東芝が債務超過回避のため大型増資を検討。 半導体事業売却の強行は「犯罪になるかも」

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上場廃止回避のため利益の9割を稼ぎ出す「虎の子」半導体事業を日米韓連合に売却することを決定している東芝(6502)ですが、ここへきて売却完了が期日(2018年3月末)に間に合わなかった場合に備え「6000億〜8000億円の増資の検討に入った」と報道されています。増資で上場維持できるのに半導体事業売却を中止しない愚を、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が痛烈に批判しています。

増資検討の報道を受けて株価は急落
ヘッジファンドが「準備」を始めた

 東芝は、2018年3月末までに債務超過を解消できなければ上場廃止になってしまいます。それを回避するため半導体事業売却に突き進んできたわけですが、ここへきて期日までに売却が完了しない事態に備え「6000億〜8000億円規模の資本増強の検討に入った」と報道されています。

 資本増強とはすなわち「増資」であり、報道のあった10日から東芝株は3日連続(-10.8%)で下落しました。早くもヘッジファンドが「準備」を始めているのです。

 本紙は一貫して「半導体事業をハゲタカファンド(ベインキャピタル)に売り渡すのは間違い。単に債務超過を解消するための資本増強にすべき」と主張してきましたが、ようやくそういう意見が出てきたことにもなります。

参考記事:
東芝の半導体事業売却が底なし沼!事態はもう壊滅的かつ修復不可能(2017年9月22日)
東芝の半導体事業がいよいよ外資の手に落ちる…。東芝経営陣と銀行団の無能ぶりを嘆く(2017年9月1日)

 ただ、資本増強で債務超過を解消しても、半導体事業売却の方針・条件を変更するわけではなさそうです。とりあえず上場廃止は回避できるのですから、2018年3月までの売却を完了するために相手側の要求を「ほぼ丸呑み」した条件は変更すべきではないでしょうか?

売却合意にはまだ隠された「闇」がある
SKハイニックスの出資額と議決権の矛盾

 当初はブラックボックスだらけだった売却内容も、少しずつ明らかになっています。

 まず「売却額2兆円」の内訳を見ていきましょう。東芝自身が3505億円、HOYAが270億円を出資し、この2社(出資額合計3775億円)で「議決権の50.1%を保有する」となっています。ここから売却時の株主資本は7535億円であることがわかります。

 残りの議決権49.9%(3760億円)はベインキャピタル(米)とSKハイニックス(韓)が保有することになるのですが…。ベインキャピタルの出資額は2120億円で、SKハイニックスの出資額は「3950億円の一部」です。ただし、SKハイニックスは「今後10年間は議決権の15%以上を保有しない」ことにもなっています。

 ベインキャピタルの出資額が2120億円であるなら、SKハイニックスの出資額は1640億円(3760億円−2120億円)になるはずで、そうすると21.7%の議決権を持つことになってしまうため辻褄が合いません。またSKハイニックスにしても3950億円も拠出して15%以下の議決権しか持てないということでは株主が納得しないでしょう。ここにまだ明らかになっていないブラックボックスが隠されているはずです。

 あとはアップル、デル、シーゲート・テクノロジーズ、キングストンテクノロジーの米国連合が4155億円を出資して議決権のない優先株(普通株への転換ができるはず)を持ち、三井住友銀行など日本の金融機関が6000億円を融資します。この6000億円は、売却された半導体事業会社が、自らの稼ぎでせっせと返済していくことになります。

売却すれば犯罪行為に該当する可能性も
それでも「自滅の歩み」は止まらない

 さらに明らかになったのは、半導体事業の「簿価」です。東芝の会計帳簿ではずっと7000億円とされていましたが、いつの間にか8000億円に修正されています。現時点でそれが何かはわかりませんが、半導体事業に1000億円もの「おまけ」がついたことになります。

 簿価8000億円の半導体事業を2兆円で売却すれば、1兆2000億円の売却益となるはずですが、売却益は1兆800億円となっています。差額1200億円は(東芝の発表ですが)弁護士費用とアドバイザーへの報酬だそうです。

 本紙は以前から「決して表には出ない複数のアドバイザーが巨額報酬を山分けする」と書いてきましたが、それが1200億円だったことになります。融資する日本の金融機関も金利とは別にこの「分け前」にあずかります。

 この売却益1兆800億円から3400億円の税金(還付金込)を支払い、東芝は最終的に7400億円の資本増強ができることになります。2017年4〜9月期にこの税負担を計上しており、最終純利益が498億円の赤字となりました。


 さて、東芝は過去の不正経理がどれだけ明らかになっても、東京地検特捜部が頑として刑事事件化しませんでしたが、じつは半導体売却を強行すると「犯罪になるかもしれない部分」が2つ出てきます。

 1つは「背任行為」です。東芝はWDと共同運営する四日市工場に年間3000億円ほどの投資を行うと発表していますが、もしこの工場の持ち分が売却対象となっている場合(なっていない可能性もあります)、売却先に「巨額投資分をタダで譲り渡す」ことになるからです。

 もう1つは「利益操作」です。半導体事業が完了すると、最大の出資者(議決権のある普通株式への出資)は東芝になります。売り手である東芝が買い手としても売却価格(売却益)に影響力を及ぼせる構図になっているからです。

 やはり、どう考えても「半導体事業は無理に売却しない方がいい」結論になるのですが、自ら好んで破滅の道を突き進む東芝ですから、結局は売却してしまうのでしょう。

刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、どの報道機関よりも早く東芝の「異変」に気づきメルマガで伝えたのは2015年8月でした。それから闇が次々と露わになり、東芝は転がり落ちるように自滅の道を突き進んできました。既存の報道メディアが扱うのは情報の上面に過ぎません。ニュースの発端から裏側までを深く・広く・濃く解説する記事をあなたも読んでみませんか?