を貼った給湯室がある企業もあるが、書いていないことについても自己判断は禁物だ。

冷蔵庫や電子レンジなど共用で使っているものについても同様だ。「お弁当を持ってきたんですが、冷蔵庫に入れていいですか?」といった具合に、はじめて使う共用スペースの場合は、その都度先輩に確認しよう。

ルールは人に聞けば理解できる。しかし、マナーは誰も教えてくれないので、自分で身につけることが必要だ。

お茶を飲んだり、ちょっとしたお菓子をつまんだり……。給湯室は社員のリフレッシュの場でもある。しかし、アットホームな雰囲気が出れば出るほど、自宅のように使う人が出てくるようだ。

「給湯室でヒゲを剃っていた人がいた! 注意したら電動カミソリになったけど、余計にひげが飛び散りそう! 勘弁して」(IT・ 25歳)

「給湯室での歯磨きはやめてほしい」(運輸・35歳)

「給湯室は、給茶の場。お客様へのもてなしにもつながる場です。まず、そこを強く意識してみると給湯室のマナーがわかってくるのではないでしょうか」(大蔵氏)

もちろん、最近はPETボトルや紙コップを利用する企業が増え、給茶の機会はめっきり減った。しかし、重要な取引先が来たときには、今でもお茶やコーヒーを湯飲みやカップに入れて出すケースが多いだろう。そうした場合、不潔な給湯室で入れたお茶よりも、当然、清潔な給湯室で入れたお茶を出したほうが望ましい。

このように考えると、給湯室を清潔に使わなければならない意味がわかってくるので、流しを汚したり、ゴミを散らかしたりといった行為もなくなるはずだ。

びしょびしょの洗面台は、ひんしゅくモノ

「洗面台の数が少ないので、歯磨きも化粧直しも手早くするようにしています」(金融・43歳)

「水がはねていないか、髪の毛を落としていないか。立ち去る前に念入りにチェックします」(不動産・29歳)

「アルバイトやお客様が多い時間を避けてトイレに行きます」(流通・27歳)

先輩たちの他人に対する気遣いは相当のレベル。いいかえれば、マナー違反に対しては厳しい目で見ていることになる。

「洗面台の周りに開封したパッケージが散乱。よくみたら、さっき会社の近くで配られていた試供品の化粧品のパッケージでは? 試すのはいいけど、ゴミはちゃんと捨てて!」(メーカー・29歳)

「洗面台がびしょびしょ! ちゃんと拭いていってよ!」(金融・43歳)

「トイレットペーパーが切れたら、ちゃんと補充して!」(流通・27歳)

清潔感を感じるかどうかのひとつのポイントは、前の人の『使った感』の有無。水回りでは『水滴の有無』が大きく影響します。ですから、水浸しだと不快に感じるわけです。もし、水が大量にはねてしまったら、シンクのふちくらいはサッと拭いておきたいものですね」(大蔵氏)

洗面所のマナーを考えるポイントも「占有しないこと」。他の人も使うパブリックスペースだということを意識することが重要だ。

「そう考えると、たとえば化粧直しならば長時間占有しないために手早く、広い場所を占有しないために化粧品を広げないといったことが自然にできるようになるはずです。混雑しているときに、強い香水を使うことも避けたいものですね」(大蔵氏)

「女性陣が洗うのが当然と言わんばかりに、コーヒーカップをシンクにポンと置いている人がいてムカッとくる。この人、家で何にもしないんだろうなぁ」(物流・33歳) 

会社に入ると、こうした差別的な態度に出る人に出会うことがあるかもしれないが、決して真似をしてはいけない。一緒に批判的な目にさらされるのは間違いない。

ぜひ、やってほしいことは、洗面所や給湯室で清掃業者に出会ったときのあいさつ。コミュニケーションをとることで、感謝の気持ちが湧いてくるし、きれいに使おうという意識が働くようになります」(大蔵氏)

後で使う人のことを考えて、きれいに使う


洗面台も後で使う人のことを考えてきれいに使うことを心掛ける (写真:パセロ / PIXTA)

結果としてマナーを守れるようになるわけだ。それに対して、「掃除が始まった。面倒だ」とあいさつもせずに、迷惑顔でさっさと出ていくような態度では、「掃除するのは、他の人だから、汚してもいいや」という意識になりがち。当然、マナーなど身につかない。

水回りのマナーとは、後から使う人への気遣い。適当にやれば、ストレートに次の人の迷惑になってしまう。トイレをみれば、その会社がわかるなどといわれるのは、そのためだ。

もっとも、ずっと自宅暮らしで親が何でもやってくれるという環境では、そもそも水回りの何が大変なのか、何が迷惑なのかがわからない。そうした人は、この週末、自宅のトイレと台所の掃除をしてみることがおすすめだ。