約50ぶりに旅客基幹システムを大刷新したJAL、その狙いは?

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 日本航空(JAL)は16日、旅客基幹システムを刷新する。既存システムはメーンフレーム(大型汎用機)で稼働しており、1969年の導入。これをスペイン・アマデウスのクラウドサービス「Altea(アルテア)」に移行する。開発負担の軽減やシステム維持管理コストの低減を図るほか、ビッグデータ(大量データ)の活用、他の航空会社との連携強化も狙いとしている。

 10月末に都内で開いたJALの4―9月期決算会見で、斉藤典和専務執行役員は新システムの準備状況を問われて「カットオーバー(稼働)に向けて想定どおり進んでいる」と述べた。予備調査の開始から約6年半を経て、念願のシステム刷新が実現する。

 JALが約50年にもわたり、旧世代のシステムを使い続けた背景には、経営破たんに至るまでの不安定な財務環境があった。投資額は800億円。人員増と社員の初期訓練を伴うシステム移行は今だからできるものだ。

 今回のシステム刷新は利用客にも影響が大きい。国内線は普通運賃などの航空券で有効期間が90日から1年間へと延びるほか、搭乗クラスの変更や料金支払いのルール、コードシェア(共同運航)便の乗り継ぎ方法が改められる。

 ただ、国際線はウェブチェックインのルール改訂で、空港ごとに準備が整うまで同サービスを停止することから、混乱も懸念される。

 JALにとってIT(情報技術)システムの刷新、クラウド化は追い風だ。旅客関連のビッグデータを取得・活用しやすくなる。各国の運賃制度変更時にも自社システムを修正する必要がなくなり、市場の変化に迅速かつ柔軟な対応ができる。

 さらに波及効果を見据えるのはネットワークの拡充。JALは今夏以降、矢継ぎ早に海外航空会社と提携した。7月にベトナム・ベトジェットエア、9月にインド・ビスタラ、米ハワイアン航空、10月にメキシコ・アエロメヒコ航空とのコードシェアを決めた。

 JALが急速に提携先を拡大できるのは、3月末で国からの事実上の経営監視期間が解けたことに加えて、他社システムとの連携作業が簡単になることも背景にある。JALが加盟する航空連合「ワンワールド」以外に連携先を広げるうえでも、業界標準を採用したことは大きい。
(文=小林広幸)