再び暴落もあるか(写真:AFLO)

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 米国のトランプ大統領が離日した11月7日、日経平均株価は大幅続伸し、その日の終値は2万2937円60銭と、1992年1月以来25年ぶりの高値を付けた。その後、9日には一時2万3000円を突破し、バブル崩壊後、初めての領域に突入した。それは、これからの相場が、過去の前例を踏まえた予測さえ難しくなったことを意味する。この先にどんな展開が待ち受けているのか、埼玉学園大学経済経営学部教授・相沢幸悦氏が見通す。

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 史上最高値更新が続く米国株はすでに危うい状態にある。バブル的な要素が膨らみつつあるのだ。

 かつてリーマン・ショックを誘引したサブプライムローンは低所得者向けの住宅ローンだったが、目下のところ、懸念されているのが『自動車版サブプライムローン』である。ここにきて中古車価格が下落しており、売却しても資金を回収できないほど落ち込むケースが増えている。また大学生が奨学金を返済できないという『奨学金ローン問題』もあって、大型デフォルト(債務不履行)が起こるのではないかという不安感が高まっている。

 それらが顕在化すれば、これまで米国株高を支えてきた投資ファンドも株式市場から一気に資金を引き上げるだろう。

 するとどうなるか。米国の株価が下がれば、米国から新興国に投じられてきた資金も引き上げられ、ドルが買われてドル高が進む。ただドル高になると米国企業の輸出競争力が失われるため、これを阻止しようと半ば強引にドル安誘導が進み、円高となる。

 問題は、それに対抗する策を日本が持っていないことだ。

 まず日銀は異次元金融緩和ですでに国債を買い漁っており、国債を買って金利を引き下げる余力を欠いている。これまでは低金利によって円安を維持してきたが、その手も使えなくなる。国債が使えなければ現在のマイナス金利をさらに深掘りするしかないが、ただでさえ銀行の経営を圧迫する中、さらに銀行を追い込めば銀行発の不況が起こりかねない。

 日銀が金融政策で打つ手がなければ、政府は財政政策に打って出るしかないが、これまた頼みは国債の増発であり、そうなれば国債の暴落まで想定される。

 すなわち米国の株価下落によって円高が進み、日本の輸出企業の収益が圧迫されるだけでなく、銀行が苦境に陥り、自ずと日本株も下落といった“負のスパイラル”が生じてしまうのである。

 かつて日経平均が7000円台まで下落した時はどういう状況だったか、思い返してほしい。

 デフレに見舞われる中、円高が進み、企業業績はマイナス。そこにリーマン・ショックが重なったが、今回は世界的な金融危機に陥らずとも、複合的な下げ要因がある。何よりわずか3年で日経平均が3倍になったことを考えると、その逆もあって然り。日経平均が再び1万円を割り込み、7000円に逆戻りする可能性も否定できない。

【プロフィール】あいざわ・こうえつ/1950年生まれ。日本証券経済研究所主任研究員や長崎大学、埼玉大学などを経て現職。国際金融論が専門で、特に欧州、日本に詳しい。

※週刊ポスト2017年11月24日号