武者氏は「この水準はまだ通過点」と語る(AFP=時事)

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 バブル以来の最高値を更新したこの株高相場は、バブル期を知る人々の“感情”を揺さぶっている。泡が無限に膨らんでいく時の興奮と、その泡がいつか弾けた時の恐怖を、同時に知っているからだ。現在の上昇相場の先には、どんな展開が待ち受けるのか、武者リサーチ代表、武者陵司氏が見通す。

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 私はかねてから日本株は上がると強気の見方を示してきたが、「そんなことはあり得ない」というのが大方の予想だった。ところが、日経平均は10月には誰も予想できなかった16連騰を記録し、バブル崩壊後の戻り高値を超えてきている。

 私にいわせれば、この水準も通過点にすぎず、2018年末までには3万円、2020年の東京五輪までには4万円が視野に入っている。

 理由はいくつもある。まず米国企業を中心としたイノベーション(技術革新)によってインターネットやハイテクを中心とした新たな産業革命が進んでいる。これによって米国は隆盛を極め、株高・ドル高が進まざるを得ない。それによってもたらされる円安で日本企業はさらに恩恵を受ける。

 何より重要なことは、日本の株価は今までミス・プライシング、すなわち本来の価値に比べて著しく過小評価されてきたことだ。

 ここにきてバブル期を上回る史上空前の企業業績を上げているというのに、まだ株価はバブル期の6割程度。米国をはじめ世界中で史上最高値更新が続いているのに、日本株だけが不思議なほど過小評価されている。

 まして預金金利も長期国債利回りもゼロの時代に、日本株の配当利回りは2%近い。それなのに日本人が買わないというのはおかしい。日本人は過剰なまでに自信を喪失している。

 対照的に過剰な自信で満ち溢れていたバブル期の1990年当時、配当利回りは0.5%、預金金利と長期国債利回りは8%にも達していた。1990年以降の株価暴落は、本来の価値よりも過大評価されたものが是正された結果である。今はあの時とは逆で、好景気なのに過小評価なのである。

 日本人が自信を取り戻し、是正運動が強まれば、もっと株価は上がり続ける。現在は「五輪開催時に4万円」という壮大な上昇相場の序章の最中なのである。

【プロフィール】むしゃ・りょうじ/1949年生まれ。元ドイツ証券副会長。2002年、2003年の米国インスティテューショナル・インベスターランキング「日本株ストラテジスト」部門1位。

※週刊ポスト2017年11月24日号