実際、現地でも「なぜ森岡は代表に選ばれていないのか」という疑問の声が高まっていた。こうした世論を味方につけ、狭き門を突破し、慣れ親しんだ地・ベルギーでの大一番で30分間というプレー時間を与えられたわけだが、攻撃リズムに変化をつけたり、フィニッシュに至る形をお膳立てできる長所は発揮したものの、課題の守備面で物足りなさを垣間見せてしまった。

 次の国際Aマッチデーである来年3月にも代表入りするためには、この反省を生かしてもう1段階、2段階ステップアップするしかない。「ベルギーは欧州5大リーグじゃない」と本人も口癖のように話しているが、そこで際立った数字を残してこそ、香川や清武に肩を並べることができる。12月に中断を迎えるリーグ前半戦での2ケタゴールはもちろんのこと、球際や寄せといった守備の部分でもよりアグレッシブになることが肝要だ。

 ヴェフェレンではゴールを狙う回数を増やすため、我慢して下がらず前で張っていることが多いが、代表ではそうはいかない。よりダイナミックにプレスをかけることが求められる。それをこなせるフィジカル能力の向上、走力アップは不可欠だ。多角的に自分自身を飛躍させていくことが、森岡が代表で生きていくための絶対条件と言っていい。

 自らの進むべき道を明確に理解したインテリジェンスあふれるアタッカーがここからどう変貌を遂げていくのか。大きな期待を寄せつつ、その動向を見守りたい。

文=元川悦子