乗りたいバスのメーカーで職場を決めるひともいる!

 タクシー運転手やバス運転士を仕事とするぐらいだから、”クルマ好き”かと思えばそうでもない。とくにそのギャップが大きいのがタクシー運転手。都市部では”隔日勤務”となり連続20時間ぐらい乗務することになる(もちろん休憩あり)のが一般的な勤務体系となるので、運転がよほど好きなのかと考えがちだが、逆に”えっ?”と思うほど興味のないひとが多い。

 あるタクシー事業者で運行管理者(事務所のひと)として勤務していたひとに聞いた話では、「ある暑い夏の日にある運転手が”エアコンが効かなくなった”と事務所に駆け込んできました。古めのクルマではフィルターが詰まったりして風量が極端に少なくなったりするので、それかと思ったのですが点検すると違っていました。
おかしいなあと空調操作パネルをみたら、”AC(エアコンを作動させるスイッチ)”スイッチがオフになっていました」とのこと。

 また違うある日に出庫前の点検でフォグランプをつけるように頼むと、「そんなものあったっけ?」と反応した運転手がいたそうだ。クルマが好きか嫌いかという以前の話にも聞こえるが、積極的に興味を示そうとするひとが意外と少ないのは確かなようだ。

 一方バス業界は意外なほど、”オタク”と呼べるほどバスにのめりこんでいる運転士や運行管理者などの事務方がめだっている。たとえば「三菱ふそうのバスが運転したいから」などといって、三菱ふそうのバスを保有する就職先を探すひとも多く、バス運転士が数人集まり、その話す内容を聞いていると、それぞれお気に入りのメーカーのバスを運転していることも多いので、自分の運転するバスの自慢話などまさに”オタトーク”を聞いているようなマニアックな内容となっている。

 車両にこだわる運転士もいれば、「ワインディングの多い路線があるから」と配属営業所を”決め打ち”して応募してくるひとも多いとも聞く。全般的に見ればバス運転士のほうが、クルマ好き、いや”バス好き”は圧倒的に多い印象を受ける。

 ちなみにバスとトラックの間には、一見似たもの同士にも見えるが、お互い強いこだわりがあるというのだ。そのひとつがドライビングポジション。トラックではステアリングコラムを両足で挟み込むような感じとなり、ステアリングは抱えるようなかなり立ち気味となっているが、それに比べるとバスはゆったりとしたポジションとなっている。

バスにはチルト&テレスコピックステアリングがついているのだが、大型トラックドライバーから、バス運転士へ転職したひとはトラックドライバーのころのポジションを再現していることが多いので、そのドライビングポジション(バスでもステアリングがかなり立っている)を見れば一目瞭然なのである。