【東京モーターショー2017】軽自動車だけでなく小型車に注力! ダイハツのブースで今後の戦略について訊く
今回の東京モーターショーで個人的にもっとも印象深かったのがダイハツブースだ。ダイハツというと軽自動車のイメージが強いが、ワールドプレミア4台・ジャパンプレミア1台のうち、軽自動車は2台のみで残りはすべて小型車であった。

そのことをダイハツ関係者に尋ねると、昨今の軽自動車市場の低迷を理由のひとつに挙げつつ、「インドネシアやマレーシアなどの東南アジア市場ではAセグやBセグ車の人気が高く、グローバル市場を見据えると軽自動車だけに専念していれば良いという時代ではなくなりつつあります」との答えが返ってきた。

昨年8月、ダイハツはトヨタの完全子会社となった。トヨタは大型車が主流の北米市場では堅調だが、小型車中心のアジア市場では苦戦している。経済性の優れた低コストの小型車を得意とするダイハツとのパートナーシップを強化することにより、新興国市場で攻勢をかけようとの狙いがあったようだ。今回のショーでのダイハツの展示内容からもトヨタグループ内におけるダイハツの立ち位置の変化が窺えた。

だが国内市場はどうなるのだろうか? 

かつてダイハツはシャレードやアプローズ、ストーリアなどの小型車の佳作を生み出して来たが、それらが市場で正しく評価されることはなかった。前々回のショーで年配のダイハツ関係者と話したときに「直営店を除くとダイハツのクルマをようけ売ってくれるのは街のモーター屋さんや小さな販売店が中心。残念ながら小型車を売るチャンネルがないのでおますわ。そやから小型車は諦めて今は軽自動車に絞っていますねん」とコテコテの関西弁で返してくれたのを思い出した。

イイクルマを作っても国内で小型車を販売する力量がない。それがこれまでダイハツの登録車が国内で苦戦してきた最大の理由であり、これはすなわち軽自動車以外のダイハツ車に充分なブランド力がなかったということでもある。

地方の保守的なユーザーが好んで乗るような、安いだけが取り柄の泥臭くてあか抜けないクルマとのイメージがダイハツ車にはつきまとうが、じつは同社は都会的な精錬されたセンスと、国内メーカーでも屈指のデザイン力を持っている。ところが、その力量を如何なく発揮したクルマ作りを行うと顧客がそれについて来られず、販売に結びつかなかったのだ。そして、せっかくの個性的でスタイリッシュなモデルも次のMCやFMCではあえて野暮ったいスタイリングに改めてユーザーに迎合するということを繰り返してきた。その傾向は小型車ほど顕著で、例えば3代目シャレードはのちにルノーが初代ルーテシアでほぼそのままパクったほど、当時としては斬新で完成度の高いデザインと優れたパッケージングを誇っていたのだが、市場にはほとんど受け入れられず、次の4代目では地味でつまらない凡百な小型車に堕してしまった(しかも、このモデルもあまり成功しなかった)。

やはりダイハツは「軽自動車のメーカー」あるいは「安価なクルマを作るメーカー」としてのイメージが強すぎるのかもしれない。こうしたユーザーの負の心証を払拭しなければ、ダイハツの持ち味を活かした小型車で成功を収めるのは難しいように思う。その辺の疑問を先ほどの関係者にぶつけると、「じつは親会社のトヨタさんからも『ブランド価値を高めるように』と度々言われているのですが...」と口ごもる。

「いっそのこと小型車はダイハツではなく別ブランドで展開してはどうか?」と水を向けると、「そうした考えはないではありません。でも、まだまだ販売がついてきていない現状で別ブランドを立ち上げたところで、却ってブランドイメージが希薄化してしまう可能性も考えられます。例えば、電気自動車を本格的に立ち上げた際にブランドを差別化する、というような事はありえるかもしれませんが...」とのこと。彼は続けて以下のように話してくれた。

「トヨタさんの完全子会社になってから縛りがキツくなったのではないか、と聞かれることがよくあります。でも、実際は逆なんですよ。トヨタさんからは『小型車はお宅のほうが得意なんだからウチが余計な口を出すと売れなくなる。とにかくがんばっていいクルマを作ってくれ』と励ましてもらっているくらいです。まあ、トヨタさんの影響力が強かった先代のブーン/パッソが思ったほど売れなかったということが影響しているのかもしれません。今はかなり自由にやらせてもらっています。実際に初代パッソ/ブーンは共同開発車でしたが、現行モデルはダイハツが主導で開発を行い、トヨタさんへはOEM供給というカタチに改めました。でも、それだけウチの責任は重くなっています。ダイハツで売れなくてもトヨタさんで売ってもらえばいい...という甘えた気持ちはなくなりました」。

小型車にも力を入れて行くと言う今後のダイハツは要注目である。成功の鍵はダイハツならではの魅力を広くユーザーに認知してもらうこと、すなわち自社のブランド力をいかに高めるかに掛かっている。それは簡単なことではないかもしれないが、今回のショーの出展車両を見ている限り、可能性は大いにあると思う。

次回は小型車を中心に東京モーターショーに出展されたショーカーを紹介して行く。

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