ポジションを掴み取った青木は、強靭なフィジカルと豊富な運動量を活かしてリンクマンとして活躍している。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 堀新体制では阿部勇樹と柏木陽介のボランチコンビが「解体」された。そして4-1-4-1のインサイドハーフに柏木、CBに阿部と、前線と最終ラインの要に配置され、ACL準決勝も勝ち抜いた。
 
 柏木は「今はあらゆる局面で選手が良い距離感を保つ三角形を作り、その連係から崩そうと意識付けを進めている。まず俺は前へ行くこと(攻撃面)が仕事。阿部ちゃんとの関係性は、当然以前とは変わってきている」と語る。そこで新布陣でふたりをつなぐ役割を担うキーマンに挙げられるのが、青木拓矢だ。
 
 4-1-4-1の肝と言えるアンカーにフィットし、欠かせぬ戦力になってきた。ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)時代からのテーマでもあった、柏木、阿部、そして青木という日本代表クラスの“本職ボランチ”3人の併用が実現されつつある。
 
「阿部さんと陽介、まず純粋にふたりとも攻守両面で個の能力が高い。そこは常に感じていた」と青木は語る。レギュラーの座を掴んだ今、もっとも気を留めているのが「バランス」だと言う。
 
「失点が続いているところは課題だが、まず全体のバランスを見ながら、組み立てようとしています」
 
 そのなかで、大きな支えになっているのが、阿部からの「声」だと言う。引き分けのまま時計を進めるのか、畳み掛けるのか、前からプレスに行くのか、引いてカウンターを狙うのか――そういった意思統一がひと際求められたACL準決勝の上海上港との2試合、最終ラインの阿部からの指示に助けられたそうだ。
 
「もちろん今までも阿部さんは声を掛けてくれていたけど、アウェーでの上海上港戦(1-1で引き分け)から、さらに一段と大きな声が聞こえてきた。ラインの上げ下げなど、内容はシンプル。でも、それが『あ、とても良いな』と感じながらプレーできました」
 
 阿部と柏木を中心としてきたチームに、青木という新たな「軸」が確立されてきた。言い方を変えれば、堀監督の下、阿部と柏木が守備と攻撃で特長を発揮することで、総合力の高い青木の輝く場所が見出されつつあるとも解釈できる。
 
 青木は32節の鹿島戦で軽い左太ももの肉離れを起こしたが、18日(日本時間19日1時15分開始)ACL決勝アル・ヒラルとの第1戦に照準を当てて調整する。その鹿島戦でも交代するまでのプレーが光っていた。
 
 それだけに青木が決勝の2試合でもアンカー(錨=いかり)として、彼らしく静かにどっしりとした安定感をもたらせた時――浦和がアジア制覇という大航海を成功させるはずだ。
 
取材・文:塚越始(スポーツライター)