【ライターコラムfrom柏】中川寛斗、自分を見つめ直し「もっと強い選手に」…今こそ前半戦以上の存在感を

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 前半戦で破竹の8連勝を記録し、一気に首位戦線まで躍り出た柏レイソル。その時に、ビッグセーブを連発した中村航輔や得点を量産したクリスティアーノ以上に脚光を浴びたのが、ハイプレスのスイッチを入れる役目を担った中川寛斗だった。

 中川は試合では常にチーム一の走行距離、スプリント回数を記録する。パスコースを巧みに切りながら迫る中川のプレッシャーは、相手のパスに狂いを生じさせ、そのトラジションで優位に立ったことは柏が連勝を記録する大きな要因となっていた。

 しかし第19節のベガルタ仙台戦を最後に、中川の出場機会は激減していく。夏の移籍でキム・ボギョンが加わったこと、さらには前半戦には調子を落としていたハモン・ロペスが復調したことなどが、サブに回る主な理由だった。

 その時の心境を、中川はこのように語っている。

「試合に出られなくなって『どうしてだろう?』と自問自答することもありましたが、そこでネガティブにならず、下を向く時間がもったいないと思いました。ネガティブになるとチームに悪影響を及ぼしますし、逆にそういうときに頑張れる選手がチームに良い影響を与えますから」

 その期間、「いつか自分が試合に出て、得点を取って、チームに貢献しているイメージを持ちながら練習ができていました」と、前向きに取り組めていたことを話す中川。そこでは、ただ漠然と練習をこなしていたわけではない。再び試合に出場するためには何が必要か、自分はどのようなプレーをするべきかを考え、実行へ移した。

「前半戦は僕の守備が注目されましたし、僕自身もこのプレーが必要だと思ってやっていましたが、自分を見つめ直して、降りてボールを受けてさばく、ゴール前へ入っていく、クロスに飛び込んでいく……。それができればもっと強い選手になれると考えました」

 多くの人にとって、中川といえば“ハイプレス”のイメージが強いかもしれない。ただ、アカデミー時代から彼のプレーを見ている者からすれば、おそらく前述した攻撃面での特徴こそ、中川本来の持ち味だと感じるはず。その証拠に、中川は「そのプレー自体、僕は好きですし、ポジティブにやれています」という言葉を残している。

 第30節の大宮アルディージャ戦で、中川は約2カ月ぶりのスタメン出場を果たした。この試合は柏が先制した後に1点のリードを守ろうとチームに消極的な意識が働き、中川の持ち味が発揮されにくい展開に陥ってしまった。だが、直後の天皇杯準々決勝の川崎フロンターレ戦では、その大宮戦の反省を受け、下平隆宏監督は「今日は意地でもつなげ」とチームに強気の指示を出した。柏が川崎に真っ向勝負を仕掛けたことで、中川はハイプレスを仕掛けるだけでなく、攻撃面でも持ち味を存分に発揮した。柏は川崎を1−0で撃破、天皇杯ベスト4へ駒を進めた。

 試合に出られなくなり、落ち込むことも、腐ることも簡単であるが、それでは何も生まれない。出られない時期に自分に何が足りないかを見つめ直し、前向きに取り組んだ結果、中川は前半戦の8連勝時よりも成長してピッチに戻ってきたのだ。

 柏は、リーグ戦では目下4試合勝ち星なしと苦しい状況にある。しかしラスト3試合の結果次第では、AFCチャンピオンズリーグ出場圏内の3位以内に入る可能性は十分に残されている。

 ACL出場権獲得を見据えたリーグ戦のラストスパートへ向け、中川がチームを牽引する。前半戦に8連勝を記録したとき以上の存在感を携えて。

文=鈴木潤