『第68回NHK紅白歌合戦』、今年の傾向は? 初出場組に見る番組づくりの変化

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 2017年12月31日放送の『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)出場歌手が発表された。選考の基準は今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出の3点。このほか、アンケートやCDの売り上げ、カラオケリクエストなどをもとに選出されたという。

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 今回初出場となったのは紅組が4組、白組が6組の計10組だ。今年の初出場組はエレファントカシマシのようなキャリアの長いバンドから、SHISHAMOやWANIMAといった若手バンドに加え、Little Glee Monster、TWICE、三浦大知、Hey! Say! JUMPなど若者を中心に人気を集めるアーティストや、竹原ピストル、トータス松本など、音楽ファンに人気の高いシンガーまで様々だ。

 そんな2017年の出場組は、μ’sやゲスの極み乙女。、大原櫻子などその年に一躍人気を集めたアーティストたちが初出場を果たした2015年や、KinKi Kids、RADWIMPS、THE YELLOW MONKEYらが出場しそれぞれの“代表曲”を披露した2016年とは少し傾向が異なる。今年の活躍ぶりはもちろん、安定した実力、人気を備えたアーティストが並んでいる印象だ。

 “大人の心を震わせる新しい音楽番組”として放送されている『SONGS』では、一人のアーティストとじっくりと向き合い、他の番組では聞けない言葉を引き出したり、フルパフォーマンスをオンエアすることが多い。今回初出場を果たしたエレファントカシマシや竹原ピストルといったキャリアのあるアーティストからSHISHAMOやWANIMAといった今後の活躍が期待されるアーティストまでを取り上げ、広い世代から人気を集める番組づくりが行われている。

 一方、近年のNHKでは“音楽の面白さ”にフォーカスした『バナナ♪ゼロミュージック』、若い世代に向けた『シブヤノオト』『NAOMIの部屋』といった音楽番組にも力を入れている。『シブヤノオト』『NAOMIの部屋』にはコアな音楽リスナーの間で話題のバンドやアーティストが多く出演、『バナナ♪ゼロミュージック』では“トラップ”“シティポップ”などをわかりやすく解説し、各番組が音楽好きの若者を中心に支持を広げてきた。今年初出場を果たしたTWICEも『シブヤノオト』に出演し、多くの反響を読んでいた。

 今回の『紅白』の出場者のラインナップは、そんな真摯に音楽と向き合ってきたNHKの姿勢を反映しているようにも思う。若者を中心に幅広い世代から注目を集めているアーティストを揃えた今年の『紅白』は、こうした番組の“総決算”とも言えるだろう。

 昨年は番組と映画『シン・ゴジラ』がコラボし、X JAPANがゴジラを撃退するという展開や、タモリとマツコ・デラックスがスペシャルゲストとして登場、AKB48が視聴者投票で選ばれた“紅白選抜”48人で「夢の紅白選抜SPメドレー」をパフォーマンスするなどの演出が印象的だったが、今年の出場者たちはどのようなステージを見せてくれるのだろうか。今年は椎名林檎とトータス松本によるスペシャルコラボレーションも予定されているとのことで、東京オリンピック・パラリンピックに向け昨年から続くテーマ「夢を歌おう」を各アーティストがどのように表現するかも予想しながら、放送を待ちたい。(村上夏菜)