ベルギー戦はハイペースで試合に入った日本。序盤15分は良いパフォーマンスを見せた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[親善試合]日本0-1ベルギー/11月15日/ブルージュ(ベルギー)
 
 先日のブラジル戦(1-3)に続き、ベルギー戦も0-1で落とした日本は、今回の欧州遠征を2連敗で終えた。
 
 ベルギー戦は圧倒されたブラジル戦の反省を活かしたのか、立ち上がり15分はよく走り、攻守で上々のパフォーマンスを見せた。でも、時間が経つごとに日本の足は止まってしまった。当たり前だがサッカーは90分トータルで考えなくてはいけない。今回は6人交代制だったから体裁を保てたけど、終盤にはスタミナを消耗し、口を大きく開けている選手が何人もいたよ。
 
 一生懸命走って相手にプレッシャーをかける戦い方は悪くはない。ただ、それを90分続けるのは無茶な話だ。ハリルホジッチは試合後に「可能性を感じた」と語っていたらしいが、どのへんに可能性を見出せたのか疑問だね。
 
 失点シーンでは守備陣の集中力が切れていたし、吉田を筆頭にあんな軽い対応をしていたらワールドカップ本大会は絶対に勝てないよ。
 
 それに自陣に人数を割いてベルギーの攻撃を凌いだからこそ、カウンターに出る力が不足していた。大きなチャンスと言えば、前半に吉田がセットプレーからヘッドを放ったシーンと、相手のミスから杉本がドリブルで持ち運んで左足で狙ったシーンくらいだった。
 
 アジアレベルでは的確なポストプレーが光った大迫は潰される場面が多く、浅野、原口らも仕掛けた後のアイデアが乏しかった。
 
 ベルギーは立ち上がりこそ面を食らっただろうが、その後は楽に試合を運べたはずだよ。現にエースのE・アザールを外し、デ・ブルイネをボランチで起用するなど、通常とは異なるメンバー構成だったけど、焦りは感じられなかったからね。日本の選手たちは「決め切るところで決め切れなかった」と嘆いていたようだが、そこが大きな差なんだ。

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 70パーセントほどの力しか出さなかったベルギーに、日本は120パーセントの力でぶつかって敗れた。それが現実なんだ。試合後には「惜敗」という言葉をよく目にしたけど、惜しいなんて感覚でいたら困る。ブラジル戦を含めて世界との差は大きく開いていると危機感を持つべきだ。
 
 今の日本代表、そして彼らを取り囲むひとたちはワールドカップ6大会連続出場という言葉に、自分たちは強くなったと錯覚しているんじゃないかな。ベルギーのように組織的に戦うチームには善戦したように見えたが結果的に負けているわけだし、ブラジルのように個人技の高いチームには滅法弱い悪癖も変わっていない。この4年間、どこが成長したのか僕には分からないよ。
 
 ベルギー戦では、個人として目立った選手もいなかったね。先発でA代表デビューを飾った長澤は“悪くない”レベル止まりだったし、ブラジル戦に続いて途中出場した森岡は違いを作り出せなかった。スタメンで起用された浅野は粗さが目立ち、アンカーを務めた山口もパスミスが何度かあった。ほかの選手が出てもさして変わらなかったはずだ。
 
 要するに強豪国を相手に質の高いプレーを維持できる選手が今の日本にはいないんだ。タレントの質は明らかに落ちている。メンバー外だった本田、香川、岡崎が出場しても結果が変わったかは分からないけど、今回の欧州遠征を通じて一番得をしたのは彼ら3人じゃないかな。2連敗して、今後は彼らへの期待感が再び高まりそうだからね。
 
 ブラジル戦、ベルギー戦の収穫は少ないが、世界との差を体感できた点はプラスに捉えるべきだろう。本来はもっと早く強豪国とのマッチメイクを実現し、自分たちの実力を測っておくべきだったが、ワールドカップの前でもレベルの差を知ることができた点はポジティブに考えたい。
 
 ハッキリしたのは日本は弱者の戦い方をするしかないということ。守備を固めながら、少ないチャンスをモノにする。そのためにはセットプレーの精度を上げる必要がある。吉田やブラジル戦でゴールを奪った槙野らを軸にサインプレーを用意したいね。ゴールをDFに頼るのも皮肉な話だが……。
 ロシア・ワールドカップまでは残り7か月だ。今後、強化試合としてこなせるのは、12月のEAFF E-1選手権(韓国、中国、北朝鮮と対戦)と来年3月のテストマッチしかない。
 
 EAFF E-1選手権は国内組だけで戦うため、海外組を含めてチーム作りを行なえるのは3月のテストマッチだけだ。ここでどんな相手と対戦できるか。再びブラジルやベルギーのような格上と対戦し、腕試しをできれば最高だが、今年10月に対戦したニュージーランドやハイチのような相手だったら意味がないね。
 
 格下もしくは同じようなレベルの相手に結果を残しても、結局はワールドカップにつながらないことは今回の2連戦で証明された。現にワールドカップ最終予選やハイチ戦などで点を取ってヒーローとなった大迫、浅野、杉本らはブラジルやベルギーを相手にしたら手も足も出ないんだから。
 
 点を取れないんだったら守備的に戦い、そのためにはどんなゲームプランを組み立てるのが最適か考える。ワールドカップでひとつでも多くの勝ち星を挙げるために、日本に求められているのはその周到な準備だろう。
 
 7か月はあっという間に過ぎてしまうはずだ。前回のブラジル・ワールドカップの時は、本番でようやく世界との差を実感したが、その失敗は繰り返したくない。今回の欧州遠征を本大会につなげるためにも今後の過ごし方が重要だ。