羽生結弦【写真:Getty Images】

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オーサー氏が現状と今後に見解…4回転ルッツなしでも勝負可能「他の全てが高い領域にある」

 右足の負傷により、戦列を離れることになったフィギュアスケートの羽生結弦(ANA)。「関節外側靱帯損傷」と発表された怪我の具合、連覇がかかる平昌五輪への影響など心配されているが、コーチのブライアン・オーサー氏は米メディアのインタビューに応じ、羽生について言及。「ユヅは比類なき存在であると信じている」と語り、今季から取り入れている4回転ルッツなしでも勝負できるなどと復活プランの見解を明かしている。

 王者の現状と未来について、恩師が口を開いた。オーサー氏は米スケート専門メディア「icenetwork」のインタビューに応え、教え子のハビエル・フェルナンデス(スペイン)とともに羽生について語った。

 まず、「何か新しいニュースはあるか」と問われたオーサー氏は、このように回答した。

「ご存知の通り、ユヅは足首を捻挫した。ひねったわけだが、骨折までには至らなかった。私が聞いた範囲では、彼が氷上に帰ってくるまでにあと10日といったところだ。すぐにトロントに戻るはずさ。我々はゆっくり再スタートを切り、再編成を組まなければならない」

 羽生は前週のグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯の前日練習中に右足を負傷し、大会を欠場。連覇がかかっている平昌五輪への影響が心配されていた。再び、氷に乗れるのは「10日間」を目安とし、氷上での練習再開は来週に入ってからとなりそうだ。

「任務完了さ!」…4回転ルッツに初成功「あれは重大なチェックポイントだった」

 しかし、5連覇がかかっていたGPファイナルに教え子を送り出せないことは無念なようだ。

「ファイナルには間違いなく出場しない。実際、ハビ、ユヅ、どちらもだ。私がコーチになってから、自分のスケーターがGPに出場しないという経験は今回が初めてだ! 残念だよ。ファイナルは常に楽しみなものだ。世界のトップ選手が顔をそろえるほど、素晴らしい大会なんだからね」

 羽生は今季、フリーで4回転ルッツを導入。GP初戦のロシア杯で初成功していた。王者でありながら、圧倒的に勝ちたいとの思いを持つ平昌五輪へ挑戦をやめなかった。

「今季、ユヅは4回転ルッツを捕らえた。何度か練習に励んでいた技だ。ロステレコム(ロシア杯)で初めて披露した。あれは重大なチェックポイントだったよ。任務完了さ!」

 現在のスケート界で最難関とされる4回転ルッツを成功したことで「任務完了」と表現し、一定の区切りになったとみているようだ。ただ、ジャンプも含め、圧倒的な質の高さを誇っており、4回転の本数にこだわらずとも、五輪連覇は可能とみる向きも多い。

 オーサー氏自身も、そうした考えを持っているようだ。今後のジャンプのプランをこう明かしている。

4回転ルッツなしでも勝負できる…信じる王者の才能「ユヅは比類なき存在だ」

「4回転フリップには取り組まないだろう。彼には4回転ループと4回転ルッツがある。戦う上では十分だ。私は4回転ルッツさえ不必要だと感じているからね。4回転トウループ、サルコー、ループなど、他のすべてのスキルを備えているのだから。スピン、ステップも含め、すべて高いクオリティーの領域で、だ。私はユヅは比類なき存在であると信じている…あとハビもね(笑)」

 4回転ルッツなしでも勝負できると分析し、羽生の才能を改めて絶賛していた。今回の故障を受け、ファンから心配な声が上がっているが、オーサー氏自身はポジティブな捉え方もしているようだ。今シーズンに挑むまでの過程を振り返り、こう語っている。

「ユヅは6月末にトロントに戻ってきた。彼はミッションを抱えているようだった。7月中旬には戦う準備が整っていた。彼はとてもハードに練習していたが、少しペースが早すぎた。選手たちを抑えるのは大変なことだ。時には強制的に引き戻さなければならない状況もある。だから、見方によれば、ユヅの足首の問題は案外、好転するきっかけとなることが証明されるかもしれない」

 運命の五輪シーズン、66年ぶりの大会連覇という歴史的偉業がかかり、羽生も並々ならぬ気合いからハイペースで練習してきたようだ。それを故障により、図らずもいったんリセットすることで、状況が改善することに期待していた。

 12月の全日本選手権で復帰を目指しているという羽生。今はただ一日も早い回復を祈り、万全の状態で平昌のリンクに立てることを願うばかりだ。