子供の頃に発症したチック症が大人になってから再発するケースがあります。“変わった癖を持つ人”と思われがちですが、本人は悩んでいることも。大人のチック症についてご紹介します。

チック症は発達障害の一種

チック症とは、自分の意思に関係なく、体が動いてしまったり、声が出てしまったりするもの。まばたきや咳払いのほか、足が勝手に動いてしまい自転車に乗れないといったことまで症状はさまざまです。
チック症は、自閉症やADHDと同じ発達障害のひとつで、生まれつき脳の発達が通常と違っているために症状が起こります。幼少期から10歳くらいまでに発症することが多く、5〜10人に1人と比較的高い割合です。その95%は、脳の成長とともに症状が減少します。思春期まで続き慢性化したものは、「トゥレット症候群」と診断され、神経系疾患の難病に指定されています。

再発または慢性化すると大人のチック症に

大人のチック症は、幼少期に発症して一度治ったものが、なんらかの理由で再発している、または子供の頃のチック症が治らずに慢性化した状態です。症状も、軽度の人から重い人まで幅広いのも特徴のひとつ。まわりで、変わった癖のある人はもしかしたら大人のチック症の可能性があります。ですが、基本的に生活に支障が出ておらず、本人も気にしていなければ治療の必要はありません。芸能人や政治家でも、大人のチック症と思われる人もいますが、それぞれの特性を生かして活躍しています。

ストレスが多いとチック症を再発しやすい

チック症の原因は、脳の神経伝達物質のドーパミンが関係していることが研究でわかっていますが、それ以上のメカニズムは解明されていません。また、大人になってからチック症が再発する背景には、心理的要因が関係していると言われています。家庭、学校、職場などの環境の変化に伴い、ストレスが多いと症状が悪化、環境に慣れると症状が減るというケースも。

大人のチック症の症状も子どもと同じ

大人のチック症であっても、症状は子供のチック症と変わりありません。

◯音声チック

咳払い、突然奇声をあげる、暴言を吐くなど

◯運動性チック

首をかしげる、まばたきを多数行う、頭を振る、口の中を噛む・なめる、手や足が勝手に動くなど

大人のチック症はまだ認知度が低く、本人がまわりの人に理解を求めにくい傾向にあります。例えば、大切な会議の時に咳払いが止められないなどもチック症の症状としてはあり得ることです。中にはそうした症状がチック症と理解されず、それがストレスになり、精神的に不安定になってしまう人も。

チック症の人は、特に繊細な人が多く、プレッシャーを感じやすい傾向にあります。チック症が原因で、学校や仕事に行けないなどの場合は、心療内科や精神科の医師に相談をしてみましょう。軽度の場合は、カウンセリングなどで環境に対応できるよう心のケアをします。重度の場合は、必要であれば薬物治療を行う場合もあります。日ごろから、規則正しい生活をし、軽い運動などを取り入れ、ストレスを溜めない生活を心がけることも、大人のチック症の治療に有効とされています。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと