綾瀬はるかと西島秀俊演じる夫婦は“偽り”か? 『奥様は、取り扱い注意』第7話で描かれた“ウソ”

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 「愛する人から、初めてウソのにおいがした」。11月15日に放送された『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)のエピソード07「お茶会」。物語は、伊佐山菜美(綾瀬はるか)と優里(広末涼子)、京子(本田翼)が、主婦仲間の友恵(霧島れいか)から人を探してほしいと頼まれることから始まる。余命半年を宣告された友恵の望みは、大学時代4年間付き合った初恋の人に一目会うこと。妻ではなく女としての自分を取り戻したい、そんな友恵の思いに共感した優里と京子に背中を押され、菜美はかつての仕事仲間・小雪(西尾まり)に調査を依頼することに。

参考:『奥様は、取り扱い注意』第6話の鍵は“約束”? 西島秀俊演じる夫が語った男女の違い

 エピソード07では、心に秘めたたくさんの“ウソ”が描かれていた。友恵が夫に吐いていた「クラシックが好き」、「チェロが弾きたい」というウソ、友恵の初恋の相手・幸平(渋川清彦)が言っていた「海水を真水に変えることができるプランクトンを知り合いの科学者が発見した」というウソ、京子は、夫の不実を疑いつつ、平穏な生活を取り繕うために見て見ぬふりをする、“気づいていない”というウソ、優里は、夫以外の男に心が傾き始めていても、偽りの笑みで愛を取り繕う、“愛している”というウソ。

 菜美は、今日あったことを夫・勇輝(西島秀俊)に聞かれても、過去がバレそうなことは絶対に口にしない。現在を取り繕うために、過去のことに口を閉ざして生きている。そもそも、“(片山)菜美”という名前自体もウソだ。そして、勇輝もまた、5日間“福岡”で出張というウソを吐いていた。出張中に彼が泊まっていたホテルの窓からは、“東京タワー”が見えていたのだから。

 勇輝のウソと言えば、出張中の菜美との電話でも気になる点があった。唐突に菜美から好きな音楽を聞かれた勇輝は、一瞬戸惑い、左手に持っていたスマートフォンを右手に持ち変えてから、「古いジャズが好きだよ」と答える。インド、ヨーロッパ、ドイツ、フランス、英語では、一般に右にあたる言葉は“正”という意味を含み、左にあたる言葉は“邪”という意味も含んでいる。

 古いジャズが好き、という言葉は本当に“正”だったのだろうか。もしかしたら勇輝は、何らかの理由があって、菜美の前でいい夫を演じなければいけないのかもしれない。友恵が本当はロックが好きだが、上品な人間でいるために、夫に吐いたウソ「クラシックが好き」と同じように、勇輝もまた、これまで培ってきたいい夫のイメージとしては“正”である答え、「古いジャズ」を口にしたのではと憶測してしまう。

 友恵は言っていた。「感情を押し殺しながら、血の通った言葉をのみ込んで、20年間生きて来たあと病気になって、余命を宣告された時、私はすでに死んでることに気付いた」「うわべだけを取り繕って生きて来たせいで、死が目の前に迫って来てるのに、きちんと取り乱すこともできない」、と。本当の自分を隠して、目的もなく、ただ死んだように生きていることは、どんなに不自由ない生活を送っていたとしても、全然幸せなんかじゃない。死と向き合って、それに気づいた友恵は、今の夫との離婚を決意し、デカい夢ばかり追い掛けている初恋の相手・幸平と一緒に暮らすことを選択した。

 友恵だけでなく、菜美、優里、京子もまた、“うわべだけを取り繕って生きている”。彼女たちは、それが愛する人への裏切りではないと信じながら、その場をやり過ごしているのだ。そしてそれは、彼女たちの夫もまた然り。

 友恵が菜美に聞いていた「ところで旦那さんといつもどんなこと話してる?」「旦那さんが好きな音楽のこと、詳しく知ってる? 旦那さんが子どもの頃に見て、感動した映画のことは知ってる? 旦那さんが、どんな政治信条を持ってるかは知ってる? 旦那さんがこれまで旅をした中で、一番気に入ってる場所のことは? 逆に、今聞いた中のあなたの答えを旦那さんは知ってる?」、と。それらの問いに対するすべての答えを、きっと菜美も勇輝も知らない。もしかしたら、伊佐山夫婦はお互いにすべてのことを、“取り繕っている”のかもしれない。(文=戸塚安友奈)