また、得点のパターンでも多様化を見せた。
 
 オランダ戦の1点目は長谷部誠が高い位置で奪って、そのまま大迫にパスを出し、ダイレクトで決めた。今のハリルの攻撃パターンだ。さらにオランダ戦の本田圭佑のゴール(2点目)は、個々が連動してパスをつなぎ、相手を崩した秀逸なゴールだった。このゴールパターンは、ハリルのサッカーではなかなか実現しにくいだろう。
 ベルギー戦では選手同士で確認するシーンが何度も見られた。
 
 特に井手口陽介と長沢和輝は試合中、何度も声をかけ合い、話をしていた。初めてのコンビゆえに致し方ないのだが、強豪相手にいろんなことを確認しながらでは後手を踏むのは目に見えている。実際、ふたりが連動してボールを奪うシーンはほとんどなかったし、全体を見ても味方同士でどうするのか見ているせいか1歩相手へのアプローチが遅れていた。
 
 ベルギー戦は惜敗という結果で成り立っているはいるが、ディティールに目をやれば、まだまだ世界の強豪に勝てるところに至っていない。
 
「0-1の差が世界との差」と長友は言った。
 
 コンビネーションとユニットの熟成を含め、0-1のなかに見えた差を本番までに丹念に潰していかないと、「良い試合したけど負けた」とワールドカップで悔し涙を流してきた歴史を、また繰り返すことになる。
 
取材・文:佐藤俊(スポーツライター)

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