ミドルを放つ大迫。日本は欧州遠征を通じて槙野のヘディングシュートによる1点に終わった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 ブラジル戦から中3日のスケジュールで迎えた11月14日。日本の欧州遠征第2戦の地は、ため息が出るほど美しい街、ベルギーのブルージュだった。
 
 この日も、オランダのフェンロから車を走らせて、会場のブルージュへ。キックオフ時間は20時45分だったので、4時間前の16時45分にはブルージュの市街地へと到着するようにした。観光地として有名なこの地は、中世の街並みが特徴的だ。決戦前に早めのディナーを済ませ、教会の鐘が鳴り響くなか、ロマンチックな景色を背景に、石畳を歩いていく。こうして観光をかねて観戦できるというのも、アウェーゲームの特権と言えるだろう。

 
 4日前のブラジル戦。日本はプレッシャーをことごとく剥がされ、立て続けに3失点を喫し、前半で勝負を決められた。やはりブラジルのような格上に対して、先にゴールを奪われた状況から勝利を掴むのは難しい。
 
 いかに敵の攻撃の芽を摘み、先制点を奪うか。守備重視の戦いをベースに挑まなければいけないのは、日本よりも攻守に豊富なタレントを擁する世界ランキング5位のベルギーに対しても同様だ。
 
 ブラジル戦で見せたようなプレッシング、守備組織では、再び無残な結果になることは想像できる。序盤の20分間に、どこまでベルギーにプレッシャーをかけボールを奪えるか。まずはその点に集中して見ていたが、ブラジル戦以上の気迫と集中力をもって、日本は戦っていた。
 
 ホームのベルギーにペースを握らせなかった序盤において、ポジティブな印象を受けたのは、最終ラインの安定感もさることながら、この日スタメンに抜てきされた右FWの浅野拓磨、インサイドハーフの長澤和輝がフィットしたことだ。
 
 代表初出場の長澤は、井手口陽介とともに“フォアボランチ”として高い位置から中盤のスペースを確実に消し、日本の守備力を高めた。ワールドカップで強豪国と戦う際、走力をベースとした中盤のプレッシングは、日本の生命線となり得ることを再確認できたのは、今回のテストマッチの収穫と言える。
 
 また、長澤以上にいい意味でインパクトを受けたのは、浅野のプレーだ。右サイドで常に“背後”を突く動きを繰り返し、勇気をもって巨漢ディフェンダーに1対1を仕掛けた。浅野にボールが来るたびにベルギーの選手たちはひどく嫌がっていたのが印象的だった。
 
 悔やまれるのは、前半2分のシーンだ。吉田のパスから長澤、大迫へとつないで浅野が抜け出して相手ゴールへと持ち込み、ペナルティエリアへと侵入しながら切り返して左足でシュートを打った。最後は相手ディフェンダーのブロックにあって先制点を奪えなかったのだが、「速攻」というのは、切り返してスピードを殺すことなく、勢いをもったままシュートを放つべきだ。ましてや「縦に速いサッカー」を目指しているのならば、なおさら、持ち味のスピードを殺すようなプレーはもったいない。
 
 浅野に関してさらに言えば、裏を狙う動き出しでカウンターのターゲットとなっていた。おそらくこの日の日本において、ビッグチャンスという点ではもっとも可能性を示していた選手だったのではないか。シュートシーンだけを見れば、1トップの大迫勇也、途中出場の乾貴士、森岡亮太もそれぞれ単独のシュートを放っていたが、もっともゴールの匂いを感じさせたのは浅野だった。
 
 全員でボールを追いかけ回し、奪ったボールを右サイドの浅野へ――。ブラジル戦を含め、ボールを奪った後の“形”がなかなか見えてこなかっただけに、右サイドの浅野の足を使って“背後”を突いていく策は、ワールドカップ本番においても、日本の攻撃の大きなオプションになることを感じさせるものだった。