代表チームとは、どうあるべきなのだろうか。

 もちろん、結果は大事だ。4年に一度やってくるW杯に出場し、そこで好成績を残す。グループリーグで全敗するよりは1勝でもしたほうが、グループリーグ敗退よりは決勝トーナメント進出のほうが、いいに決まっている。

 しかしながら、結果がすべてかと言えば、そうではない。そこには目先の結果ばかりにとらわれない、長期的視点が絶対に欠かせないはずだ。

 日本代表がW杯ごとにまったく方向性の異なるサッカーを志向して臨み、そのつど決勝トーナメントに進出したとして、それが次につながるのか。

 高望みはしないので毎回ベスト16に進出できればいいというなら、それでもいい。だが、日本サッカー協会は、世界のトップ10入り、あるいはW杯優勝を目指すと公言してきた。ならば、4年ごとの短期的な成績にこだわった針路選びをするべきではないはずだ。

 今に始まったことではないが、そんなことを改めて、しかも嫌というほど思い知らされたヨーロッパ遠征での2試合だった。

 ベルギー戦(0-1)はブラジル戦(1-3)に比べれば、内容、スコアともに改善されていた。しかし、だからといって、なかなかやるじゃないか、という感覚にはなりにくかった。大まかな印象で言えば、ブラジル戦と大差はなかった。

 より実力上位の相手と一度手合わせしているのだから、その感触がまだはっきりと残る4日後、一段レベルが落ちる相手と対戦すれば、内容がよくなるのは当然である。というより、そうでなければ困る。

 加えて言えば、アジア最終予選終盤からある程度メンバーを固めて戦い続けている日本に対し、ベルギーの選手起用、戦術にはテスト的要素が強かった。

 ロベルト・マルティネス監督曰く、「DFにケガ人が多かったので」と、経験の少ないDFクリスチャン・カバセレを右DFに起用し、「彼はどこのポジションでもできるので」と、本来は前線にいるべきMFケビン・デブライネをボランチに置き、ボールをさばかせた。さらには、正GKのティボウ・クルトワも、エースのFWエデン・アザールも欠いていたのだから、日本が脅威を感じることなく戦える条件はそろっていたわけだ。

 実際、試合序盤に圧倒されたブラジル戦の反省を踏まえ、日本は立ち上がりから積極的に前線からプレスをかけ、ベルギーの攻撃を抑制。プレスのハマりはまずまずだった。

 以降は、何が何でもハイプレスに打って出るわけではなく、時間によっては引いて構える守備ブロックを作りながら、ベルギーの強力攻撃陣に対応した。DF槙野智章が語る。

「ブラジル戦後、前の選手と後ろの選手で(どう守るべきかの)意見をぶつけ合った。前の選手はどうしたいのか、後ろの選手は前の選手にどうしてもらいたいのか。そういうことがブラジル戦ははっきりしなかったが、今日は(前からいくときと、ブロックを作るときの)メリハリがあった」

 ブラジル戦でもそうだったが、特に自陣にブロックを作って構えたときには、相手の攻撃を抑えることができていた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も、「ブロックを作れば、どんなチームからもボールを奪えると証明した」と、守備面での改善を口にしている。

 来年のロシア大会だけを託されている、つまり短期的視点しか持たないハリルホジッチ監督にしてみれば、なるほど手応えを得るに値する内容だったのかもしれない。

 しかし、長期的視点に立てば、2010年南アフリカ大会でもすでに同じような成果は得られている。そのうえで、奪ったボールをどう攻撃につなげるかという点に光明を見出すことができず、これではダメだという結論に至ったのではなかったのか。


日本が世界相手にも守れることは7年前からわかっている

 ベルギー戦を見ても、奪ったボールを攻撃につなげるという点では、ブラジル戦からの改善はそれほど感じられなかった。相変わらず、1本目のパスの出しどころが見つけられずにつまるケースは多く、ボールを奪ったはいいが、手にしたボールを持て余したあげくに奪い返される。ボールを奪った勢いが攻撃に転化されることはほとんどなく、効果的なカウンターにつながる場面は少なかった。

 ブラジル戦に比べれば、ボールを奪う回数が増えた分、攻撃機会は増えた。だが、さりとて決定機を作れていたわけではない。

 仮にチャンスの数では日本とベルギーが同じだったとしても、より敵陣深くまでえぐり、ゴールに迫ったベルギーに対し、日本は一か八かの(DF酒井宏樹のアーリークロスをFW大迫勇也がヘディングで合わせたような)攻撃しかできなかった。同じ「惜しい場面」でも、どちらの得点の可能性がより高いかは言うまでもなく(実際、ベルギーは1点を取った)、量は同じでも、質の差は明らかだった。

 おそらく選手にしても、無理があるとは感じながらも、強引な攻撃に出るしかなかったのだろう。試合を通じて選手同士でプレーの狙いが一致せず、パスが合わないことは多かった。パスを出した選手が、自分が狙ったところへ動いてくれなかった選手に向かって、身振り手振りで「そこへ走り込めよ!」とアピールする姿が目についた。

 まずは人数を割いて守りを固め、奪ったボールを縦方向へ速い攻撃につなげる。そんなサッカーも、少なくとも現段階においては、このレベルの相手には通用していない。

 ハリルホジッチ監督も「どんなチームからでもボールを奪える」と自信を見せる一方で、「ボールを奪ったあとの冷静さ」を課題に挙げる。相手の攻撃を止めることまではできても、自分たちの攻撃につなげることはできていない、ということだ。

 2年前から指揮を執る監督にとっては、ある意味新鮮な収穫でも、いつかどこかで見た光景、なのである。ハリルホジッチ監督就任後、日本代表の「大敗しない可能性」は高まっているのかもしれないが、「勝つ可能性」が高まっているのかどうかは疑わしい。

 短期的に見て、来年のW杯で前回大会(1分け2敗、得点2失点6と、酷いものだった)よりも成績がよくなる可能性はあるだろう。だが、長期的に見て、それで日本代表が前進していると言えるのか。前進していないにしても、せめて正しい道を進んでいると言えるのか。

 ボールを持っても(持たされても)ビルドアップはままならず、あれほどハリルホジッチ監督が強調してきたデュエルでも、大柄なベルギー選手相手では劣勢に回ることが多かった。

 正直、およそ半年後のW杯で、日本代表の何にどう期待すればいいのか見えてこない。

 わずかな望みは、2010年W杯にしても、2014年ロンドン五輪にしても、不思議と日本は期待されていないときほど好結果を残す、という心もとないジンクスくらいのものである。

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