旬のいくらがたっぷりのった〆の「鮭西京焼きといくらの炊き込みご飯」(4,000円)

麻布十番の、一の橋交差点を芝公園方面へと曲がったところに、ひっそりと佇むのが『あそこ』である。

たたずまいは肩ひじ張らない酒場、でも出てくる料理は超一流ぞろい。遊びなれた大人なら、覚えておきたい名店なのだ。



『あそこ』ならば夜遅くでも旨いものをたべさせてくれることを、麻布十番で遊ぶ大人は知っている
カウンター8席のみ、グルメな大人のための名店

この店を目指して歩かなければ、見落としてしまいそうなほどの小さな間口で、店先にも控えめな看板があるのみ。

カウンター8席の店構えでありながらも、不思議と開店から閉店近くまでグルメな客で賑わっている。

何がそこまで人を惹きつけるのか……それはこの雰囲気からは想像もつかないほど極上料理が味わえるからである。



「三陸産あわびのステーキ 肝バター」(8,000円)※時期によりあわびの産地は異なる
たたずまいは気さくな酒場、でも料理は超がつく一流ぞろい!

この店のメニューはスペシャリテぞろいで、何が名物かと聞かれても迷ってしまう!

新鮮そのもののアジフライから、神戸牛のサーロインステーキまで、その日のお腹に合わせて、欲望のままに注文しよう。

今回メインにセレクトしたのは、名物の「あわびのステーキ 肝バター」。こちらも一度は食べておきたい逸品のひとつである。

あわびの風味とバターのコクが見事に融和し、肝バターを余すところなく味わえるようにトーストを付けてくれるのも嬉しい心配り。



「うにと焼きのり」(3,000円)。塩とわさびが、根室産うにのもつ甘みを引き立て、口の中でとろける食感がクセになる

店主・佐藤さんの人柄も人気の理由だ。「とにかく麻布十番という土地と、この周辺住民の方に本当に助けられてきました」と語る。

時折、店にも顔を出す女将・渡辺晃美さんもその一人である。生まれも育ちも麻布十番という渡辺さんの親が、築地でマグロの仲卸をしていた時に築き上げた人脈を活かし、仕入れる鮮魚は、銀座の一流鮨店と同レベル!

上質な海鮮を存分に楽しめるのが「うにと焼きのり」。のりの上に、たっぷりとのったうにを塩とわさびのみで味わうという贅沢な一皿。


つやっつやのご飯と、鮭といくらのハーモニーが絶品!



「フルーツトマト、きゅうり、レタスのサラダ」(2,000円)と「焼き茄子」(800円)などサッとつまめる料理でも、しっかり仕事が感じられる
小鉢系料理もぬかりなし

旬変わりの小鉢も絶品ぞろい!この日は「フルーツトマト、きゅうり、レタスのサラダ」と「焼き茄子」の2品をセレクト。

どちらも食材の良さが最大限に引き出され、グイグイお酒が進んでしまいそうになるほど旨い。

こんな絶品料理をサラッと作り上げる佐藤さんの経歴を聞くと、さらに驚く。なんと料理人を志したのは40歳過ぎてからだというのだ。某名店で料理の基礎を、『富ちゃん』でフグの捌き方を学び、17年前に『あそこ』を開業したのだという。



メニューは全てちょうどふたりで食べきれる程度の量が出る。量は半量にも倍にも応じてくれ、メニューにない料理も可能な範囲で作ってくれるなど、わがままが叶うのが嬉しい
可能な限りリクエスト応えてくれる、店主・佐藤さんの心意気

お品書きは毎日少しずつ変更。「いろんなものを食べてほしい」という佐藤さんの想いから、海鮮を刺し身、焼く、揚げるなど様々な料理でもてなしてくれる。

お客さんから「どうしてもとんかつが食べたい!」と言われれば、「あいよ」と二つ返事で作ってしまう。この佐藤さんが作り出す家庭的で、ほっこりとする雰囲気が、居心地の良さと使い勝手の良さを生み、長年この地で愛され続けているのだろう。



「鮭西京焼きといくらのたきこみごはん」(4,000円)。どこを食べてもご飯だけになることはなく、鮭の身といくらの食感をしっかり感じられる
ビジュアルも最高!炊き込みご飯で〆を飾る

たらふく食べて、しこたま飲んで……さぁ〆には何を食べようかと品書きを見れば「今日のたきこみごはん」の文字に心踊る。



食べきれなかったらお持ち帰りもさせてくれるのも嬉しい心遣い

出汁でふっくら炊きあげたご飯の上には、自家製の鮭西京焼きが2切れも入り、その上から今が旬のいくらがたっぷり!客前で豪快に混ぜていく様子を、横目で見ていたら「それ追加で!」と思わず叫んでしまうだろう。



男性客が多いそうだが、女性の一人客も少なくない

「ちょっと『あそこ』に行こうよ」を合い言葉に、夜ごと遊び慣れた大人が通う名店。

時には自分の飲みたいワインや日本酒を片手に、好きな料理を注文し、豪快に飲み明かす人もいるそうだ(持ちこみは自由、無料)。

佐藤さんの人柄が作り出すほっこりとした空気と、「とにかく美味しいものを、たくさん食べて欲しい」という想いが生み出す本気の料理。

今夜は、そのギャップにヤラれたい。