卓球ワールドツアープラチナ最終戦のドイツオープンで、日本勢はダブルスで男女そろって決勝に進出した。女子の平野美宇・早田ひな組は台湾の陳思羽・鄭怡静組に3-0で快勝して優勝。男子の張本智和・木造勇人組は韓国の鄭栄植・李尚洙組に2-3で逆転負けし、準優勝に終わった。


ドイツオープンで優勝し、笑顔でVサインの平野美宇(左)と早田ひな

 ワールドツアープラチナとは、国際卓球連盟(ITTF)が主催する通年で行なわれるツアー(今年は全23試合)のうちの最上位の大会。世界中を転戦して年間6戦(2017年はカタール、日本、中国、オーストラリア、オーストリア、ドイツ)が行なわれる。ツアーで獲得した合計ポイントの上位者は12月に行なわれるグランドファイナルに出場できるため、ドイツオープンには各国の主力級が集まった。

 そんな激戦のなかで、ともに2000年生まれの平野、早田の17歳コンビは、息の合ったプレーで快進撃を見せた。この2人は今大会のために組まれた急造ペアだけに、勝利の喜びは少なからず驚きが入り混じったものだった。試合後、関係者への挨拶に会場内を走り回った後、ミックスゾーンに現れた2人は、先ほどまで決勝を戦っていたとは思えない、可愛らしい笑顔を見せてくれた。

「今回、初めて平野美宇ちゃんと組ませてもらって、本当にどんな小さい大会でも組んだことがなかったので、1回戦は結構緊張して……。美宇ちゃんがどういう球が打てるのかすらわからなくて、本当にゼロからだったので、最初は不安しかなかったです。でもお互いのいいところを出していけたらいいなという思いで、1回戦、2回戦からしっかり組み立てをしていったので、それがよかったと思います」(早田)

「ひなちゃんと同じですけど、大会も出たこともないし、練習もこっちに来てからしかやったことがなくて、本当に最初はとりあえず頑張ろうという気持ちだったんですけど、本当にまさか優勝できると思わなかった。すごくひなちゃんに引っ張ってもらって、優勝できて本当に嬉しいです」(平野)

 平野がそう話す横で、早田が「違う、違う」と首を振っている。そんな2人の関係についてはこう話す。

「ひなちゃんは結構”決める”能力がある。自分は決めるときは決めるんですけど、基本は前でスピードを出していこうと思って頑張ったので、そういうバランスがよかったんじゃないかなと思います」(平野)

「美宇ちゃんが言ったように、自分はどっちかというと中陣で打つタイプなので、どこに来たら美宇ちゃんの一番得意なプレーができるかなというのを考えて、自分が打たなきゃいけないコースを徹底することができたのでよかったなと思います」(早田)

 初戦はスロバキアのペアに3-0、2戦目は韓国のペアに3-1と順調に勝ち進んだが、勝負のヤマ場は準決勝だった。グ・ユーチン(中国)、スー・ワイヤム(香港)ペアに苦戦。得点を取り合う展開の末、3-2の僅差で勝利している。

「シングルスではできることがダブルスではできないことが多くて、どんなに強い選手でもダブルスではそんなに強くないというのがあるんです。だけど、(今大会は)2人のお互いのいいところを出すことができたので、それが勝因かなと思います」(早田)

「準決勝がすごい接戦だったので、そこを勝てたことがすごく大きかった。決勝もいいプレーができたので、準決勝で強い相手に勝ててよかったです」(平野)

 準決勝の激戦を制した勢いは衰えず、決勝では台湾ペアにストレート(11-7、11-8、11-9)で圧勝した。とはいえ、このペアはこれでいったん解消。次戦となるスウェーデンオープンの女子ダブルスには早田・伊藤美誠(みま)組で参戦する。

「次は、ひなちゃんは美誠ちゃんと行くのですが、今回すごくよかったので、また組めたら、優勝とか、いい成績の残せるように頑張りたいです」(平野)

「今回、ひらみう(早田は平野のことをときどきこう呼ぶ)と組んで優勝したり、美誠と組んで世界選手権で銅メダルとったり、誰と組んでも組みやすい。自分には決める権利はなくて、最終的には監督に選ばれたペアでお互いに頑張っていこうと思います」(早田)

 最後に「優勝は想定していた?」と聞くと、「全然!!」と声を揃えた。

 一方、男子ダブルスは今季、プラチナツアー6大会のうち3大会で日本人ペアが優勝している。14歳の張本と18歳の木造のコンビが勝てば4勝目だったが、惜しくも準優勝に終わった。

 決勝の相手は鄭栄植・李尚洙の韓国ペア。リオ五輪の銅メダリストは手強く、2ゲームをリードしながら、3ゲーム目に冷静な修正で流れを変えられると、挽回できないまま3ゲームを連取されて逆転された。

「今まで以上にミスが多かった。最初はよかったんですけど、相手も立て直してきて、そこで戦えなかったというのが負けにつながったなと思います。出だしは自分たちのレシーブにチキータから得点できていたので、相手はそこを封じてサーブも変えてきたし、戦術を変更してきたところで勝てなかったので、まだまだですね」(木造)

「3ゲーム目は完璧にやられたんですけど、4ゲーム目はまた新しく、1ゲーム目みたいにプレーができて途中まではよかったんです。相手が立て直したにしても、自分がしっかり入れていれば……。4回か5回はマッチポイントがあったので。無理して打ちすぎず、しっかりつなぐ気持ちでやっていればよかった。今回、シングルスでは(1回戦で)負けちゃって、ダブルスでは絶対優勝したかったので、いつもより焦りがあったんじゃないかと思います」(張本)

「自分では落ち着こう落ち着こうと思っていたんですけど、やっぱり最後1点がちょっと遠かったですね」(木造)

 マッチポイントを迎えながら落とした悔しさを隠せない2人だが、今年2度目の準優勝には手応えも感じている。

「あまり(ダブルスの)練習を普段やってないないわりには自信もついてきたし、今大会を通して、プラスになったんじゃないかなと思います」(木造)

「練習はしてないんですけど、しっかり世界チャンピオンにも2回勝った(準々決勝で中国のファン・ジェンドン、シュー・シン組を中国オープンに続いて下した)し、今回は銅メダリストにもあと一歩だった。実力は絶対あると思うので、今日みたいに最後の1球とか、凡ミスが多かったのは、技術以外のメンタルで、大人の人たちに少し敵わなかったかなと思います」(張本)

「メンタルで大人の人たちに……」という表現が14歳らしい。このペアは今後、今月末にイタリアで行なわれる世界ジュニア卓球選手権と、カザフスタンで行なわれるグランドファイナルに出場する可能性が高い。

「世界ジュニアとグランドファイナルにはたぶん出られるので、そこでリベンジして、優勝できればこの負けもムダじゃないと思えるので、今はそう考えるしかないです」(張本)

 落胆の中にも、最後は持ち前の気持ちの強さをのぞかせた。

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