麻生太郎金融担当大臣(写真)は11月16日、金融審議会(会長:岩原紳作氏)に対し、「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」を行うよう諮問した。

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 麻生太郎金融担当大臣(写真)は11月16日、金融審議会(会長:岩原紳作氏)に対し、「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」を行うよう諮問した。IT(情報技術)の進展等によって金融サービスを個別の機能に分解して提供する(アンバンドリング)、また、複数のサービスを組み合わせて提供する(リバンドリング)などの動きが拡大、さらに、デジタル通貨などの出現が金融システムを抜本的に変革させる可能性があることを踏まえ、環境の変化に対応した金融規制のあり方を検討するもの。フィンテックによって既存の金融機関以外の事業者が金融ビジネスに参入してきている現状に対応し、イノベーションの進展を阻害せずに利用者保護を図る規制のあり方を検討する。
 
 アンバンドリングの動きは、従来は銀行が行ってきた「決済」の機能を、資金決済法によって、1回100万円以下という制限付きながら資金異動(送金)業者が、あるいは、換金はできないという制限付きながらプリベイドカード業者が部分的に実施するようになっている。このような単独の機能を提供するサービスは、現行の「銀行法」「保険法」など、業態ごとの法令(業法)では規制することが難しく、業態をまたいだビジネスの成長の阻害要因となりかねない。また、規制が緩い業態への移動や業態間のすき間の利用等を通じ、規制を回避する動きが生じかねない。
 
 そこで、「同一の機能・リスクには同一のルールを適用」することを原則に、業態別に行われている規制を機能別に改めることが可能かを検討する。例えば、金融の機能を「決済」「資金供与」「資産運用」「リスク移転」などに分類し、機能・リスクに応じたルールの適用を検討するとしている。この機能の分類のし方から、様々な議論が出てきそうなテーマになっている。
 
 また、現行法制では金融に関する統一的な基本的概念が存在しないため、デジタル通貨などの新しい決済手法が普及した場合、各業法を個別に改正して対応する必要がある。たとえば、「送金」を表す「為替取引」は、銀行法や資金決済法の法文にあるが、その定義は、最高裁の判例(平成13年3月12日)を参照しなければ明確にならない。あるいは、「金銭」の表記も、「資金」「代金」などが使われる場合があり、一定ではない。金融規制の横断化を検討するにあたっては、基本的な概念を統一する必要がある。
 
 さらに、人口減少に伴う国内市場の縮小や世界的な低金利によって金融機関は、支店網の機能・役割の見直しなどビジネスモデルの再構築を図っているが、ITを活用した合理化やITに対抗した合理化などが固有の規制によって円滑に実現できないなど環境対応を阻害する規制を横断的に見直すことも検討する。たとえば、現在、銀行法によって営業所の休日は、「土、日、国民の祝日」「12月31日から翌年の1月3日」など法令で明確に規定しているが、この規定が時代に合致しているかどうかなどを検討する。
 
 なお、11月16日には併せて「企業情報の開示・提供のあり方に関する検討」も諮問された。投資家の投資判断に必要な情報を十分かつ適時に分かりやすく提供することや、建設的な対話に資する情報開示を促進するため、海外投資家や個人の資産を運用する機関投資家に対する情報提供について望ましい情報開示のあり方を検討する。また、企業と投資家の建設的な対話を促進するために、経営戦略やリスクに関わる情報やガバナンス情報の内容充実などを検討する。(情報提供:モーニングスター社)