ボストン・セルティックスのカイリー・アービング【写真:Getty Images】

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顔面骨折を負いながら、25得点、5アシストの活躍で破竹の13連勝を達成

 NBAで現在、リーグ最高勝率で首位を走るのがボストン・セルティックスだ。オフにエースのアイザイア・トーマスをトレードするなどテコ入れを行った中、開幕2連敗の後に破竹の13連勝。戦力ダウンの懸念をはね除ける快進撃の中心には、間違いなく新司令塔のカイリー・アービングがいる。

「1試合ごとに安定したアプローチで臨み、やらなければいけないことをやり、ディフェンス面で戦うことができている。オフェンス面ではまだ絶好調と呼べるゲームはないけど、一丸となってプレーできているよ」

 現地時間11月14日に敵地ブルックリンで行われたネッツ戦後、アービングは目を輝かせてこう語った。10日のシャーロット・ホーネッツ戦で顔面に軽度の骨折を負い、ネッツ戦ではフェイスガードを装着してプレーしたが、その影響を一切感じさせず、25得点、5アシストを挙げて109-102の勝利に導いている。

 次戦に過去3年で2度もリーグ優勝を果たしている昨季王者ゴールデンステイト・ウォリアーズとの対決を控え、「凄い連勝を続けることができている。ウォリアーズが木曜日(16日)にはボストンに来て、連勝記録が止まるかどうかが騒ぎになるはずだ。楽しみにしている」と意気込みを語った。

「キャブズを去るのがベストだと感じた」 次戦のウォリアーズ戦で真価が問われる

 アービング個人は、クリーブランド・キャバリアーズ時代に何度もウォリアーズとバトルを繰り広げてきた。しかし、今季初対決への意欲は特に強いのではないだろうか。“キング”と呼ばれるレブロン・ジェームズに次ぐ存在だった昨季までとは異なり、強豪チームの「ベストプレーヤー」として臨む初めてのビッグゲームだからだ。

 今季開幕前、NBAを襲った最大の衝撃は、キャブズ不動のPGだったアービングがトレード志願したことだった。スター軍団の一人として、過去3年連続でNBAファイナルに進出。個人としても、すでに4度のオールスターに選ばれ、2016年のファイナル第7戦ではチームに初優勝をもたらす決勝ジャンパーも決めた。

 レブロン、アービングをはじめとする主力に不慮の故障さえなければ、今季も少なくともイースタン・カンファレンスの優勝候補筆頭だったはずだ。25歳と今が“旬”のアービングが、どうしてそんなチームから自ら出て行ったのか。

「(ボストンで)素晴らしいチームメイトたちと一緒にプレーし、素晴らしいコーチたちの指導を受けるチャンスが手に入った。チャンスを広げ、人として成長しなければいけない。僕はただ、(キャブズを)去るのがベストだと感じたんだ」

 アービングは9月18日に米スポーツ専門テレビ局「ESPN」の人気番組「ファーストテイク」に生出演した際、移籍の理由を口にしていた。そして、実際にセルティックスのエースとしてプレーする姿を見て、その言葉の意味が分かったような気がした。

新天地でやるべきは、周囲の仲間をステップアップさせて勝利に導くこと

 試合前の選手紹介では最後に名前を呼ばれ、ゲーム後のインタビューの順番もラスト。コート上ではセルティックスという名門チームの先頭に立ち、終盤の時間帯にもボールを託される。レブロンという絶対の存在がいるキャブズではこうはいかなかった。

 人は時に、快適な環境からあえて距離を置こうとするものだ。2011年にドラフト全体1位指名でNBA入りして以降、7年間過ごしてきたキャブズからの別離を決断。新天地でチームの看板としての重責を背負うことで、アービングはバスケットボールプレーヤーとして、人間として、自分をさらに成長させたいと思ったのだろう。

 自ら望んで新天地を求めた経緯を考えれば、今後、個人成績を充実させるだけでは評価は高まらないはずだ。セルティックスでやるべきことは、レブロンのように周囲の仲間たちをステップアップさせること。そして、エースとしてチームを勝利に導くことだ。

13連勝の勢いそのままに、名門セルティックスを頂点まで導けるか

「カイリーはリーダーとして、僕たちのゲームをより容易なものにしてくれるんだ」

 今年のドラフト1巡目3位で指名された19歳の新人ジェイソン・テイタムはネッツ戦後、“アービング効果”について見解を示した。

 ここまでリーグトップの13勝2敗という成績を残し、若手からも統率力を称えられているのだから、アービングはまずは好スタートを切ったと言っていい。勢いそのままに、ベストプレーヤーとしてセルティックスを頂点まで導けるか。

 アービングのNBAキャリア第2章が始まった。16日のウォリアーズ戦も最初のテストマッチに過ぎない。これからもチームメイトたちを進歩させ、勝ち続けた時、アービングはようやく“次の段階”に進んだとみなされるはずなのである。